「不平等」、「不公平」が蔓延する『皇軍兵士の日常生活』

Takaon2009-06-30



http://wanwanlapper.seesaa.net/article/122540489.html
○「戦争を希望する究極の愚民」に手向ける良書

    • 転載開始--

 丸山眞男については、南原繁が広島の船舶司令部に丸山の召集解除を依頼する手紙を書いた(結果的には奏効しなかったが)ことをあげて、「普通の庶民が丸山と一緒に徴兵で軍隊へ入ったとしても、彼をいつまでも「ひっぱたける」可能性はかなり低かったことになる」(56ページ)

    • 転載終わり--

 ということであります。赤木智弘とその提灯持ち達は『皇軍兵士の日常生活』でも読んで、「少しは」学ぶことを覚えたほうが良いでしょう。

○闘争すべき相手は人民の利益を害する戦争屋
 ラムズフェルドぐらい解りやすい戦争屋は安倍晋三でしたが、9月11日首相官邸前でワールドピースナウにデモを打たれて早退、翌日辞任してしまいました。民主党が誇る戦争屋「前原誠司」はメール問題などの情報精査能力不足で辞任と今のところ戦争屋は排除はそれなりにウマくいっています。
 人民が恒常的に戦うべきは戦争を煽る戦争政治屋であって、戦争を煽る人民もプチ戦争屋です。私が赤木智弘をファナテックに非難するのは、そういう理由からです。
 和光市プールには隣の朝霞駐屯地から自衛隊員が泳ぎに来ていますが、おおよそで私との速度差は1.3〜1.5倍ぐらいです。私が歳とったのもありますが、まぁ、体力的な差はいかんともしがたく、今更従軍しろと徴兵されても40kg背負って20km行軍とか甚だしく無理なのであります。そもそもが、そんな面倒な事はしたくないのです。小市民として地味な生活が出来ればそれで良いのです。

○老練な大工さん達が述懐する「戦争が無くて良かった〜」
 東京ドームで建材フェアなるものが行われて、建材販売会社でツアーを組んで地域の工務店さん達と行ったりするわけです。ちなみに、その建材会社は清算されました。
 帰りのバスでどこからともなく「戦争が無くて良かった〜」「そうだそうだ!」をという声が澎湃として沸き起こりました。老練な大工さんは戦争を知る世代も居ます。直接に戦争を体験していない世代でも、荒廃した日本をここまで発展させてきた自負心を持つ人達でもあります。
 ヴィドゲンシュタインは精神病が悪化した折りに実姉が施主の建築設計を担当し、現場の大工さんと交流するうちに精神病が治癒し、哲学・言語学の教職へ復帰し、業績を残しました。実地の施工の現場で再現される建築技術の数々はヴィドゲンシュタインを魅了し、現代社会の可能性を見いだすこととなったのでしょう。
 大工さんが「平和の配当」をもっとも実感しているのは、多種多彩な建築部材を扱い施工を行なうという現実世界の「手ざわり」が最も深い人達だからなのでしょう。
 σ(^_^)も及ばずながら現代日本社会の価値を信ずる者です。戦後に築き上げた文化・技術の多くは平和を前提としております。これらの資産を守護するために、幾許か助力になれば、これ幸いに思います。

Apes! Not Monkeys! はてな別館■[文献紹介]『皇軍兵士の日常生活』
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090305/p1
一ノ瀬俊也著『皇軍兵士の日常生活』を読んで
http://blog.goo.ne.jp/cellisch/e/d429363b7b49450495152e3d0236e476
新書-皇軍兵士の日常生活-
http://kurahachi.seesaa.net/article/115837212.html
【コラム】 靖国神社参拝が問題になるのはなぜ?
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=883383&media_id=29
皇軍兵士の日常生活 [著]一ノ瀬俊也
http://book.asahi.com/review/TKY200905070067.html

■食事や手当から浮かぶ軍の退廃
 旧軍もいいところはあった、それは金持ちも貧乏人も同等で不公平がなかったことだ、とよくいわれる。ところが著者は、兵士の日常生活にかかわる史料を綿密に掘り起こしてその定説を覆していく。
 たとえば食事。
 カロリン諸島のメレヨン島では、約6500人の将兵のうち約4500人が餓死・病死した。その島の1945年1月10日の食事は、兵士1日150グラムに対し、将校は300グラムだったという。こうした食の差別に怒った兵士が、上官に手りゅう弾を投げつけ、銃剣で刺すという事件まで起きている。
 応召手当の問題もある。
 三菱商事三井物産は、応召中の正社員・従業員の給料を全額保障した。住友は正社員には全額、従業員の場合は家族持ち全額、独身者半額を保障した。戦死者には弔慰金も出た。
 朝日新聞社もその一つだ。2年余を兵役に取られた作家の松本清張は「最低の生活費ながら、とにかく新聞社から家族に給料が行っていることは安心だった」と書いている。しかし農家出身の兵士にそんな保障は何もない。働き手を取られた小農の家庭は途方に暮れるばかりだった。
 本書は、戦争の長期化で規律が乱れていく状況も描く。古兵が朝の点呼にも出ず、暴力で上官を脅す。「兵隊やくざ」の世界が実際にあったのだ。
 1928年の済南事件では米の飯が十分に与えられ、副食は「奈良漬(ならづけ)、梅干し、牛肉、缶詰、生魚、氷砂糖」だった。行軍の道筋には「乾パン、食パン、サイダー、ビール、果実缶詰、卵、仁丹、煙草(たばこ)、キャラメル、夏蜜柑(なつみかん)」などが積まれ、兵士は好きなだけ持って行けたという。
 そのころまで、軍は前線で命をかける兵士を大切にする思想があった。しかし戦争が長引くにつれ、その思想が堕落していく。食の不公平も規律のゆるみも、その過程で生まれた。
 本書は、皇軍兵士の日常生活に焦点を当てながら、実は「皇軍」そのものの退廃を描きだしているのである。
    ◇
 いちのせ・としや 71年生まれ。埼玉大准教授。『近代日本の徴兵制と社会』など。

    • 転載終わり--