国立大学文系廃止は撤回されていない。

横浜国立大学教授の室井尚氏のブログによると、
『昨年度6月に閣議決定された『国立大学改革プラン』に従って、呆れるほどスピーディに平成25年秋にはほとんど決定された『ミッションの再定義』によって各国立大学や各学部が目指すべき『ミッション』が、文科省によって一方的に各国立大学に通達された。『各大学との意見交換によって』と書かれてあるが、実際にはそうではない。文科省からすでに文言がほとんど書き込まれ、自主的な数値目標だけが空欄になった『ミッション』が一方的に各大学に突きつけられたのである」
「この表の2,3,4には埼玉大学千葉大学横浜国立大学と関東一円の地方大学が並んでいるが、文科省がこれらの大学に求める『ミッション』は共通している。つまりは理工系か医療系に力を注げということだ。実際、文科省の担当者からは多数の私学がある神奈川県では、教育コストがかからない文学部系は私学に任せて、理工系に集中させないと税金を投入する意義を問われると財務省から言われているとの発言があったそうで、その結果ぼくたちが所属している『人間文化課程』は、実態は全く異なるのに単なる教員養成系の『新課程』と一緒くたにされて『廃止』と告げられてしまった(リンクの後ろの方に書いてあります。ほんの二行だけ。これも最初っからこう書き込まれていた)。文科省が国立大学の課程・学科を直接『廃止せよ』と言ったのである。』

福井新聞によると
『県下でたった2つしかない人文社会科学系のひとつである福井大学地域科学課程の廃止が決定し地元に波紋を広げている』

安倍首相は5月6日のOECD閣僚理事会基調演説でこう語っている。
「だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。」

国立大学の文系学部廃止(人文社会科学・教員養成系)最新情報まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2143619433341443601
"埼玉大学は8月、2018年度までに教育学部の定員を100人減らし、大学院理工学研究科の定員を200人増やすことを発表。弘前大学も2016年4月から、理系学部で定員を90人増やす一方、文系の人文学部教育学部で計150人減らすことを決めた。"
”文系学部のある全国の国立大60校のうち、半数近い26校が2016年度以降、文系学部の改廃を計画している”


〈通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(今年6月8日、抜粋)
『「ミッションの再定義」で明らかにされた各大学の強み・特色・社会的役割を踏まえた速やかな組織改革に努めることとする。
特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。〉』

『国立大学の人文社会科学系学部の改組や廃止を求めた通知が波紋を呼び、文部科学省が「火消し」に躍起になっている』
と言われているが、現実には着々と国立大学の人文系学部の縮小が行われている。

これはかなりの大問題だと思われる。

例えば原発問題では在野のジャーナリストはかなり問題提起を続けてきたが、矢ヶ崎克馬名誉教授や京都大の六人衆は別にすると、大学側からの警鐘はあまり鳴らされていなかった。
311後は経済的側面も含めて、原発に批判的な書籍がかなり出版された。
「遅かりし由良之助」「泥棒捕まえて縄捩り」の感は拭えないが、大学に属する人たちからも原発に批判が浴びせられた。

戦争法案について言えば、改憲派と目されていた憲法学者が「戦争法案は違憲」表明して、潮目は一気に変わった。
「シールズ」や「総がかり行動」により抗議運動を可視化した事も大きく影響したと言える。
とはいえ、やはり学術分野の影響力は大きく、研究に投入できる人的パワーも大きい。

安倍政権は米国や日本の支配層が育てた寡頭支配のための政権である。
安倍政権は「改憲」を明言しており、来年の参議院選挙で人民側が敗北すれば、「憲法ではない憲法」により、実質的な憲法停止状態に置かれる。
これに抗するには、多くの人民を動員する必要がある。

そうなると、学術・教育分野の人達の「去就」が人民側の運動における帰趨を決する事になるだろう。
安倍による国立大人文系廃止は、改憲に向けた先制攻撃である。
自民党改憲案は「商家の家訓」の類であり、国民の義務を羅列し、日本国憲法が護ってきた国民の権利を剥奪する内容となっている。
自民党改憲案が成立すれば、戦争法案やTPPのような限定的な問題では済まない。
改憲とは、「安倍王朝の誕生」であり、日本の『東朝鮮化』である。

悪の巣窟である珍米は属領植民地の専制政治を好むのであって、珍米とは独裁政治の輸出業者である。
安倍政権の独裁・専制・強権化は珍米の意向に沿うものである。
故に、人民は人民の権利を護るため、安倍自公政権を打倒して、対米従属構造そのものを覆さなくてはならない。

もう一つの911事件である1971年チリで起きたアジェンデ政権クーデターの背後には珍米がいた。
ピノチェトの軍によるクーデターは学者らの知識人大弾圧を引き起こした。
珍米はシカゴ学派を送り込み新自由主義思想で、人民からの収奪を強めた。

であるからこそ、人文系の学者が担っている役割は大きい。
単に学問探求だけに留まらず、現実社会に影響力を行使して、珍米による民主主義破壊を防止しなくてはならない。
「世界のならず者」である珍米の本質は暴力詐欺師である。
珍米は人民からの収奪構造を構築するために詐術を使う。
その尖兵として、シカゴ学派の学者が跳梁した。

人民もただ傍観するのではなく、意思を表明し、財閥群による経済搾取体制から、極力距離を置かなければならない。
財界が政治を動かし、官僚を統御し、学術界を制御している。
人民は自発的意思に基づき行動し、できるかぎり情報や経済活動の「内製化」を行うべきである。
マハトマ・ガンディーのシンボルは糸を紡ぐ姿である。
他国による産業侵略に抗するため、非暴力運動と同じく自給自足を掲げた。
TPPはこの「内製化」の動きとは真逆の珍米による産業構造強奪に他ならない。
南米諸国が零落したのは珍米によって産業を根こそぎ奪われてしまったからだ。
一度産業を奪われてしまうと、いかに働いても収奪構造下ゆえに豊かになれない。
自国の資本で、産業を再興させることが極めて困難になる。

また、産業構造が軍需品製造を主体となると、国内から「戦争を欲する」動きが出てくる。
戦争法案により、徐々に企業や労働者や資本が兵器産業へ傾斜していけば、産業保護の名目で戦争が引き起こされかねない。
今はまだ限定的ではあるが言論の自由があり、平和を前提とした産業構造であり、民族資本によって産業構造は維持されている。
金融収奪が着々と行われ、貧困化が進んでいるが、まだ、人民が国家主権を取り返せるのである。
以後、1日、時間が過ぎていくたびに、人民は苦境に追い込まれている。
安倍政権による大学統制を許してはならない。
今なら人民が広範に蜂起すれば、珍米安倍支配を倒すことができるのだ。