ゴーストタウン・デトロイトに東日本の未来を見る


 60〜70年代はアメリカの自動車産業や鉄鋼の街として栄えた米国デトロイトだが、現在中心地はゴーストタウン化し、市内の3割が空き地、6〜7万棟の建物が空き家となっている。貧困率・犯罪発生率は全米No.1である。
 さながら『北斗の拳』のような状況になっている。治安の悪さは赤信号でも止まるなと言われ、消防署は売りに出され、警官は諦め、ハロウィンの夜には空き家への放火が大流行。廃墟群は麻薬の売買や麻薬パーティの場と化しているという。古き良きアメリカはどこに行ったのだろうか。

 実はデトロイト郊外には1966年10月5日炉心溶融事故を起こしたエンリコ・フェルミ1号炉がある。
 炉心溶融事故の原因については情報があるのだが、どの程度放射能が環境中へ漏洩したのかは分からない。
 英語の文献には記述があるかもしれないので、興味のあるかたは英語文献を精査して欲しい。(Enrico Fermi Fast Breeder Reactor)

 さて、ここからはまるっきりの憶測なのだが、エンリコ・フェルミ1号炉の事故がデトロイト衰退に関係しているのではないか?と私は考えている。
もっとも、五大湖周辺には幾つも原発があり、放射能が数十年に渡って流れ込んでいる。土壌の汚染も酷いだろう。

 エンリコ・フェルミ1号炉(高速増殖炉)の隣にフェルミ原子力発電所というのが操業中である。ここから放出されるトリチウム、クリプトンなどの希ガスが一定程度あるだろう。この影響も無視できない。
 
 原発は住宅密集地には法律により建設できないはずなのだが、フェルミ原子力発電所は住宅地のすぐ近くにある。

 実姉はイリノイ州ロックフォードに留学していたが、地図で見ると川の上流にバイロン原子力発電所がある。アホかいな?
 留学先のホストマザーは胃がんを患っていた。姉も帰国後、悪性リンパ腫を発症した。敦賀原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖という本がある。リンパ腫というのは原発病とも言える。

 チェルノブイリ事故で分かったのは、放射能は脳に強く作用する。脳神経細胞が再生しないことが原因とされる。(大脳皮質には、大人になっても新しい脳細胞が付け加わっていることがわかっている)。
 放射能の影響により脳の神経細胞が破壊される。破壊された神経細胞は元にもどることはない。体の中に入った放射能の量が多いほど、脳の破壊がすすみ、やがて、脳の機能が失われていく。
 脳のもっとも外側が破壊されると、知的な作業ができなくなったり、記憶力が低下する。
特に影響を受けやすいのは、視床下部、脳幹。ここを破壊されると、食欲や性欲が失われたり、疲労感や脱力感に見舞われる。
また内臓の働きが悪くなったり手や足の動きをうまくコントロールできなくなるなど体全体に影響がでる。
恐ろしいのは、脳の異常は、その脳が気付けない点にある。

 脳機能が低下すると、記憶の喪失や性格異常が発生する。精神疾患の増加も影響があると思われる。
 結果的に、社会的な機構に衰退の影響がでてくる。暴力犯罪や放火の増加や、事故の増加となって顕在化する。つまり、デトロイトのような街になる。

 ん・・・何やら最近の日本が似てきたような・・・・東日本の未来にゴーストタウンデトロイトが見える。


(参考)
エンリコ・フェルミ炉はアメリカのデトロイト郊外にあった高速増殖炉試験炉である。
1966年10月5日に炉心溶融を起こし、閉鎖された。 原子炉の炉心溶融事故が実際に発生した最初の例とされている。後にこの事故について書かれたドキュメンタリーのタイトルには、『我々はデトロイトを失うところであった』と書かれた。
http://home-yasupapa.pya.jp/heiwasengen%20genpatujiko-2.html

        • -

エンリコフェルミ高速炉の燃料溶融事故とナトリウム冷却炉の設計と運転上の問題点
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002466870
「事故の原因は炉内の流路に張り付けた耐熱板が剥がれて冷却材の流路を閉塞したためである」
高速増殖炉 −過去。現在・未来 小林圭二氏
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No100/kobayashi050322.pdf
(2)エンリコ・フェルミ炉の炉心溶融事故(1966年)
① それまでにも蒸気発生器(初の一重管方式)の事故が絶えなかった。伝熱管漏洩事故と、蒸気温度と圧力の振動事故が多発。後に後者と同様の事故がもんじゅでも発生。
② 運転のため出力を上げている最中、制御棒の位置がこれまでより引き抜かれている状態にあることに気がつき、同時に、建家内の各モニタ−が放射能の異常な上昇を検出、格納容器の自動的隔離が働いた。原子炉は手動でスクラムされた。
③ 炉内の状況把握と原因解明に長期間を要し、1年3ヶ月たって、ようやく原因が確認された。炉心下部に、炉心崩壊事故時の再臨界防止を兼ねて円錐形流路案内部が設置されているが( 、それを構成するジルコニウム板のうち2枚が剥がれ、燃料集合体への冷却材流 図2)入口を塞いだために燃料が過熱し溶融したことが確認された。この事故は、後にもんじゅの「五項事象」の一つ「局所的燃料破損事故」として安全解析の対象となった。
④ 1970年運転再開されたが、72年、永久閉鎖された(短命だった 。)

          • -


高速増殖実験炉「常陽」の事故及び関連する主要な出来事まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2130327957585653801
高速増殖実験炉「常陽」の事故とその重大性
小林圭二(元京都大学原子炉実験所講師)
昨年(2008 年)の原子力学会年会、14 の分科会に分かれた広範かつ膨大なプログラムの中に、「ナトリウム冷却型高速炉の原子炉容器内観察・補修技術の開発」という地味なタイトルが含まれていた。特に注意はしていなかったが、直前に送られてきた予稿集を読んで、「おや、これは何だろう」と思う記述があった。「計測線付実験装置と回転プラグとの干渉」という短い記述である。胸騒ぎを覚えて当日の口頭発表を聞きに行き、そこで高速増殖実験炉「常陽」で事故があったことを初めて知ったのである。
常陽は茨城県大洗町にある熱出力14 万キロワットの実験炉で、発電設備は備えてない。 現在はもっぱら将来の高速増殖炉用燃料や材料の開発のための照射試験用原子炉として使われている。
「常陽」の炉心は、「もんじゅ」と同じような六角形の燃料集合体85 体で構成されてい る。照射試験は、炉心のど真ん中を含む6 ヶ所で行えるようになっている。2007 年5 月 の定期検査時に、そのうちの1 つに入れていたMARICO − 2 と呼ばれる照射試験用実験装置を抜き、原子炉容器内壁近くのラックへ移した。MARICO − 2 をそこで切り離し、移動装置だけ元の位置に戻した。ところが、照射実験装置がラックにキチンと収まっていなかったか、あるいは移動装置の掴みがはずれなかったために、移動装置の移動によってMARICO − 2 の上部が引きちぎられてしまった。MARICO − 2 はラックの上へ9 センチもはみ出し、その突起物が、移動装置の移動にともないラック上を通過した炉心上部機構にぶつかり、炉心上部機構の下面を破損させた(図)。
ところが、事故の発生は約6 ヶ月後まで わからなかった。11 月の燃料交換作業で操作不能が起こり、その原因調査で初めて損傷に気がついたのである。破損の発生も、それに気がつかなかったことも、ナトリウムが水とちがって不透明なことが基本的要因となっている。その不透明さが、破損の調査自体も大変困難にした。破損部を探査するためには、原子炉容器内のナトリウム液位を、炉心上面が裸になるまで下げなければならない。炉心上面と炉心上部機構の間はわずか7センチだ。炉心上部機構の下面を調査するには、その隙間へ上向きの観察・撮影機器を差し込み、原子炉容器外から遠隔操作できる特殊な取扱装置を開発しなければならない。学会の発表はその装置の開発と模擬テストを報告するものだった。
特殊装置による調査の結果、炉心上部機構の下面では制御棒案内管が曲げられ、冷
図07年の「常陽」の事故原子力機構の資料より
却材の整流板が下へ垂れ下がっていた。照射実験装置の移動装置は引きちぎられたMARICO − 2 の上部(ハンドリングヘッド)を掴んだままの状態で、それを試料部とをつないでいた6 本のピンはなくなっていた。数々の損傷の中でも制御棒のスム−スな動作を妨げる案内管の損傷、原子炉容器内に散乱された固定ピンの行方は、安全上極めて重大な事態である。
同様の事故が「もんじゅ」で起こればどうなるだろうか。そもそも「もんじゅ」では、究極の事故=炉心崩壊事故対策として、ナトリウム液位を炉心上面が見えるところまで下げられない構造になっている。破損を見つけること自体できない。
「常陽」で失われたピンの探索・回収は困難を極める。前例が、1966 年、米国高速増殖実験炉フェルミ炉で起こった。剥がれた板が冷却材流路を塞ぎ、過熱した燃料が溶融した事故である。特殊な遠隔操作機具を開発し、失われた板の回収に2 年近くを要した。固定ピンはより小さいため、探すだけでもフェルミ炉事故の場合よりずっと困難だろう。どこかに挟まり冷却材の流れを塞げば炉心溶融につながる。炉心が溶融すると原子炉の反応度が増大するので暴走事故につながるかもしれない。(フェルミ炉や「常陽」は実験炉で小型のため、その影響は「もんじゅ」より軽減される)。原子炉容器内に異物を落としてしまうトラブルはあり得ることだ。高速増殖炉ではそれが致命的になる可能性が大きい。
「常陽」の事故は、軽水炉にない高速増殖炉特有の危険性を如実に示している。それが、原子力界内で目立たぬように処理されようとしている。修理には2 年〜 4 年、40 億円〜100 億円の費用がかかると言われている。こんな原発が実用になるはずがない。
http://www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/home/0901joyojiko.pdf

実験炉 常陽
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49612267&comm_id=4775019&__from=mixi