ヤマトシジミ被曝研究、子や孫世代にも異常が引き継がれる。

1.被曝の影響は世代を超えて残る
 琉球大学の大瀧丈二准教授が率いる研究チームがヤマトシジミの被曝の影響を調査し、その研究論文が2012年3月9日英文科学誌Natureグループの「Scientific Reports」に掲載された。(1)
『研究チームは事故直後の2011年5月、福島県などの10市町でヤマトシジミの成虫144匹を採集。うち、7地域総合で12%に羽や目の異常が認められた。
 これらのチョウ同士を交配した子世代での異常率は18%に上昇した。同様の7地域で9月に採集を行ったところ、異常率は28%、その子世代では52%に達した。類似の異常は、沖縄個体を外部被爆・内部被爆させた実験でも認められた。』

 イギリスの学術界は米日に比べて比較的産業界から独立していると言われる。イギリスは国際原子力機関(International Atomic Energy Agency 略IAEA)から独立した被曝安全基準を設けるべきだとしている。IAEAは核燃産業と近い関係にあり、「原発を推進していくための被曝基準を設定している」なのである。1990年に出された国際放射線防護委員会(ICRP)による勧告基準では安全を確保できない。

 1927 年 H.J.マラー博士は、ショウジョウバエのオスへのX線照射実験によりX線量と突然変異の発生が正比例することを発見した。そして一度の照射でも分割した照射でも、突然変異の発生率は同じ、すなわち、総線量に正比例した。言い換えれば、DNA 損傷は修復されることはなく、わずかな線量の影響もそのまま加算される、正比例だから直線になる、修復されずに蓄積するから微量の被ばくも無視できない。7世代にも渡って被曝の影響が遺伝変質が出たとも言われている。ショウジョウバエのオスの精子に修復機能が無いとの指摘もあるが、自然界における放射線の影響から淘汰されずに生き残ってきた過程を考えると、修復機能が全く無いとはとは考え難いだろう。


2.ヤマトシジミ被曝研究
 大瀧丈二准教授の研究により、被爆によって生殖細胞の遺伝子が傷つけられ、子や孫世代にも異常が引き継がれることや、福島で採れた草をエサとして与えることで低線量の内部被曝をさせると、沖縄のチョウにも福島と同様の異常がでることがわかあった。
福島原発周囲に生息している植物をチョウに与えてみたところ、体内の放射能蓄積量が1.9ベクレルに達すると死亡率が50%になることを発見しました。
また、チョウの体内に0.76ベクレルを超える放射能が蓄積されると、異常発生率が50%を超える事も判明した』(2)
 チョウのように条件を管理できれば被曝と生体への証明できる。人間の場合は被曝との因果関係を証明するのは困難であるが、基本的に放射線が遺伝子を傷つけるという被害が存在することは確定的と言える。


3.低線量でも大きな影響
 この研究結果が衝撃的だったのは、極めて低い線量でも影響が出た事である。
?ヤマトシジミが幼虫期に食べるエサの量を定量化し、内部被爆した線量を算出した。
?内部被爆した量と死亡率(異常率)の関係を調べ、半数のヤマトシジミが死亡する(異常が生じる)線量を算出した。
?内部被爆させた蛹(さなぎ)に含まれる放射性セシウムの線量を定量化し、体内に蓄積しているか確かめた。
?ヤマトシジミの内部被爆実験から考えられる放射能汚染の生物学的影響について考察した。
 人の場合は45ベクレルから影響がでるとされているが、実際にはもっと低線量でも影響が出ている可能性がある。少なくともIAEAのいう年間1mSv/年という基準にはなんら安全の保証は存在しないという事は言える。


4.シジミチョウの放射能汚染葉摂食による内部被曝
 2012年の第一論文につづいて、琉球大学研究チームは2014年に第二論文を発表している。
 汚染葉を食べて育った親から生まれた第2世代の幼虫に、親と同じ汚染葉を与えたところ、親以上に生存率は低く、異常発生率は高かった。しかし、汚染されていない葉で育った第2世代は、死亡・異常発生率とも、ほぼ正常に近い水準に戻った。第2世代は放射能に汚染されていない摂食によって、親の世代の汚染葉摂食(内部被曝)の影響をかなり克服しうる。また、低線量摂食被曝の影響のすくなくともいくつかは、(遺伝ではなく)非遺伝的な変化と考えられうるとしている。(3)


5.ヤマトシジミ奇形論文の琉球大学研究費カット
 放射性物質により広範囲が汚染された地域での生態系に対する研究は、非常に価値の高いものである。にもかかわらず、大瀧准教授のヤマトシジミの研究は、研究費が打ち切られた。研究費用の内訳を見ると、外部委託するゲノム解析費用が約700万円にのぼるなど、自費では困難な状況がうかがえる。(4)
 研究費の削減は、遺伝子解析への妨害ではないかと指摘されている。遺伝子解析を行うと、被曝の影響と遺伝子の関係が明白になってしまう。研究費をカットして遺伝子解析を妨害しようとしている。


6.琉球大学の野原千代さん急性心不全で死去。
 ヤマトシジミの研究で有名だった、琉球大学の野原千代さんが2015年10月28日に急性心不全で亡くなられた。
 ユーリ・バンダジェフスキー博士の研究などにより、残留放射能内部被曝と心臓などの循環器系疾患の因果関係が証明されている。
 調査研究のためフクシマ入りした事が原因による心不全死ではないかと思われる。

 ちなみに、クリス・バズビー博士は新潟経由で会津若松入している。中通り浜通りなどには赴いていない。バズビー博士はチェルノブイリ事故の折にチェルノブイリ付近へ赴いた同僚の研究者が全員死んでしまった経験から、被曝については極めて慎重な体制で望んでいる。離日する際に、成田空港にて、着ている服を全部脱いで捨てていった。


7.被曝の影響は世代を超えて発現する。
 チェルノブイリ事故の後、30年を経ても、ウクライナベラルーシやカザフフタンや汚染地帯では、健康な子供が10%もいないという。被曝は世代を超えて影響が現れる。
 琉球大学研究チーム第二論文では放射能に汚染されていない葉を摂取すれば、第2世代は内部被曝の影響をかなり抑える事ができるとある。しかし、汚染した葉を食べれば、第1世代以上の死亡・異常発生率となっている。
 つまり、フクシマ以後の世代は「より一層食べ物に気をつける」必要がある。

 2012年8月24日、公益財団法人日本生態系協会池谷奉文会長は
「福島の人とは結婚しないほうがいい」
「今後、福島での発がん率が上がり、肢体の不自由な子どもが発生する懸念がある」
と発言した。(5)
 このことをけしからんと非難するのは、心情的には理解できるが、発言の真意を考えれば、暴言とは言い難い。
 戦後、広島で産婆さんしていた方の話によると、奇形児が出る度に、首を折り死産だった事にして、毛布に包んで帰ったそうだ。広島の原爆投下10年後にピークを迎え、毎日奇形児が出た。原爆投下後に一人目の子供が奇形児なら二人目の子供は普通子供が産まれるそうだ。産婆さんはその時の心労で毎日うなされ、北海道に移住した。(6)
 原爆の場合は核燃料は数キログラムである上に、爆発で飛び散ってしまう。原発の場合は装荷している核燃料が1機で100t程度もある。少なく見てもフクシマは数10トンは放射能を放出している上に、今でも溶融した核燃料が再臨界を繰り返し、核分裂生成物を製造し放出し続けている。
 加えて、政策的に「放射能を食べる」促進策が執られているので、被曝の影響は深刻なものとなる。当然、影響はフクシマに限らず東日本全域で発生するだろう。関東圏だけで4000万人の居住者がいる。


(参考)
(1)大瀧丈二准教授らのヤマトシジミにおける放射線影響研究がNatureグループの“Scientific Reports”誌に掲載
http://www.u-ryukyu.ac.jp/info/yamatoshizimi2012081501/

(2)チョウの幼虫、1.9ベクレルの被ばくで半数が死亡!体内蓄積量が0.76ベクレルを超えると異常発生率が50%を超える!
福島原発周囲に生息している植物をチョウに与えてみたところ、体内の放射能蓄積量が1.9ベクレルに達すると死亡率が50%になることを発見しました。
また、チョウの体内に0.76ベクレルを超える放射能が蓄積されると、異常発生率が50%を超える事も判明した』
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/223.html

(3)[フクイチ核惨事] ヤマトシジミシジミチョウ)の放射能汚染葉摂食による内部被曝 / 低線量被曝でも幼虫にダメージ
http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/436.html
Fukushima radiation still poisoning insects
http://www.sciencemag.org/news/2014/09/fukushima-radiation-still-poisoning-insects

(4)ヤマトシジミ奇形論文の琉球大学研究費カット
琉球大学の大瀧丈二准教授が率いる研究チームでは、ヤマトシジミという小型の蝶を福島県で採取し、奇形などの発生率を調査した。
結果は衝撃的なもので、2011年5月に採取した蝶では12%に、9月に採取した蝶ではなんと28%とさらに2倍の高率で「目がくぼんでいる」「羽が小さい」などの異常が見られた。
また異常のある蝶と正常な蝶を交配させた第三世代では、奇形率は34%にものぼった。世代を超えて影響しない、とする楽観論を真正面から否定する結果である。同論文は、世界的な権威とされる英科学誌「NATURE」にも発表された。』
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/286.html

「2013/06/08 福島原発民衆法廷 第9回公判 福島法廷」
(IWJ Independent Web Journal)Ustream動画(2/4) 51分ごろから、岐阜環境医学研究所 ・松井英介氏の発言。
『「琉球大の人たちがヤマトシジミを調べたんですけれど、研究費がカットされちゃっているんですね。こりゃ圧力だろうと言われていますけれど」
専門家の間では、すでにこの話は広く知られているようだ。
遺伝子解析を行なうと、被曝の影響であることがはっきりわかってしまうので、
研究費をカットして何とか妨害しようとしているわけだ』
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/83812
南相馬市 大山こういち氏のブログ
http://mak55.exblog.jp/19039224/

ヤマトシジミの研究者・野原千代さんは殺されたのではないか?
ヤマトシジミの研究で有名だった、琉球大学の野原千代さんが2015年10月28日に急性心不全で亡くなられた。
彼女の所属する大瀧丈二准教授の研究チームは、ごくわずかの被ばくでもヤマトシジミに異常が発生すること、また異常のある蝶と正常な蝶を交配させた子孫にも異常が見られることなどを実験で証明し発表した。』
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/238.html

THE_放射能_科学は放射線の影響にどこまで迫れるのか?20160314
http://www.dailymotion.com/video/x3xkpox


(5)「福島の人とは結婚しないほうがいい。奇形の子供が生まれる」 生態系協会長がつい本音を語り福島県民にフルボッコにされる
『講師を務めた池谷会長は「福島の人とは結婚しないほうがいい」「今後、福島での発がん率が上がり、肢体の不自由な子どもが発生する懸念がある」などと発言した』
http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/771.html

ヒバクチョウが実証されました・フクシマでシジミ蝶に遺伝異常/琉球大学
ヤマトシジミは人が生活する場所に多く生息する。チームは昨年5月と9月、福島県内のほか茨城、東京など計10カ所で採集した。
5月に集めた成虫144匹から生まれた卵をふ化させて育て、孫の世代まで調べたところ、いわき市広野町など福島県内のチョウは、子の世代で死ぬ 確率がほかの地域に比べ高かった。線量が高い地域ほどオスの羽のサイズが小さくなっていた。子の世代では全体の約2割で羽の配色パターンや斑点の数などに 異常があり、親の世代よりも1・5倍高い発生頻度だった。
9月に採集した成虫約240匹では、子の世代の約5割で異常が見つかった。』
http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/431.html

(6)戦後広島で産婆さんしていた方から聞いたという話が衝撃的すぎると話題 (日々雑感)
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/145.html
http://hibi-zakkan.net/archives/18987588.html

日本では奇形児は生まれない 奇形と分かったご家庭には、保健師をはじめ次々と何人もで訪ねて堕胎をすすめ 伝聞引用
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/733.html

ダウン症か99%わかる出生前診断導入に人権団体が異議 日本ダウン症協会「ふるい分けするな!断固反対」
http://www.asyura2.com/10/social8/msg/869.html

ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-08


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