絶望の福島第一原発事故処理

 「美味しんぼ」叩きが凄まじい。作中
(見学途中の)「途中、3号機の前で東電の方の線量計で1時間当り1680マイクロシーベルトを計測しました」
とのカットがある。バス内部からの線量であるから、β線中性子線も含まれていない数値で1680μSv/hもある。自発核分裂物質である超ウラン物質も撒き散られたので、対人影響は甚大なものとなる。

 今回、「急性放射線症」である鼻血が多発しているのは、ベラルーシ帰りの「Gパパ」さんによると、α線β線源である核種が多く放出されたことと、中性子線被曝についても考慮しなければならないと指摘している。中性子外部被曝影響はγ線の10倍と言われている。放射化による二次被曝を考えると、中性子線の測定こそが必要だと思われる。

 一方、NHK福島第一原発収束作業が放送された。格納容器内に落ちたデブリを回収するスケジュールが述べられ、三菱のロボットが建屋に送り込まれるシーンがあった。福島第一原発構内は線量を下げる努力がされているので、放射線数値は大幅に下がったと報じていたが、バスの中で1680μSv/hも計測されているので、虚報である。
 2号機は地下5mまで核燃料が潜り込んでいると言われている。核燃料掘削調査が行われている。つまり、メルトアウトしてるのであって、NHKの言うところの上からクレーンで取り出す手法では一部しか取り出せない。もはや「あべチャンネル」と化した放送局の真実を求めてはいけない。

 この「美味しんぼ」のタイミングにNHKが故意に宣撫工作報道をぶつけてきたのは偶然だろうか?東京新聞2011年11月20日によると、漫画『美味しんぼ』が、政府による監視の対象になっていたことが発覚していた。
https://twitter.com/TakaoMorimoto/status/141296452805738496/photo/1

 政府が恐れているのは核燃に無関心な層が蜂起することである。元々の反原発派同士で情報をやりとりしても、社会的な威力は逓増しない。しかし、無関心な人々や社会的に力のある人達が脱原発行動に出ることを恐れている。であるから、政府は通俗的なマンガで原発問題が描かれることを極度に恐れている。
 
 原発事故後の東京を舞台に描かれたマンガ「コッペリオン」は311前からアニメ製作が開始されていたが、311後しばらく放送されずお蔵入りが噂されたが、去年放送された。原作アニメと物語は同一なのだが、事故を起こした原発そのものは描かれず、「放射能」とか「放射線」といった単語は一切出てこなかった。製作会社がゴーハンズなので、作画品質は安定するかと思われたが、後半作画荒れが目立った。かなり苦しい環境での製作が行われたと思われる。

 元々、ガミラス星からの遊星爆弾攻撃による地球上の放射能汚染から地球を救うという物語であった「宇宙戦艦ヤマト」は、「宇宙戦艦2199」としてリニューアル製作されたが、これもコッペリオンと同じく「脱放射能」されている模様。ガミラス星人は放射能がないと生きていけないはずなのだが、そういった描写は一切なくなっていたようだ。(私はまだ見ていない)

 意外な所で、エウレカセブンAOは虚構の世界を通じて原発核燃の危険性を問いかけた。

  • 転載開始-

 エウレカAOの世界では仮想の並行世界が語られる。その仮想世界は今の我々の世界を指しており、突発的な局所的地殻変動が起きるエウレカAOの世界では原発はエンルギー源の選択肢にはないと、「虚構の中の虚構という現実世界」を用いて自然現象に対する原発脆弱性を突いている。
 軍事面では強権的で広告会社を通じた情報工作を行うアメリカの存在や、トラパーというエネルギー源を基礎に独立を志向する琉球(沖縄)や、トゥルースという異世界の生命体と取引する日本政府、軍事組織であるゲネラシオン・ブル社などが入り乱れて、話しは展開する。隠喩を用いた原発批判をアニメ上での表現限界ぎりぎりを追求したと思われる。-転載終わり-
http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20140228
 漫画界の雁屋哲、アニメ界の竹田菁滋と言えようか。

 とは言え、創作世界で最も鋭く福島第一原発事故に切り込んだのは雁屋哲である。
 福島第一原発における破壊の惨状や付け焼き刃的な収束作業、相変わらず高い線量など、これを多くの読者を持つマンガ作品で描いた事は、無関心層への遡及力を考えると社会的に大いに意義がある。

 ソ連チェルノブイリ原発事故対応に80万人の人員を送り込んだ。その後、彼らが健康を損なっていく過程が「かつてのNHK」で放送された。脳が破壊されていく様子が詳しく報告されている。脳機能低下、神経細胞の破壊が見られるとされている。
 石棺化と地下核燃料の漏洩防止に成功したチェルノブイリでさえ80万人の人員を必要とした。
 福島第一原発は4つの原発の収束作業が必要である。3つの原子炉と4つの燃料プールであるから、7つも収束箇所がある。
 NRC議事録では
「3号機では最早「使用済み核燃料プール」が跡形もなくなっている、3号機の核爆発で全て残らず、噴き飛んでいた、使用済み燃料プールでOKかも知れないのは1号機のものだけだ」
 となっている。2と4号機燃料プールは健全な状態ではない可能性がある。3号は文言通りなら、飛び散ってしまったのだろう。
3号機プール「全部、飛び散った」 NRC議事録
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7628566.html

 結局、収束などは程遠く、3号機貯蔵燃料集合体の数は566体であり、これが爆発と共に放出されてしまった。この時点で、福島第一原発事故収束作業は永年続く苦闘が確定したのであって、日本のみならず人類社会全体にとっての分岐点となった。

 経済産業省内閣府文部科学省が核燃政策を所轄していた。本来彼らが福島第一原発収束対応にあたるべきであるのだが、止水壁を立案した馬渕議員を更迭し、諮問会議選任に公平さを求めた鉢呂経済産業省大臣も更迭した。つまり、霞ヶ関は内閣よりも強者であり、「内なる核燃帝国」を構築して人民を抑圧してきたのである。霞ヶ関の腐敗を追求していた石井紘基議員は刺殺され、「霞ヶ関の改革」を訴えていた小沢一郎議員は冤罪事件で政治勢力を削がれた。この国はかくも、霞ヶ関支配に屈服しているのであって、人民が泣いても喚いてても核燃が止まらないのは、圧倒的ヘゲモニーを握る官僚抑圧国家であるからである。昔天皇、今米帝の「鷲の御門」を背景に好き勝手やって来た霞ヶ関支配破綻の端緒が、福島第一原発事故であり、核燃につぎ込んだ国富は公債となって積み上がっている。やがて、国債の暴落をきっかけにして、通貨価値の大幅低下が引き起こされるのであって、海外からのエネルギーや食料の調達に支障をきたし、国内調達へ回帰しようにも、山河や放射能に汚染されており、人民の放射能汚染拡大へと突き進んでいくことになる。

(参考)
原発事故から10年 チェルノブイリ
http://www.youtube.com/watch?v=MqmcYXPcn8w
【被曝と記憶力】動画13分19秒より。買い物に出かけたが何を買えばいいのか「ど忘れ」してしまった元チェルノブイリ作業員 
http://youtu.be/MqmcYXPcn8w?t=13m19s 
日本でもこういう事例のツイートを散見するようになったので、今後の注意が必要。

「福島取材で鼻血が止まらなくなった」 「美味しんぼ雁屋哲インタビュー記事が物議http://www.j-cast.com/s/2014/01/15194236.html

(6)福島原発の爆発は核爆発であることを証言する人々
http://p.tl/8AIw

福島3号機爆発が使用済燃料プールでの核爆発であった証拠(燃料棒被覆管破片)を発見
http://blogs.yahoo.co.jp/costarica0012/24491987.html

福島原発事故まとめ−1  2011年3月11日〜6月30日まで
http://fukumitsu.xii.jp/syu_f/FukushimaGenpatsu_1b.html

美味しんぼ原作者“過激”予告「鼻血ごときで騒ぐ人は発狂するかも」。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=2869643