産業権益が強奪される

川内原発再稼働も問題だが、TPP批准も問題である。アメリカ帝国主義は必ずしも軍事力行使を伴う訳ではない。米帝国主義は経済権益を奪う事を主眼としている。企業体がアメリカ政府を動かし、アメリカ政府も制度を用いて収奪を行う。日本では武田薬品トヨタ自動車日本精工などの名だたる企業が、ダンピングカルテル、リコールの名の下に、巨額の賠償金を支払わされている。
この制度を用いた収奪構造の極端な現れが、TPPやFTAで用いられるISD「国家と投資家の間の紛争解決手続き」(Investor State Dispute Settlement)条項である。
ISD条項では、米ワシントンを本拠地とする世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。裁判結果に不服があっても上訴できず、一審で結審し、裁判内容は非公開である。世界銀行は実質的に米国の機関である。
現在まで米国企業が相手国政府を提訴した事例は計108件だが、この内で敗訴したのは22件だけだ。 反対に外国企業が米国政府を相手に提訴した15件の内で米国政府が敗訴したことは一度もないという
紛争がおこったら、国際投資紛争仲裁センターの、仲裁審判部(3人)は、両側当事者が一名ずつ仲裁人を選定し、残りの1人は合意で選ぶ構造だ。合意に至ることができない場合、国際投資紛争調整センター事務総長が残りの1人(部長)を任命する。残りの1名がキャスチングボードを握ることになる。
実際にカナダやメキシコでは国民のため、健康や環境に関する規制で、アメリカ企業が輸出できなくなるなどして政府が訴えられ、裁判で負け、膨大な金額を支払うか それら規制の撤廃させられている。
ISD条項で負けると、国が定めた安全基準などの法律を超越したルールが適用される事になる。ISD条項は日本の裁判権立法権を奪い、国民の主権を上回る存在とも言える。
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/218.html (一部引用)

アメリカ・カナダ・メキシコによる北米自由貿易協定NAFTA:ナフタ)における国際投資紛争解決センターでの判例は、
アメリカ企業が、メキシコ政府を訴えた件数 19件
⇒ うちアメリカ企業は全勝(メキシコ政府は全敗)
アメリカ企業が、カナダ政府を訴えた件数 28件
⇒ うちアメリカ企業は全勝(カナダ政府は全敗)
カナダやメキシコ企業が、アメリカ政府を訴えた件数 19件
⇒ うちカナダやメキシコは全敗(アメリカ政府は全勝)
アメリカの66勝0敗 100%アメリカの勝利。
となっている、国際投資紛争解決センターは、アメリカを勝たせる為の組織以外の何者でもない。

米国側のTPP批准に関する最大の狙いは「治外法権的な」ISD条項を含む当条約によって、より一層の日本国憲法や関連法規の無力化であると推測されるが、金融や保険を通じて国富を収奪するのが目的だとも言われている。農業分野も打撃を受ける。かつて、米国は諸外国で種子会社を爆撃する荒っぽい手法で、食の主権を奪い、米国の種子会社や商社による食料専有を行っている。
また、昨今日本では水道事業を民間へ売却する動きがある。かつて、ボリビアの水戦争というのがあり、水利権に関しては、「007慰めの報酬」でも題材となっている。
世界銀行ボリビア政府に600万ドルの多国間債務を免除するという好条件で、コチャバンバの市営水道会社を民営化するよう勧めた。新しい水道会社はベクテル社の子会社によって運営され、水道料金を200%も値上げした。戒厳令が発令されるほどの抗議活動が展開され、結果的にボリビア政府は水道民営化を撤回した。
世界銀行IMFは債務を通じて、国家が所有する権益を強奪してくる。世銀にしろIMFにしろ、米国の出先機関であり、米帝国主義を遂行する一機関に過ぎない。
日本で次々と産業権益が米国によって強奪され、人民からの収奪が極まった時に、我々人民側がどのような反応をするのか、むしろその方が恐怖である。CIAや内閣府によって、周辺諸国との対立を煽られると、面白いぐらいに釣られる人民が、わんさか排出されるお国柄である。どの方向へ暴発するのか考えるだけでも恐ろしい。

大阪市が水道の運営権を2300億円で売却する方針を決めました。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2236.html
ボリビアの水戦争
http://rothschild.ehoh.net/truth/column/part1_23.html