フラットパネル監獄

(敬称略)
 「テレビがあまりに酷い」「NHKの集金人が厳しい」という話をよく聞く。テレビについて書いてくれとオーダーがあったので、知っている範囲でテレビの堕落をまとめてみたい。
 井上ひさしの著作に「ブラウン監獄」という、NHKで「ひょっこりひょうたん島」の脚本を担当していた時代の自叙伝がある。脚本の仕事が忙しくなってきたのでNHK内部で寝泊まり食事をして出勤時間ゼロを確保し、会議にも打ち合わせにも冒頭から必ずいると仕事熱心さが評価されたが、ある日、部長の机の上で寝てたいら、朝出勤してきた部長に鉢合わせして、NHKでの居住がバレてしまうという微笑ましい話しも書いてある。全体を通じて「監獄」は活力あふれる職場としての「監獄」であった。古き良き時代を感じさせる著作である。
 しかし、今はどうであろうか?かつてオーディオ評論家の長岡鉄男先生が
「メディアは常に嘘をつく」
「大衆は圧倒的にバカである」
と評した。20世紀の時分は今ほど酷くはなかったと記憶するが、昨今こそ、その評価が当てはまる惨状に成り果てているのは間違いないと思う

 戦後、GHQウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムを実施した。戦争への反省を促す積極的な情報戦略であった。一方、プレスコードで徹底的な検閲を行い、検閲を行っている事自体を秘密にした。併せて3S政策なるものも導入された。経済界やマスコミ、教育の場から大物を追放し、教育制度を変更して一律にし、徐々にレベルダウンする。 そしてマスコミも使って、専ら Screen , Sports , Sex (Speed) に若者の意識を向けさせよう、という考えであった。大衆の熱狂を掻き立て政治や経済に目を向けさせないようにして、価値観を倒錯させ、国民の精神を頽廃させることが目的だった。そういった意味でいえば、私こそが3S政策の直撃弾を受けて、オタクな人となってしまった「成功例」なのかもしれない。
 所謂、テレビっ子として育ってしまった私が、テレビをあまり見なくなってしまったのは、よっぽどテレビが自堕落になってしまったとも言える。私自身が政治や経済への興味が強まり、テレビメディアの情報限界に苛ついている面もある。
テレビの業界人にいわせれば
「バカを相手に作る」
「キャッチーでなければならない」
「ゴールデンは視聴率を取るために食い物番組一択」
ということなので、落ち着くべき所へ落ち着いたのが今の姿なのかもしれない。
 視聴率リサーチ会社は昔ビデオリサーチとニールセンと2社あったそうだが、今はビデオリサーチ1社体制である。資本はロックフェラー系と噂されている。だから、視聴率が本当なのかは誰にも分からない。視聴率のモニターになっている数が少ないし、そもそもモニターになるような人は比較的積極的にテレビを見る人だから、人口当りの視聴率はかなり低いのではないかと疑っている。

 アニメ黎明期のラインナップこそ謀略作品のオンパレードであったと言える。まず、最初のテレビアニメはかの鉄腕アトムである。フジテレビ系で始まった。カラー化した鉄腕アトム日本テレビ系で放映されている。その次のアトムはフジテレビ系だったそうだ。アトムという名前からして、原子力万歳、科学万歳という思想を基礎にしている。ピノキオみたいなヒューマンドラマではあったが、何しろ登場人物がアトムにウランにコバルトである。何をいわんやである。
 あとはスポーツ根性ものも多かった。なぜか巨人軍がそのまま出てくる作品があった。今にしてみれば、原子力発電は読売系列による「原子力の平和利用宣伝戦略」によって導入され、その読売グループがのし上がって行く原動力となったのが「常勝巨人軍伝説」である。その巨人軍におんぶにだっこのアニメが多々あったのは異様であり、まったくもっての必然であり、原発洗脳の尖兵であったと言える。戦時中海軍省が作った「海の神兵」のような戦意高揚工作アニメの反省を踏まえて、政府のプロパガンダから一線を置いて作品を作ったつもりが、やっぱり、米国や日本政府のお先棒担ぎになっていたという笑えない話である。
 
○テレビ番組の食べ物がヤバイ
 たまにテレビ映像が飛び込んでくると、大抵「肉」か「スィーツ」を食べている。肉=毒であると定義する医者までもいるし、スィーツは低体温を促し、腸壁を攻撃して放射能に対して体が脆弱になる。
昨年出先で見たNHKの番組では「しいたけづくし」で、福島の栽培農家の紹介があり、挙句にはイタリア料理人を呼んでしいたけ料理を作って、もりもり食べていた。しいたけが放射能を集積しやすいとは、311後に知ったが、ネットでの常識はテレビでは非常識となる。テレビの中では、皆さんしいたけ食べましょうとなる。なぜわざわざ福島のしいたけを食べないといけないのか。
 「リーガル・ハイ」というドラマも食生活がイカれていた。濫訴を煽るような物語に、やり手で金持ちの弁護士ということで、豪華な肉料理のオンパレードは演出上の偶然とみなすこともできなくもないが、作中に唯一でてきた和食であるしょうゆかけご飯を食べて「マズイ!」とのたまう。
 マニアックな所では「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」に出てくるヒロイン、ケイの奇妙な色と形のケーキ作りが得意で、度々とケーキを作るシーンが出てくる。ケーキは乳製品や卵や砂糖を使うので、放射能禍のご時勢では極めて危険な食べ物である。もう一人のヒロイン、タマキの好物は「イカの塩辛」である。最初から最後の方までイカの塩辛ネタで話しを引っ張っている。イカの内蔵は放射性銀の濃縮が行われるという研究結果もあり、食べるのは危険である。イカに限らないが臓物系は放射能が溜まるので食べない方が良い。単に脚本家の気まぐれなのかもしれないし、私の考え過ぎかもしれない。
 「あまちゃん」というNHKドラマもあった。一時期、幹線道路沿いの回転寿司が盛況で、道路にまで駐車待ちの車が並んでいた。商店街の廻り寿司にも行列ができていた。海産物はほぼ例外なく、度合いの差はあれ放射能を蓄積していると考えるべきである。わざわざ三陸のウニを食べるのは止めたほうが良いと思うのだが、テレビ洗脳力は圧倒的に強力のようである。
 もっとも、作品の中身も広告枠となっているそうで、営業が作品に介入してくる事例が多発しているという話もある。単に商業上の理由で、比較的高い食べ物が作品に溢れかえっているだけなのかもしれない。
 一方で、納豆食べてダイエットという番組を作った「あるあーる大辞典」は番組終了となってしまった。確かに納豆食べたらそのままダイエットとなるかは疑問だが、他の食品を食べるよりは太りづらいのは確かである。穿った見方をすると、健康につながりかねない食品を紹介したから、お取り潰しになったのではないかとも考えている。
 では、みのもんたの健康食品紹介はどうなのだ?と疑問を呈する人もいるだろうが、みのは不二家の形の歪んだチョコレートを再度溶かして使うという問題ない件を、さも巨大な不正があるかのような喧伝を行い、最終的に不二家が他社に吸収されるような事態を引き起こした。TBSへの買収を仕掛けていた楽天の背後にいたゴールドマン・サックスの意思が介在していると噂された。そのみのもんたも、原発対応についてラジオで正論を述べたら、すぐに干されてしまった。

○ものつくりはタブーなのか?
 「プロジェクトX」の製作を手がけた今井プロデューサーが万引きで捕まった時に、すぐにピンと来た。謀略逮捕であろうと。今井氏は白い巨塔に引っ掛けたタイトルの「ガラスの巨塔」というフィクション形式の自叙伝を記している。この作品のすべての経緯が記してある。社内の妬みによる失脚という位置づけだが、作中には様々な重要人物が出てくる。単なる社内の争いだけとも思えない。今でも新聞のプロジェクトXのDVD広告が出ている位だから、熱烈なファンがいるのだろうし、日本の産業界へ与えた影響は絶大である。
 「ほこ×たて」も潰されてしまったが、あれは「ものつくり対決」番組であり、プロジェクトX的な要素が強い先憂品だった。某ベアリング会社の子会社の製品が取り上げられる番組放映3日前ぐらいに、急遽やらせ発覚という大義名分で取り潰しになった。ベアリングは自動車のキーパーツであり、日本が唯一世界的競争力を保持している自動車産業を支えている重要部品である。ベアリング業界には価格カルテル公正取引委員会の摘発が行われたが、全く門外漢の「東京地検特捜部」も捜査に参加している。東京地検特捜部は、旧日本軍所有の貴金属の接収を目的に編成された隠匿退蔵物資事件特捜部が前身であり、米国側の実働部隊として機能してきた。特捜案件はおおむね米国の意思が反映されていると考えて差し支えない。
 ついでに言えば、ものつくり大学設立に奔走した参院のドン・村上正邦氏は失脚した。『メタルカラーの時代』を著述した山根一眞片はバッシングされて干されているようだ。方や、「私のしごと館」を潰した渡辺喜美は今でも政界でそれなりの力を保持している。

○メディアによる対米自律勢力潰し
 安倍はNHKに過去も現在も介入している。NHKを統御して世論誘導するのが目的なのだろう。NHKの報道姿勢に疑問を感じて、解約する、もしくは解約したいと希望する人が増えている。
 福島第一原発事故調査委員会報告番組で司会を務めていた森本アナウンサーは痴漢で捕まってしまった。NHKは経営も現場も強い圧力を受けていることが伺える。
 近年では、記者クラブ言葉狩りされて鉢呂経産相は辞任に追い込まれている。鉢呂経産相はエネルギー諮問の委員を原発推進派と脱原発派を半数ずつにするという「改革」をしようとしたら、放逐された。後任の枝野幸男経産大臣は大飯原発3・4号機再稼働を実施している。

 古くには「三宝会」の存在がネットで語られていた。引用すると、

三宝会」は竹下元首相の指示で1996年につくられたもので、新聞、テレビ、週刊誌、政治家、官僚、評論家が集まり、 自民党にとって最大の脅威だった小沢一郎氏をメディアの力で抹殺する作戦が行われたのである。
この「三宝会」の最高顧問は竹下登氏であり、世話人に、
高橋利行 読売新聞 世論調査部長
後藤謙次 共同通信 編集委員
芹川洋一 日本経済新聞 政治部次長
佐田正樹 朝日新聞 電子電波メディア局局長付
湯浅正巳 選択出版
福本邦雄 (株)フジインターナショナルアート 社長(1)

 ということである。
 自民党政権とは対米従属政党であり、米国の意向に従うための政党である。自民党を倒し政権交代するということは、自民党よりは対米自律政権を樹立するということである。対米従属構造を維持したい勢力が大手メディアを仕切っているのである。 新聞社とテレビ局は互いに強く結びついている。911後の米国では大手メディアは報道統制がおこなわれている。日本では311後、目に見えて報道統制が厳しくなったように見受けられる。
 ウクライナの騒乱は他人事ではない。チェルノブイリの惨劇により人口も国力も低下して、国家分裂、内戦の危機が迫っている。日本でも対米自律、脱核燃という政治目的で激しい闘争が持続するだろう。仮に日本政府が今の大人世代を封殺しても、子供達が大人になり、激しい怒りを持って、核燃団と対峙するだろう。
 想像を絶する放射能禍と経済衰退、財政破綻により国力は坂を転がるように低下してゆく。ペレストロイカグラスノスチに逆行する安倍政権は、我々の生活を破壊する。
 人民は一刻も早くテレビという「平面板の監獄」から逃れて、自らの責任と能力に依って、自分で言葉を発するべきだ。始めに言葉ありきである。

(1)秘密結社・三宝会は、非利権を目指す小沢一郎を攻撃するためのNECなどの利権集団
http://www.ne.jp/asahi/davinci/code/history/hanzai/index6.html