各種デジタル音声伝送方式

○光接続は、デジタル信号を「電気→光、光→電気」と変換しなくてはならず、ここで大量のジッタが混入するので、低音が弱くなる。PS3のデジタルアウトはHDMIと光デジタルしかない。HDMIだと高音質だが、光デジタルだと音が薄い。光デジタルは廃止にして欲しい。

○同軸は、1本の信号から同期信号と読み出し用のクロックを再生するためにPLLを使うが、理論的には若干のジッタが残る恐れがある。

i.Linkの公式規格はIEEE1394で、PC用のIEE1394 (MACではファイアワイヤー)と物理的規格は同じもの。内部の信号はビデオ用やオーディオ用といろいろな規格がある。
(1)SACDのマルチチャンネルのDSDデータを完全な形でデジタル伝送ができる。
(2)H.A.T.S.システム (High quality Aaudio Ttransfer System.) (フローコントロールによる同期システム)により、極めて音質がよい再生が可能。
(3)DVDビデオなどの圧縮音声も伝送可能なように設計してあるが、映像再生はHDMIへ移行した。

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ソニー技術者金井隆氏TA-DA9000ES i.リンク接続による高音質再生から

 従来の同軸・光デジタル伝送(SPDIF)は、CDP側からアンプ側への一方向の伝送だった。そのため、アンプ側でCDからデータを読み出す速度をコントロールする機能がない。一方、i.Linkケーブルは往復二本のケーブルが入っていてDAC側 (AVアンプ側) からSACDやCDの読み出し速度をコントロールすることが出来る。このため再生側のバッファに常に最適な量のデータがたまっているような伝送が可能だ。
元々、i.Linkの伝送クロックは、オーディオ信号のクロックと全く関係がない。オーディオ信号のシンク位置に、理論的にはぴったり同期しているクロックがないのだ。H.A.T.S.がないと i.Linkは片方向伝送となるが、その代わり i.Linkのクロックは非常に高速なので、たくさんのクロックがあり、最も近い位置のクロックに信号が乗せられて伝送される。つまりA/D変換が縦方向の量子化ノイズをもっているように、 i.Linkの片方向伝送は、横方向(時間軸方向)にもサンプリングノイズがあり、これが信号に加算される。
この時間軸方向のサンプリングノイズはアンプ側ではジッターに見えるので、光/同軸用に作られたPLL周波数シンセサイザで除去される。
しかし、同軸伝送のジッタが比較的少量でほとんどノージッターにできるのに対して、 i.Link量子化ノイズなので、理論的に必ず数ナノ秒のジッタが必ず混入し、これは避けることができない。ジッター量の差から同軸がH.A.T.S.なしの i.Linkを上まわる品位となる。
i.Link H.A.T.S.の音質的な特長は、極めてフォーカスのよいことで得られる演奏の実体感、オープンで豊かなエア、ダイナミックで感動的な音楽表現にある。

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私が使用しているTA-DA9100ESではH.A.T.S.有無での i.Link伝送の聴感上は差は殆ど感じられないし、H.A.T.S.無しでもi.Link接続は同軸接続を上まわる音質だ。i.Linkの登場によりデジタル媒体のCD/SACD/DVD-Audioの真価が発揮できたのではなかろうか。

○TA-DA9100ESとi.Link接続した場合のCD/SACD/DVD-Audioプレイヤー比較
Sony DVP-NS9100ES SACD/DVDプレーヤー
CD及びSACDのみH.A.T.S.オン。DVD-Video(音声トラック)・SACD再生時のしなやかで情報量の多い低音は特筆。ジャズ向き。
・Pioneer DV-AX5AVi DVD/SACD/DVDAudioプレイヤー
CD/SACD/DVDAudioでH.A.T.S.オン。端正なモニター調。SACD/DVDAudio再生時の品位はSA-60に迫る。中古価格から考えるとハイC/P機種。
・Esoteric SA-60 スーパーオーディオCD/CD/DVDオーディオプレイヤー
CD/SACD/DVDAudioでH.A.T.S.オン。CDに上位機種に実装されているDSP処理がなされており、SACD等に迫る音質を実現する。CDソースを高音質で聞きたい人向き。

HDMI  High-Definition Multimedia Interface(高解像度マルチメディアインターフェース)

HDMIはGbpsオーダーの高速通信を行うシリアル通信インターフェイスを束ねる形で実装されており、データフレームに映像や 音声、制御信号などをひとまとめに収めて送信する。送信するのは、あくまでもデータであって、それがそのまま映像や音声の信号として扱われるわけではない。また、多くの場合は暗号化もされている。
RX(レシーバ)の電源とGNDを一番汚しているのは映像信号。映像と音声は別に分けて伝送した方が音は良い。

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 中・高級機ではHDMIを2つ実装し、映像と音声を別々に伝送できる。実際には音声系統に黒の映像信号が乗せられている。
各社ジッターフリーの伝送方式を用いているが互換性がない。


?HDMIケーブル内での異種信号干渉及びジッターに対する解決策
SonyブルーレイレコーダーBDZ-AX1000/2000の高音質設計
HDMI AV独立ピュア出力 
2つのHDMI端子を備えており、映像と音声を分離して、別々のHDMI端子から出力でき、さらなる高画質・高音質クオリティーで楽しめる。
品質質劣化を抑えるデジタル音声信号処理の統合システム「ジッタノイズ低減システム」を搭載。また、HDMI2(音声)出力回路には、「プレシジョン クロックコンディショナー」を搭載し、クロック信号の精度を大幅に改善。さらに、音質パルス電源や、フロントパネル一体型アルミ天板(天板部4mm厚)などの高音質設計を施している。

?グランドループに起因する高周波ノイズの影響対策
HDMIセレクターを導入する
HDMI送信デバイスを内臓したセレクターでは、受信したHDMI信号を認証し、再構築して送り出すので、グランドループに起因するノイズに対策として、機器間の関係を絶つ効果が期待できる。
設置上「ソース機器-HDMIセレクター」を短距離で接続できるので、ソース機器の負担を軽減できる。
HDMIセレクターの電源アダプターをスイッチング方式から「通常方式電源」に交換してノイズを低減する。

・電源を絶縁トランス経由にする
 電源トランス搭載機器は、結合の指標となるACラインとシャーシの静電結合容量が、およそ1000〜5000ピコファラッド程度となるが、スイッチング電源機器は、AC回路との静電結合容量がおよそ一桁大きくなるのが普通で、これがグラウンドループを作る。
 単品オーディオ機器は電源トランスを搭載していることが多いが、テレビやモニターやプロジェクターなどのオーディオ機器でないものは、スイッチング電源搭載機器は非常に多い。スイッチング電源搭載機器は絶縁トランス導入で音質が向上する。


○高周波ノイズ対策とi.Linkケーブル長
 i.Linkのケーブルを使った音声伝送の場合、私の計算では30Mhzぐらいまでの帯域使用となる。体感としてはi.Linkケーブルの場合は長さが重要であり、エレコムの30cm長のi.Linkケーブルの音が良い。ネットの評価でも1mの高級ケーブルよりも30cmのパソコン汎用品の方が良いようだ。
 HDMIは映像信号が流れるため340MHz帯まで使用され、規格上4本の信号路長を等しくし、シールドも厳重にしなくてはならない。よってHDMIケーブルの品質は極めて重要だ。
 HDMIケーブルも短い方がノイズ対策として有利なのは確かだが、コネクター口の差込み緩いので、コネクター部に負荷がかからないようにゆったりした配線にすることの方が優先されるだろう。


○LANケーブルと同形状
DENON独自のデジタルオーディオインターフェースDENON Link 4th
Accuphaseアキュフェーズ HS-link
を各社採用している。

○USB
 アイソレーションUSBデバイス、ラステーム「AUI-12」では常温偏差±1.0ppmという非常に高精度のクロックを使用し、 PCから受け取ったデータを安定した正確なタイミングに補正してオーディオ機器に送出することで、音質が向上させる。
PCオーディオではパソコンからのノイズ対策と正確なクロック動作が高品質の鍵のようだ。

○SDカードやUSBマスストレージ対応デジタルオーディオプレイヤー
KENWOOD Prodino KAF-A55
http://www.kenwood.co.jp/products/home_audio/desktop/kaf_a55/index.html
SDカードやUSBフラッシュメモリーからの直接再生に対応したデジタルアンプがある。今後はメモリーから直接データ読み出し再生するアンプが増えるだろう。

○まとめ
 フルデジタルアンプには「音色」で否定的な意見が強かった。同軸接続ではフルデジアンプの真価を発揮できてない。i.LinkHDMIの伝送方式もしくは、USBや直接メモリー読み取りにおいて、アナログアンプと比して性能を論ずるべきだろう。
 i.LinkSonyが撤退するそうで、各社新機種からi.Linkを外している。i.Linkという終わる伝送方式を論じる意味はHDMIがかなり良くなった現状でも、i.Linkの性能上の優位性が残っている事にある。HDMIのジッターフリー伝送を用いれば、i.Linkと同等かそれ以上の性能を持っているのかもしれないが、各社互換が無い。
 一方、PCオーディオの台頭でディスクメディアでの音楽再生そのものが、先細りになっていくだろう。