電源環境とか自作スピーカーとか

 Stereo誌にマイトランスの記事が載ったことがある。電力会社に頼んで、最寄りの電柱に降圧トランスを乗っけて貰うと音が良くなる?という趣旨である。電設屋さんに聞いたら、周囲のトランスが並列で動作しているので、差は無いだろうという話である。引込線のケーブル径が契約アンペア数と比例する。大きなアンペア数で契約して、通電後に契約アンペア数を落とすのが良いそうだ。

 パソコンの場合は通電時間が長いので消費電力が電力代に直結する。オーディオはそれほど長くは視聴しないのだが、アンプをつけっぱなしにしている人もいる。アナログアンプは電源投入直後に音が寝ぼけている。30分から1時間で最良の状態なる。いちいち待っていられないので、電源入れっぱなしにしておく、ということになる。方舟に行った時、想像していた通り室内は底冷えしていた。5月なのに、コンクリート打ちっぱなしにエポキシ塗装しかしていないので、寒いのである。長岡先生ご存命の時にはオーディオ機器は電源入れっぱなしだったので、それほど寒くは無かったらしい。

 福一が爆発して、節電せざるを得ない事が明白になった。原発依存からの脱却を図らねば、国が消滅しかねない。逆に言えば、節電の為に犠牲はやむを得ない。経済産業省文部科学省仙谷由人枝野幸男らは原発をまだ稼働させるつもりである。私が思うに大電力を消費する産業は国外に出てもやむを得ないのではなかろうかと思う。輪番停電で分かったのは、電気が途絶すれば生産性がガタ落ちになる。そのような事態を招かないためにも、国内製造業の国外転出はやむを得ないだろう。景気も悪くなるし、貧困化も進むのだが、原発が爆発するよりは良い。
 昔の100尺規制というのは耐震性を考えると合理的だった。30.8mの建物なら鉄筋コンクリート造りになる。超高層建物は必然的に鉄骨造となる。超高層建物は直下型地震によって縦揺れ衝撃派により、自重が躯体にのしかかり倒壊確率高いと想定される。超高層鉄骨造建物には近づかない方が良い。
 更に高層建物は電力消費が大きい。給水にしても、ポンプ一台で30m-60m程度しか上がらないらしい。高層建物は屋上のタンクまで給水するのに複数のポンプを、複数箇所の階層に設置してあるようだ。エレベーターやエスカレーターの消費電力も大きい上に、吹き抜け構造の玄関やらの空調にも大電力が必要である。東京には見渡す限りビルだらけで、高田馬場の事務所からはスカイツリーが見える。衛星を通じて地上波デジタルも放送している。難視聴地域では申請すれば見れる。無用の長物を建てて、これまた電気のムダ遣いである。
 オーディオを考えるとエアコンは使わないほうが、音質は有利なはずだ。冬場は石油ファンヒーターと石油ストーブを使っている。最初は両方付けて、部屋が暖まったら、石油ストーブだけにする。ほぼ無音なのが良い。ただ、熱で陽炎が出る。プロジェクターで映画を見ているときは少し気になるが、その内映像に没頭して気にならなくなる。
 エアコンは200v単相用のが良いだろう。流れる電流が100vのよりも半分になるのと、モーターは高電圧の方が有利なのだそうだ(要検証)。夏場はエアコンを使わざるを得ない。室外機周辺に散水すると消費電力を節約できる。気化熱で温度を下げるのが本当の意味での冷房である。エアコンは熱を室内から室外に出しているだけで、コンプレッサーに投入した電力分温度上昇する。

 福一が爆発するまえから、デジタルアンプ派に転向してしまった。バックロードホーンは低域の制動力が必要である。デジタルアンプは廉価品でも低域がしっかりと出る。アナログアンプはB2103MOSの様な巨大アンプでも、低域の音圧を稼ぐという点ではデジアンに負ける。但し、中音域の音の艶はアナアンの方が良い。TA-DA9100ESになっても、ボーカルやセリフの艶についてはアナアンの方が良いかなと今でも思う。但し、低音域や高音域の再生充実性能はデジアン優位にある。デジアンはスペック上、高音域の歪み率は高いのであるが、可聴範囲の10kHz-15KHzでは問題ない上に、アナアンよりも正確で歪みが無いように聞こえる。デジアンは電源投入後からほぼ最良の状態で聞ける上、FETの電力音声交換実効効率が8割程度と高く、省電力である。バックロードホーン自体も高効率ユニット+ホーン増幅により、少ない電力で大音量が出せる。

 低域をどうやって再生するのかというのが、オーディオマニアの永年に渡る闘争の歴史である。低音はでなくて良いと割り切ってしまう方法もあるが、ホームシアター時代になって、低域を充実させることは必須となった。
 建材フェアーでパナソニックのリビングホームシアターセットを観たが、低音がボワボワだった。ドドーン、ドッドドドーンと、大波をサーフィンに乗っている映像が出ているのだが、絵がないと何の音だか分からない代物だった。
 ライブハウスに行くと、音量だけは馬鹿でかいが、歪んだ質の悪い低音をモニタースピーカーが叩き出す。38cmユニット2発モニタを4機とか並べていたりするが、キャビネットが音圧に負けてるし、ウーハーの低音は原音に対する忠実性が足りない。生演奏なのに音が悪いという、謎かけ問答みたいな話である。
 バスドラは足でキックペダルを踏んで、梃子の原理で大きなドラムを叩く。ドラムの表面には高いテンションで何か?貼られている。音の立ち上がり、立ち下がりは早い。ドンでなくて、ド・ドという感じである。スピーカーがバスドラを「ドン」と再現するようなら、すぐに窓から投げ捨てたほうが良いのだが、みんな「これでいいのだ理論」で我慢している。
 エール音響やゴトウユニットみたいに中音域をホーンで増幅する必要は、現在ではないだろう。38cmユニットを使わないのであれば、低音はバスレフポート共振か、ホーン増幅を使わざるを得ない。小口径を多連装するという方法もある。音楽を聴くにはそのほうが好結果かもしれないし、最近はその傾向にある。一方、ホーンは爆発音や雷鳴等が入った時に実に生々しく鳴る。
(参考)D-150モアとFE208ES-R発進
http://bit.ly/Jg5Swx
「やはりメーカ品とは一線を画す。静かでここぞというときは爆発する。」
と表記があるとおり、モアはホームシアター用途で威力を発揮する。最近はフロントハイといって、フロントスピーカーの後ろ上にもうひと組スピーカーを設置する方式が出てきているようだ。スクリーンを見上げる形になるので、音像が水平よりも上に定位したほうが自然なのだ。フロントハイ用スピーカーとしてもモアは有用である。
 最近注目しているのが、長岡鉄男SP F−62(ブルースカイ)である。
(参考)ブルースカイという共鳴管型スピーカー
http://tzlog.blogspot.jp/2008/07/blog-post_27.html
 TQWT(断面積漸増1/4波長管)及び長岡派チューバー型スピーカーも同じ共鳴管タイプである。但し作るとなると板材が斜め渡しになるので、私には作りづらい。長岡先生の作例で、ブルースカイタイプの物が他にない理由を考えると、おそらくフェライト磁石のユニットでは制動しきれなかったのではなかろうか?
 岡田氏のFE138ES-R搭載チューバ方式スピーカーを聞いて驚いたのは超低域の再生能力である。それほど音量を上げなくても部屋中がポルターガイスト現象のように鳴りまくる。床が鳴いているという人もいたが、私の経験では天井が鳴いているとみた。天井は石膏ボード一枚の場合が多い。12mmの石膏ボードならまだしも、ケチって9mmになっているとますます鳴き易い。
 それはともかく、FE138ES-Rの驚異の制動力と共鳴管型スピーカーの低域再生能力及び忠実性には驚いた。バックロードホーンはどことなくポンポンした歯切れの良い感じの低音になる。長岡バックロードは直管バスレスポートを繋ぎ合わせたものであると規定する人までいる。対して、共鳴管型のTQWTやチューバー方式は低域のスーっと抜け、伸びやかで実に自然な音なのである。但しネッシーで問題になった、重低音域の再生音圧が低くなる。超低域は部屋を揺するので程々もしくは無いほうが良い。一方重低音域は必須なのだが、音圧が低い。これを解決するにはユニット2発のブルースカイ型が良いのではないか?と考えた。次作るとしたら、それを作りたい。