日銀追加緩和「吐き気がするほど狂気の沙汰」

1.日銀の追加緩和は破局の前倒しにすぎない。

 敗戦直後、日本政府は海外に残留する軍や民間人の国内帰還及び、円存続を条件として占領軍に膨大な円を提供し、だぶつく紙幣で国内はハイパーインフレとなった。その後の新円切替に伴う経済混乱や食料供給体制の弱体化によって膨大な餓死者が出たとされるが、45-49年の死者統計が無い。(実際はあるのだろう)

 当時は帰農により労働人口を吸収する余力があった。また、井戸水に裸電球一つの時代であり、貨幣依存度は現在に比べて極めて低かったと思われる。

 福島原発事故においては、カネこそがすべてと、「食べて応援」の日本政府が、そのカネの価値を投げ捨てようとしているとしたら・・・。 実際に起きている事である。

 現代日本社会こそはカネへ極端に依存している。カネのために働き、カネの力で生活を賄っている。そのカネの価値が失われたらどうなるのか。

 円が国際的に通用するのは、外貨の保有と共に、日銀や円への国際的信用があるからである。その信用が失われれば、外貨保有分しか輸入できなくなり、想像を絶するエネルギーや資材不足になる。


 藤原直哉氏は「基地外緩和」と評し、海外アナリストは「吐き気がするほど狂気の沙汰」と記している。(1)

(1)日銀の追加緩和に対する、とあるアナリストの反応は、Kuroda is a madman。吐き気がするほど狂気の沙汰、と
The BoJ Jumps The Monetary Shark - Now The Machines, Madmen And Morons Are Raging
http://www.zerohedge.com/news/2014-10-31/boj-jumps-monetary-shark-now-machines-madmen-and-morons-are-raging

 高橋是清氏は資産逃避防止法や外為法を制定して、キャピタルフライトを封じて緩和を行ったが、今どきは資本移動も金利も自由である。であるから、日銀が緩和すれば、円安を見越して、投機資金は世界中どこでも流出する。

(2)日銀の追加緩和で米国株式が株高になる。今やマネーはより高い利回りを求めて簡単に国境を越えるので投資先に困る日本で使われずに米国に向かうという認識。⇒Dow hits record high; BoJ ramps up stimulus
http://reut.rs/1wNkT14 1

 いきなり、3円も円安になり、1ドル112円になった。円安は輸入物価高となって跳ね返ってくる。日本のエネルギー自給率は4%である。
 灯油の値上がりに対して、薪ストーブを稼働させたくても、東日本では部屋の中が放射能汚染されてしまう。寒冷地での生活は以後経済的な圧迫が強まるだろう。

先に、年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)は国債の運用比率を60%から35%へと引き下げ、国内株式を12%から25%へと引き上げ、外国債券・外国証券40%と運用比率を引き上げを発表している。これにより国内資金は細り、ドル転により更なる円安圧力となる。 
 今回はこれでとどめておくのかと思ったら、日銀追加緩和である。

1)長期国債買い入れ額を年間30兆円増額し80兆円に増額
2)日経平均ETF買い入れ額を年間3兆円に増額
3)リート買い入れ額を年間900億円に増額

 当座は株式市場や不動産投資信託市場は下支えされるだろうが、円安傾向はしばらく続くだろう。
やがて、超バブル状態の長期国債金利上昇をきっかけにして、日銀及び円の通貨価値への信任に赤信号が灯り、円からの資金逃避傾向は強まる事になる。

 消費税率の10%への引き上げはやはり既定路線と言われ、更なる国内経済市場の縮小により、需要を求めて生産設備の海外転出傾向も強まる。


2.震源地である米帝様は御安泰。
 
 リーマン・ショックの引き金を引いたMBS信用不安のサブプライムローンに端を発する。金利は高いが、債務放棄が楽というローンスタイルにより、「リターンキー」を行使して債務放棄が増大した。
 米国は住宅ローンを公社が束ねてMBS化するという方式を存続させている。
 また、カーサブプライムなるものが危険視されている。困窮者が400万円のローンを組んで、300万円の車を購入して、差分の100万円を生活費に充てるのである。
 これまた一時凌ぎでしかない。
GMの倒産危機はGMの金融部門の危機が引き金であり、自動車ローンの焦げ付きが原因と言われている。
 とにかく、過剰に融資して、過剰に消費させて、過剰に経済の活況を装って、帝国の繁栄ぶりを謳歌しているようにプロモーションしつづけるのが、米帝様の生き様のようだ。
 現在、ロシアや中国が中進国と手を結んで、BRICS銀行や基金を設立して、ドル支配体制へ挑戦している。
本来、日本からドルへの資金流入がなければ、ドル基軸通貨体制は既に崩壊しているはずだ。

 米帝様は、海外への諜報や軍事による介入行為を行い、他国の人民を苦しめている。
日本には数多の在日米軍を起き、CIAが跳梁跋扈し、米帝の手先となっている東京地検特捜部や内閣情報調査室公正取引委員会が、政治や産業へ介入している。

 「ターンキー方式(GEに全部お任せ)」の米GE製の原子炉が事故を起こして、日本は電力不足となり、日本が焦って海外からのガス調達交渉を行っているところへ、米国はシャールガス革命詐欺で、日本の商社からカネを巻き上げた。おそらく米国からガスは出荷されないだろう。

 米帝様は様々な方策で日本から資金をまきあげて、帝国存続資金としており、極めつけの収奪行為としてTPP加入させて、産業構造そのものを支配する予定である。
ショック・ドクトリン」によれば、産業を押さえられると、どんなに努力しても抵抗できなくなる。独立を志向する諸人民を抵抗できなくするのが狙いでもあるのだろう。


(参考)これは地獄への道。日銀の追加緩和ではっきりしたアベノミクスの「金融詐欺」http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamadajun/20141101-00040437/