都市銀行が為替デリバティブ取引を売りつけて中小企業から収奪


1.恐怖の大魔王「都市銀行
 9.11アタックの報道を見てて、どこぞの邦銀からも犠牲者が出た。「あぁ因果は廻るんだな」と妙に納得したものである。
 生命保険、投資信託の押売りは日常茶飯事、変額保険だとか、相続対策のマンション・アパート資金融資だとかで庶民を半分だまくらかして、資産を根こそぎ奪う恐ろしい存在、それが都市銀行である。彼等は都市伝説ではなく、恐怖の大魔王として駅前に君臨しているのだ。

2.円高倒産の半分は「デリバティブ損失」
 円高パニックを煽っているのだが、仮に1ドル120円だったら、今ごろ輸入資材の高騰で庶民の生活はますます逼迫していたはずだ。輸出企業は企業規模が大きいので為替リスクをヘッジできるし、そもそも企業体力が大きいので事業存続が危うくなるわけではい。 何でそんなに騒ぐのか、騒ぐ根拠があるのかといえば、官民併せて膨大なドル建て資産を所有しているからなのだが、直近に現れる問題が別途ある。
 都市銀行が融資と抱き合わせで、中小企業へ売りつけた外貨のデリバティブによる損失で倒産に至るケースが多々あるのだそうだ。デリバティブは指数先物と言いかえた方が解りやすい。

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 デリバティブとは、外国為替や株式、債権などの金融商品などから派生したもので、「通貨オプション」などが含まれている。この「通貨オプション」は、将来の特定日にあらかじめ決められた価格で、通貨を売り買いする権利を売買する。為替変動リスクに備えて、大手銀行などから購入する企業が増えている。

 例えば、海外から製品を仕入れている企業の場合、円安が進行すると仕入れ価格が上昇し、収益が悪化するリスクがある。そこで、円安リスクを回避するため、手数料を支払ってあらかじめ一定額で外貨を購入する権利を取得する。為替があらかじめ設定していた価格よりも円安で推移すれば差額が収益となり、仕入れ価格の上昇分を補うことができる。これとは逆に円高になった場合には、権利を売却することで、損失は支払った手数料だけで済み、円高による仕入れ価格の減少分が収益となる。
 このように「通貨オプション」を上手に利用すれば、損失を一定額に抑えることができ、企業経営を安定させるのに役立つ。しかし、損失を受けた多くの企業では、銀行に売却する権利を売ってしまう契約になっており、円高になっても権利を売却できない状態に陥ったとされている。
 こうした取引の場合、想定した方向に為替が推移すればより収益は良くなるが、反対の方向で推移した場合には、実態よりも悪いレートで外貨を購入し続けることになる。特に最近のように急激な円高が進行する状況下では、為替動向を見誤った企業の資金繰りは急速に悪化し、最悪のケースは倒産に至ってしまうこともある。

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 2011年の円高関連倒産は、8月7日時点で、28社が円高関連倒産。うち13社が「デリバティブ損失」が原因であったとされている。別途「その他為替差損」が5社とある。半分近くが為替指数先物倒産である。
 何が問題かと言えば、本来為替損失を抑えるための金融商品なのだが、「一定額で外貨を購入する権利」する権利を銀行側に売る契約になっているので、想定よりも反対に為替相場が動いた場合、損失がでてしまうそうだ。
 そもそも、円安を想定して、リスクヘッジする金融商品を買うとすると輸入企業には有用なのかもしれないが、外貨を扱わない中小企業にとっては無用の長物だ。銀行は輸出企業からオプションの売りを引き受けなければいけないので、それを他の企業に売ってると言われている。

3.金融商品の含み損が企業の存続を危うくする。

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 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、自己資金を使ったデリバティブ取引で1000億円近いトレーディング損失が発生し、2011年3月期の最終損益が1450億円の赤字になった。デリバティブ取引は金融のプロでさえ巨額の損失を出しかねないと認識しておく必要があるといえる。

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 これが何のデリバティブ取引なのか、外債による損失なのか判然としないだが、これから金融機関が巨額の損失を突然計上してくる可能性がある。
 ここ数日では、バンカメが買収したカントリーワイドメリルリンチ不良債権で、株価が急落している。
 邦銀メガバンクといっても内情はボロボロだろう。
 先に挙げた「為替デリバティブ取引」は手数料だけとってリスクは客に押しつける詐欺商品である。通貨を一定額で購入するオプションを買っているのに「円高時にオプションの権利放棄が出来ない」。権利は銀行が買い上げているので、今の価格と契約価格の差分を、企業から銀行に所得移転を行なっている。それにより中小企業は倒産に追い込まれている。
 都市銀行が『焼き畑金融』を行う背景には、都市銀行内部が火の車なのだからだ。笑えないのは、「デリバティブ損失」を穴埋めする形で、銀行が追加融資をする事例があるそうだ。これこそがマッチポンプと言える。

(参考)
為替変動リスクに備えきれず 円高関連倒産、約半数が「デリバティブ損失」で
http://p.tl/Zzwm
デリバティブで損させて支援融資する銀行
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110305/ecn1103051508000-n1.htm
通貨オプション取引(具体編)
http://www.motosugilaw.com/op_torihiki2.html