この内閣を選挙によって追認することは、国民が自ら日本国の存続を放

 いつの選挙でも重要であることには変わりない。経済的困窮が広がるにつれて、政治選択が自らの生存に及ぼす影響の度合いが増していく。そのように考えれば来る参議院選挙の重要度は以前の選挙よりも増しているとも言える。
 アベノミクスの本質は通貨供給増による円価値の下落および資本の逃避を発生させて、米帝を支えることにある。円価値の低下は輸入物価高につながる。円安になったが、輸出数量ベースでは低下しており、輸出数量低下を円建て換算での増価が補っている状態である。大企業はドル建て資産の保有額が大きいので円安の恩恵を受けられるが、中小零細企業は納入数が減る中での、輸入物価高による原材料および燃料・エネルギー費用の増加が発生して収益を圧迫している。当然に人件費は削減される方向になる。平たく言えばアベノミクスとは中央銀行による異次元緩和により通貨価値が低下して、庶民の生活苦が増大する方策なのである。
 ここ最近は株価が下落基調にあるので、政府自民党は年金預託金を株式購入に振り向けている。年金預託金は年金の掛け金を払った人たちのお金であるのだが、そのお金を投機性の高い金融商品購入に費やしている。日経平均13000円のラインを死守するために、よそ様のお金を使い込んでるのである。
 アベノミクスで発生する生活苦に追い打ちをかけるように、2014年4月・2015年4月と2段階で消費税率が引き上げになる。消費税率の上昇は中小零細小売業者の経営を直撃する。産業構造のヒエラルキーで下層に位置する企業ほど、消費税を転嫁できずに自前で支払うことになる。消費税率の引き上げにより、価格決定の余剰が狭まり、市場そのものが収縮する。
 福島第一原発事故により、東日本は広範囲に汚染された。東京の虎ノ門では通常の110倍の中性子線が観測されている。2011年3月13日11時58分福一3号機で溶融した格納容器内核燃料が水素爆発→核爆発→水蒸気爆発を発生させた。これによりウラン235および超ウラン物質であるプルトニウムアメリシウムキュリウムが東日本一帯へ沈着した。3号機はその後も度々爆発を起こし2011年3月21日も核物質大放出を行っている。おりしも前線が北上し、東京や神奈川で降雨があった。東京湾周辺の高濃度汚染はこの時の降雨によるものだと推測される。その後も、焼却場から放出された煙が周囲に沈着して、放射能汚染レベルを引き上げた。
 今も福一1・2・3号機は核燃料が溶融した状態であり、2・3号機は再臨界を繰り返している疑いが強い。人類にとって未曾有の核事故は終息しておらず、今後の収束も絶望的な状態である。そもそも、地球上に有機生命体が繁殖していられるのは、放射線レベルが下がったことによる。藻類が放射能を吸着させたとも言われている。ともあれ、わざわざ発電ごときのために不安定化させた放射能核種の大量放出は全有機生命体に対する犯罪であると言わざるを得ない。今後、北半球における動植物に遺伝子レベルで甚大な影響が蓄積されていくことは確実である。
 これらのことを考えると、「自民党はなんなのか?」という疑念がわく。庶民の生活破壊と、放射能汚染による生存環境のはく奪を行っている。併せて自民党改憲案では、公益や公の秩序が人権や財産権に優先するとなっている。実質的憲法の停止であり、人権と財産権のはく奪を宣言しているに等しい。
 その自民党政権原発を海外に売り込み、原発再稼働を謀っている。大飯原発3号・4号機では「改良型燃料」と称するものが使われており、MOX燃料が装荷されている可能性が高い。福一3号機はプルトニウム比率の高いMOX燃料が使われていたゆえに、核爆発に至った可能性が高い。
 中越地震による柏崎刈羽原発事故を過小評価し、内閣府原子力安全委員会及び経済産業省安全保安院とともに原発邁進を選択したのは、当時の安倍総理であり、甘利経済産業大臣である。その2人が同じ役職についていること自体が、「霞ヶ関」の「福一事故の責任を取らない」ための意思表示であり、無責任内閣が樹立されて稼働していることを意味する。
 この内閣を選挙によって追認することは、国民が自ら日本国の存続を放棄することに等しい。