シリア・アレッポでの山本美香さん銃撃謀略説を検証する。

 まず、シリア戦争で問題にしなければならないのは「自由シリア軍(FSA)」とは、アメリカ、イスラエルサウジアラビアの3国同盟を中心とする勢力による軍事勢力であるということだ。主権国家であるシリアに対して軍事侵略を行っている。これは主権国家体制の尊守を契ったウェストファリア条約違反行為である。そのような事をいっても虚しい限りである。ヤルタ協定で連合国間で領土の確定を約束したが、冷戦下は言うに及ばず、ソ連邦崩壊後は米国による暴虐が目に余る状態となっている。日本も無関係という訳ではない。金融を通じた資金融通や基地の提供で、米国による他国の軍事侵略行為を支えている。このことは米帝傀儡の清和会政治を存続させ、日本の貧困化の「直接的」原因となっている。

アレッポでの戦闘で侵略軍が行動を共にしていた米国の特殊部隊員を追い出した背景にクルド人問題(櫻井ジャーナル)
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/650.html

 2012年、山本美香さんがシリアの古都アレッポで射殺されたのは記憶に新しい。気鋭の女性報道カメラマンが戦地で謀略死亡するという物語は、高橋良輔監督のアニメFLAG(2006年)に展開が酷似しており、図らずも「FLAGの予言」が成就するような形になってしまった。
 山本美香さんはメディア嫌いにも関わらず出発前に2社のテレビインタビューを受けている。普通、戦場から帰ってきて報告するのが報道ではないのかと思われる。戦地に行く前に取材とは奇異な感じがする。
 アレッポの日常生活を取材ということで、日本テレビが発注、指示している。それをジャパンプレスが受けて、手配を行った。自由シリア軍(FSA)に取材協力を仰ぎ、トルコから越境している。
 射殺時の映像が残っているが、ヘルメットをかぶったシリア政府軍の一団は通り向こうおおよそ50mを歩いてきている。山本さんは内縁の夫である佐藤さんの左後ろにいた。山本さんは計9発の銃撃を受けた。死因は首を左背後から放たれた銃弾が首を貫通し頸髄損傷して致命傷となった。

 山本さんのビデオには続きが録画されており、反体制側に紛れた、反体制側の格好をした人間が撃った、というニュアンスことが会話で交わされている。山本さんに同行した反体制側(自由シリア軍)の人間が背後から撃った可能性は高い。
 銃撃事件発生直後、時事通信カイロ発によると、シリアのメクバド副外務大臣が「山本美香さんは反体制派が殺害しました」と発言している。加えてトルコからの越境入国について身の安全を保証できないと指摘し、間接的に非難している。

 なぜ、反体制派の側から取材に入ったのか。シリア政府がジャーナリストの安全を保証できないということで、入国を制限しており、トルコから越境するしかシリアに入国する方法が無かったのだと思われる。しかし、それほど危険な取材をなぜ日本テレビが指示したのかという事である。
 山本さんらに同行していたという反政府軍は英国のテレビ局のチームを交戦地帯に誘導、政府軍に殺させようとしたことも明らかになっている。

 毎度のことだが日本のメディアは山本美香さんがシリア政府軍によって銃撃されたということばかり報道している。これにより、何が起きたと言えば、シリア政府バシャール・アル・アサド政権への感情悪化が発生した。アメリカが支援する自由シリア軍を正統化するプロパガンダに成功した形となっている。

 植草一秀氏の造語に「悪徳ペンタゴン」という言葉がある。(1)政治家、(2)官僚、(3)マスコミ人、(4)財界人、(5)米戦争屋系ジャパンハンドラーを指す。
 米国国防総省の建物呼称がペンタゴンなので、それに引っ掛けている部分もあるのだろうが、もう一つの大勢力が存在する。それは(6)愚民である。マスコミに踊らされる愚民がいることによって、米国による日本支配が完成して揺るぎないものとなっている。悪徳ヘキサゴンともいうべき鉄壁の支配体制は情報統制によって発生する。情報統制は電通ダマスコミが行っている。大手メディアは国からの払い下げた土地に社屋を構えているので、官僚には逆らえない。時の政権は機密費や公的な費用をマスコミに投じて情報統制を行う。財界はマスコミのスポンサーとなって、コントロールを行う。頂点は米軍であり、日米合同委員会を通じて霞が関をコントロールする。司法も米国務省が管理する。
 この支配を巻き返すには愚民が自発的に思考し行動して、米軍による支配体制を覆さなくてはならない。当然、一定程度の知識人というのもこの国には存在する。しかし、情報統制を覆すような発言は「適度に賢いがゆえに控える」わけである。

 ショッキングな山本美香さんの殺害映像を見せられて、アサド政府軍の仕業だ!とやれば、これに楯突く人は少ない。何しろ情報統制に逆らうようなことを言えば不利益しかない。もはやロボットにでもなったつもりで、「自動書記官」として淡々と事実はこのようではないか?と疑念を呈するのが良いのではないかと、私は考えている。
 ベトナム戦争はメディアが戦争を終わらせた唯一の戦争である。以後、アメリカは自立したメディアを嫌っている。情報統制は念には念を入れている。イラク戦争ではその傾向が顕著に出ている。
 アメリカの国防総省プロパガンダのため、イギリスの広告会社ベル・ポッティンガーに5億4000万ドル(約550億円)を支払ったと伝えられている。偽情報を流し、侵略戦争に人びとが賛成するように誘導することが彼らの仕事だ。まさに日本においてもその通りに誘導されている。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201610040000/
 しかし、インターネットが存在して、人民は自由に発言できる。ここに以前とは大きな差がある。当然、ネットも統制されつつあるが、数百万人が声をあげればこれを抑止できない。

 シリア戦争はカタール天然ガスのパイプラインをシリアに通して、欧州へ直接販売したいという野心から発生している。カタールは自国内に米空軍基地を置かせており、アメリカへの影響力を保持している。アメリカは陸戦では正規軍をシリアへ派兵していないが、空軍を通じて空爆を行い、イスラム国(ダーイッシュ)をサポートしてシリア政府軍を攻撃している。
 停戦協定をやぶったのは米国側であり、9月17日米空軍による空爆によってシリア正規軍90人が死亡した。10月3日米国務省報道官は、ロシアとの停戦協議を停止したと発表した。今現在、米露はこれまでにない緊張状態にある。
 先日ロシアの首都モスクワでは核攻撃に対する訓練が行われた。モスクワ全市民が収容できる核防空壕が完成したのだ。2012年にはロシア全土で5000箇所核爆弾の防空壕が完成している。

 考えたくもないが、今や米露が核戦争へ突入する可能性もあり得る程の状態に陥っている。

参考元
シリア政府が声明 山本美香さんの銃撃死に謀略説 「反政府組織」がプロパガンダに利用したのか (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/837.html
アレッポで取材中の日本人記者が殺されたが、同行していたという反政府軍は英国のテレビ局のチームを交戦地帯に誘導、政府軍に殺させようとしたことも明らかになっている」(櫻井ジャーナル)
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201208210001/
シリア政府が声明 山本美香さんの銃撃死に謀略説 「反政府組織」がプロパガンダに利用したのか (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/831.html
言論弾圧国家万歳
http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20140517
山本さんを殺害したのは本当にシリア政府軍か?
https://www.youtube.com/watch?v=ryjPzcRg7CY
2012/9/6 日テレが山本美香さんシリア殺害に協力していた?
https://www.youtube.com/watch?v=rcCOoHSYdwM
偽情報を作成、流布するため米国防総省は英国の広告会社へ5億ドル以上を支払って戦争を正当化
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201610040000/