戦争のためのオリンピック

1.オリピックを利用したヒトラー
 第11回ベルリンオリンピックではそれまで都市主催であったオリンピックを国家主催にし、聖火リレーなどの派手なショーアップを行った。レ二・リーフェンシュタールが撮影した記録映画『オリンピア』が世界各地で大反響を呼ぶなど、「興隆する新しいドイツ」のアピールにオリンピックは利用された。1936年ベルリン大会はナチスの宣伝に利用されたのである。この事が、ヒトラーが自信を得て大戦に突入した契機となり、1939年のポーランド侵攻第二次世界大戦開戦に繋がっていく。皆が知る通り、1945年にドイツは壊滅的状況で敗戦を迎え、東西ドイツへ分割された。
 日本でも、1940年に東京オリンピック開催を予定していたが、日中戦争の激化により開催を辞退している。1945年、大日本帝国は文字通り壊滅した。
 2020年の東京オリンピックは2011年の東日本大震災からの復興をテーマの一つに掲げているが、1940年の東京五輪もその17年前に関東大震災が起きていて、そこからの復興をアピールする意図があった。
 大友克洋のマンガ「Akira」では2020年の東京オリンピック開催を的中させた。作中ではオリンピック開催前に世界大戦が起きた設定となっている。

 アベ政権は平成の治安維持法と言われる秘密保護法の制定や、集団的自衛権を実用化する戦争法制を施行させている。アベ政権の閣僚が差別主義団体と近い関係を保ち、漫然と漂う嫌韓嫌中の風潮がある。オリンピックを機会にスポーツナショナリズムを背景にして日本は一挙に国粋主義へ傾倒し、全体的に右傾化する危険性がある。オリンピックを利用して世界大戦へ突き進んだのはヒトラーだけの専売特許ではなく、アベ政権も同じ道を進んでいる可能性がある。


2.オリンピックが誘う戦争への道
 米欧は過去15年間に7つの国を破壊した。アフガニスタンイラクリビア、シリア、ウクライナ、イエメン、リベリアだ。
 シリアでは米軍が発電所空爆するなどして、都市インフラを破壊したため、百万人単位の難民が発生している。米欧がなぜ侵略を繰り返すのかと言えば、資源権益や軍産複合体にとっての利益確保と、相手国の国家運営主導権を奪い取るためである。軍事侵略に伴う爆撃や、無人偵察機による攻撃で何百万人もの人々を、殺害し、不具にし、強制退去させてきたのである。
 また、米欧の宣撫工作により、宗教や民族間の憎悪や対立を煽られており、難民は帰還すれば死が待っている場合がある。いかに悲惨な状況でも辿り着いた国から帰還したがらない絶対的な理由がある。
 このような悲劇を大金と膨大なエネルギーと人的損耗を伴いながら発生させておきながら、米欧や米国を支える日本では、なんら人事のように傍観を続けている。日本人は保健所に収容された犬猫には哀れみを寄せても、直接的、間接的に関わっている軍事的、政治的暴虐行為に自省する意思を見せるということは殆どない。
 米国はシリアに介入するに留まらず、ベネズエラボリビアエクアドル、アルゼンチン、ソマリアスーダンホンジュラスにまで触手を伸ばし、やがてはイランや北朝鮮や中国やロシアとも事を構えるつもりである。しかし、日本では悪役と言えば、ロシアであり、中国であり、北朝鮮なのである。
 日本人の誰にも自覚がないのであるが、その両手は真っ赤な血で染まっている。自覚なき大虐殺を支援した我々日本国は、やがて自衛隊が海外へ派兵され現地で直接に手を下すようになる。
 国際的なスポーツ大会全般に言えるが、これらの大会は「国威発揚」であり、「ナショナリズムの扇動」という狙いがある。オリンピックとは「戦争の祭典」なのである。定期的に国粋主義を煽り国家間の緊張を高める。北京五輪開催式典中に南オセチアの米傀儡サーカシビリ政権がロシア保護領北オセチアに攻め込んだ。ソチ五輪の時にはCIAやイスラエルウクライナのヤヌコーヴィッチ政権を軍事転覆させた。南オセチアのサーカシビリ元大統領はどういうわけだか、ウクライナ州知事に就任している。オリンピックとは欧州貴族利権と軍産複合体の協労作業と言えるのだ。


3.冤罪ドーピングでロシア叩き
 日経新聞にロシアのドーピングの記事が掲載されるようになっていた。日経はFTを2200億円かけて買収したが、何のことはないFTの記者が書いた前置きがズラズラと長いだけの米欧プロパカンダ記事が増えただけである。その日経の記事だから、逆さにして読むのが正解なのだろう。今年3月4日、女性テニス選手のマリア・シャラポワが突然ミルドロネートを服用を“禁止物質の代謝調整剤”という理由で出場停止となった。ミルドロネートはマグネシウム欠乏症の治療薬である。シャラポワは、マグネシウム欠乏症を病んでいる。シャラポワや幼少時にチェルノブイリ事故に被災して、親子で移住した経歴がある。被曝の影響が疑われる。
 テニス連盟、世界アンチ・ドーピング機構による嫌がらせだと推測されるが、ロシアへの牽制もあるのだろう。シャラポワはブラジルオリンピックへは出場できない公算が大きい。
 特にアメリカはロシアのプーチン大統領の失脚を狙ってありとあらゆる方策を行使してきている。ロシアの新興財閥オルガリヒを追い出し、ガスプロムを掌握したプーチンを目の敵にしている。自国の資源を自国のために使って何が悪いのか。アメリカによる「他国の資源は俺のもの」というジャイアニズムこそ責められるべきである。
 ブラジルオリンピックよりの先駆けてブラジルではサッカーワールドカップが開催された。ブラジルのリオデジャネイロでは競技場整備で再開発されたスラム地区に住む子供達を銃撃し、多数を射殺したという報道が写真入りで出た。そこまでして大運動会が見たいのか?そういった事実に目をつむって、テレビの前で熱狂している大衆の精神構造自体が責められるべきである。
 兎にも角にも、シャラポワのドーピング事件は米欧勢力によるロシアへの先制攻撃である。ブラジルオリンピックでは、北京オリンピックソチオリンピック開催中に起きた、米欧による軍事的策謀が再度炸裂する可能性が高い。
 日本オリンピックを目指して、軍国化、右傾化、排外主義化が進む日本においても他人事ではない。


■戦前の時系列
1908年 ロンドン五輪(1回目)
1914年 第一次世界大戦勃発
1918年 第一次世界大戦終結
1920年 国際連盟成立
1921年 日英同盟解消
1923年 関東大震災
1924年 アメリカ排日移民法
1925年 治安維持法
1929年 世界恐慌始まる
1931年 満州事変
1932年 5.15事件
1933年 国際連盟脱退
1936年 2.26事件 ベルリン五輪
1937年 日中戦争始まる
1938年 国家総動員法
1939年 独ポーランド侵攻 第二次世界大戦始まる
1940年 日独伊三国軍事同盟 東京オリンピック(中止)
1941年 太平洋戦争始まる
1945年 日本敗戦、ドイツ敗戦・東西ドイツ分割
■戦後の時系列
1964年 東京五輪
1973〜4年 第一次オイルショック
1980年 モスクワ五輪
1986年 チェルノブイリ原発爆発事件
1988年 ソビエト連邦軍アフガニスタンから敗走、アルメニア大震災発生
1989年 ベルリンの壁崩壊、東欧民主化ソ連解体へ
1984サラエボ五輪
1988年 ソウル五輪
1992年 ボスニア内戦勃発、ユーゴ連邦崩壊へ
1997年 韓国経済危機、IMF管理下へ
2003年 バラ革命 グルジア
2005年 オレンジ革命 ウクライナ
2005年 チューリップ革命 キルギス
2008年 北京五輪 南オセチア北オセチアに侵攻
2011年 東日本大震災
2011年 ジャスミン革命 チュニジア
2011年 エジプト革命 エジプト
2011年 リビア革命 リビア
2012-16年 シリア紛争
2013年 秘密保護法制定
2014年 ソチオリンピック ウクライナ政変
2015年 戦争法案可決
2016年 中国景気減速
2016年 ブラジルオリンピック
2020年 東京オリンピック

(参考)
スポーツの政治化(マスコミに載らない海外記事)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-d34d.html
オバマアメリカの覇権をDeifies。国連はアメリカの侵略と爆撃を停止するには何もやっていません。
http://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/901a6352162d2a576992947a493babe9
イラク・シリア・レバノンリビアソマリアスーダン・イランを侵略4
https://www.youtube.com/watch?v=xTnyVo2CaAc
オリピックあれこれ(37)
http://blog.goo.ne.jp/k-chujo/e/528010d2bc58352eb7ab4ffc9abb475f
関東大震災治安維持法⇒五輪中止⇒太平洋戦争の流れが今と似ているとツイッターで話題に!「これみてぞっとした」
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-3449.html
五輪誘致への影響を懸念して、汚染水審議先送り!「独裁国家がオリンピックを開催すると、10年以内に崩壊する」という法則
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-791.html
東京五輪がなくなる? 1940年の幻の東京五輪と2020東京五輪が恐ろしいほど似ている!
http://lite-ra.com/2015/09/post-1456.html