ウーハーの呪縛から逃れてウハウハ。バックロードホーンの真価とは何

 最初にお断りしておきますが、ウーハー型ユニットは用途によっては必要なのであって否定するものではありません。デスクトップパソコン用の卓上スピーカーは小型にならざるを得ず、選択肢はバスレフ型に限られるので、自ずとウーハーユニットを使わざるを得ません。ただ、100Hz以下の低音再生を重視しないスピーカーではフルレンジユニットの近いものが使われており、音声モニター用としては音が良かったりします。ある程度の口径10cm以上ぐらいのウーハー系ユニットを使ったものは、やはり音が重たく感じられます。
Air氏は
『通常、低音を鳴らすためのウーファー・ユニットとは、低音を出すことに優れたスピーカーである、と考えるのは大きな間違いである。ウーファー・ユニットとは、高域を出ないように機械的に無理やりダンプされたスピーカーなのである。中〜高域に行くに従いレベルが落ちていくウーファー・ユニットは、無理やり高域にブレーキを備えた機械だと理解できる。もっと端的に言おう。ウーファーでは、マトモな低音は、まず期待できない。使うだけマイナスになるだけ、オーディオ的に妥協の機械であると自分は知ったのである。』と述べています。
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/airair/?Y=2009&M=9
かなり、急進的な意見のように見えるが、本当の事なのです。
 ウーハーは振動板質量が重く、音が遅れ気味になります。皮肉な事に長岡鉄男先生の方舟に行くと、それが体感できます。メインスピーカーのネッシーにはFE206ES-Rが装着されています(208ではありません)。サブウーハーにはFW208nが3発ついています。明らかに低音が遅れています。中音の緊迫感はドライバー級ですが、低音が追従出来ていません。一説にはサブウーハーのユニットをフルレンジのFE208SS?に取り替えようとしていたとも言われています。そのほうが良かったと思うのですが、実現には至らなかったようです。
 
 細かい話になるとFE208ESが発売になったときに、賛否が分かれました。長岡先生はしばらく使っていれば良くなるのでは?みたいな曖昧な意見だったように記憶しています。旧来のFE系パルプコーンのFE208SSからFE208ESの通称ESコーンになった時にMoが12gから15gに重くなっており、ESは1kHz-3kHz付近の周波数ピークを抑えるために機械的にダンプしているといわれています(要検証)。つまり、ESはSSよりもウーハー寄りのユニットだということなので、SSの方が音が良いという説も根強い理由があるわけです。

 自作スピーカーでウーハー系ユニットを使うのなら、メーカー製を買ったほうが確実ですし、今時は中国生産なのでC/Pも高いです。私も数組所有しています。それはそれで手堅い選択で、安定した周波数特性を誇る優れた製品だと思います。但し、ユニットは10cm級までにしています。それより大きいユニットを搭載した製品は高価である上に、ウーハーならではのデメリットが感じられるからです。
 しばらく前まではバックロードホーンにこだわるのは、重低音のS/Nの良さ等に惹かれている一部の使用者達だけが分かっていれば良い話であって、一般的にはどうでも良い話しなのではなかろうかと考えていました。
 ところが長岡派系の人達自身がおかしな解釈に基づいてユニットを選択している事例があるので、本質的な議論を行う必要が感じられるようになりました。
 まず、先の議論に通ずるのですが、追従性の高い(ハイコンプライアンス)ユニットを用いる事が高音質を引き出す秘訣です。ですからユニットはMoが小さいフルレンジを選択することになります。バックロードホーンはユニット選定が厳しく問われます。Fostexが通常販売しているユニットではバックロードホーンの良さを引き出すことが難しいのです。定番品の?凜轡蝓璽困任蘯??密度不足だと思われます。ですから、3年置きに磁石を強化した限定版製品が販売されるのです。磁束を強化すると、今度は低音が出ませんので、キャビネットのホーンを使って低音を増幅してバランスを取ります。引換に中音域の緊迫感がでます。ボーカルが生々しいのです。
 バックロードホーンの低音は速いので、聴覚上の量感が不足します。周波数特性を測定したグラフよりももっと低域が出ていないような感じがします。また、歪んだ音を再生すると、共鳴付帯音が気になります。
 再生するアンプはアナログアンプ時代はかなり限定されました。アンプの駆動力が弱いとバックロードホーンの逆起電力の影響がでるようです。今は無帰還型のフルデジタルアンプが登場したので、廉価なものでも十分に駆動できます。再生するソースも高音質化が進み、バックロードホーンの真価を堪能するには、とても良い環境になっています。
 FostexのFW系のウーハーユニットをバックロードホーンに装着すると、今度は面白い程に低音が出ます。但し制動が甘いので、共鳴付帯音が耳につきます。ホラ貝みたいな低音になるのです。その緩い制動による低音は量感に繋がります。一聴すると、FW系ユニットでも良いのではないか?と思うのですが、それなら、バックロードホーンを使う意味がないのです。
 最初はFostexのBK20というキットにFE208?瑤鯢佞韻討い泙靴拭?廛譽ぅ好董璽轡腑鵑竜圴芦擦?咩垢般弔蟠舛?泙后?田祺擦?砲い里任后?泙,海鵑覆發鵑? ¤板詎瓩討靴泙Δ函△修海能Ľ錣辰討靴泙Δ錣韻任后?丱奪唫蹇璽疋曄璽鵐好圈璽?爾凌寝舛牢砲つ祺擦任呂覆唎董?丨唎督?泙辰芯祺擦覆里任△辰董∪犬猟祺擦剖瓩ず得固塾呂鮖鈇弔箸海蹐砲△蠅泙后?
 FWシリーズだともっと悲惨です。低音が出まくるのですが、実にブーミーな膨らんだ感じの音になります。バックロードホーンはユニットを厳選する必要があるのです。ユニットの選択が間違っていると、箱の作成をどんなにこだわっても無駄な努力になります。
 私はD-55を自作しましたが、D-55やD-57やD-58のキャビネットならヤフオクで手に入ります。それらを入手して、ユニットを取り替えたりすると、いろいろな良さが分かります。
 仮にバックロードホーンを使いたいとお考えになった場合、20cm級ユニットである必要はありません。10cm級のユニットでかなりの大音量が出せます。小口径なので、ボーカルもみずみずしいです。まずは10cm級ユニットから始めたほうが良いでしょう。10cmで十分ですよ、という意見もあります。