日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レート

1.お金の量は中央銀行の供給と市中銀行信用創造行為によって発生する
 中央銀行が発行する紙幣・硬貨・日銀当座預金ベースマネー(マネタリーベース)と呼ぶ。銀行の貸し出し(信用創造)によっても通貨は増える。
 欧米は日本の民間銀行の信用創造行為を押え込むためにBIS規制で縛っている。

 日本の対外資産は財務省試算で純資産251兆円となっている。漏れもあるので資産・負債共にもっと多いだろう。困ったことに資本の自由化で国際間での信用創造行為が行われている。相手国の通貨や債権価値が暴落すると、その影響により損失がバランスシートに乗ってくる。信用創造の巻き戻しも発生するので、マネーも収縮するだろう。

平成22年末 本邦対外資産負債残高 増減要因(試算)
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/22_g2.pdf


2.福井総裁が供給したマネーは欧米不動産バブルを引き起こした
 小泉政権下、福井総裁は30兆円規模の量的緩和を実施、欧米の金融機関が日本から低利で資金調達して各国で不動産融資を行なった。その結果、不動産価格は上昇、景気も良くなったが、量的緩和は終わり、2007年夏頃からサブプライムローン危機が発生、2008年9月のリーマンショックへと至る。FRBは従来の倍になる通貨を供給、市中の米国債MBSを買い上げた。
 北欧・南欧の不動産バブル崩壊ソブリンリスクの顕在化は極論すれば、日本銀行量的緩和も原因の一つだ。訳もわからず「日本銀行カネを刷れ〜」って連呼している人がいるが、30兆円の量的緩和が何を引き起こしたのか良く考えたほうがよい。
 基本的に円は日本国内のローカルマネーのはずである。資本移動の自由化は国境を超えて中央銀行の意にそぐわぬ使われ方をする。
 アジアの通貨危機からそれほど経ってもいない。あの時に短期資金移動を行うヘッジファンドの恥ずべき行為が作り出す経済危機の恐怖を学んだはずだ。ジョージ・ソロスの攻撃からアジア諸国を護ったのはIMF経由で日本政府がカネを出したからである。通貨危機の安定にカネを出すのは緊急事態回避のため道義的には許されるだろう。

マネタリーベースの日米比較。
http://aki-ch.com/diary/092910.html

3.日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レート
結果として、ドルは過剰供給により他国の通貨よりも価値が下がった。実際の取引に反映されるのが、経済界の巨大戦艦「格付け会社」によって妨げられているだけである。片手にリアル軍事力、もう片手に「格付け会社」を装備して、ドル価値の信任を保たせているだけである。デフォルトするだのしないだの、連邦議会で議論になっている国の債権がトリプルAとは片腹痛い。アメリ連邦議会ウォール街は吉本帝国劇場にでも名前を変えた方が良い。
 現下、日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レートなのである。FRBはQE3(量的緩和政策)を実施してさらにマネー供給するだろう。だから、1ドル40円を超えて対ドルベースでは円高が進むのは避けられない。FXで高レバレッジ・ドルロングのポジションとって破産するのは御自由だが、電車に飛び込むのは勘弁して欲しい。