不況をデフレと言い換えるアベノミクス

お殿様だけがお馬鹿であるのなら、老中政治で国家運営を回すことは可能かもしれないが、
大老も老中も阿呆だったらどうなるのか、その壮大な実験を行っているのが安倍政権・黒田日銀緩和政策なのである。


毎年の新発債が40兆円、日銀が引き受ける国債が年率80兆円となっている。
日銀が財政融通する以上に、2倍の金額に上る国債引受を行っている。
格付け会社フィッチは日本国債をA格に格下げしており、中国、チリよりも格下、イスラエル、マルタと同格となった。


日銀が財政規律を政府に求めているそうだが、日銀の巨額国債引受が放漫財政の原因となっている。
日銀が国債を買い入れることにより、超低金利が続いているため、巨額の借入がある組織や個人は利払が押さえられて助かっている。
その最たる組織が日本政府なのだ。


すでに、ドル円で76円から120円に下落している。
元円で、12円が19円になっている。


この円安が輸入物価上昇となって消費者に跳ね返っている。
仮にアベノミクスとは日銀の量的緩和策により円安誘導し、物価上昇させることを意味するのなら、それは成功したと言える。
体感では20%程度物価は上昇した。
パソコン関連だと30%ぐらい上昇している状況である。


そもそも、不況をデフレと言い換えて、物価が上昇すればデフレがインフレになって解決という意味不明なことを日銀も新聞も述べている。
戦争中に敗走を転進と言い換えたのと同じ事を行っている。
実態を隠すために語彙を本来の意味とは違う事に流用しているのだ。
インフレになっても、賃金は下落している。
庶民の生活はより一層苦しいものとなった。


日本は貿易収支が赤字に転落し、原油安となっても相変わらず貿易赤字のままである。
貿易外収支を含める経常収支は黒字になったが、基本的に輸出よりも輸入の方が多い状態が続いている。


実質賃金は2013年5月から直近の2015年3月まで23カ月連続でマイナスになっており、
賃金の減少は消費支出の減少となり、日本経済は縮小均衡の道に入りつつある。


消費税率の引き上げが、大きな影響を及ぼしているのは確実である。
生産者・消費者共に価格決定には幅がある。
価格余剰が消費税分削られて、売買の不成立が増えて市場が収縮する。


消費税は社会保障に回すというが、社会保険料も値上がりしている。
また、大手企業は法人税の減免制度を駆使して納税回避措置を行っており、売上高に比して納税額が極端に低い企業がある。
例えば、ソフトバンクは500万円しか法人税を納めていない。


国債は徴税権を担保に発行される公債であり、実際は人民債と呼ぶべき代物である。
消費税とは労働者が負担する税である。
つまり、積み上がった公債の多くは労働者が租税を通じて支払わなくてはならない。


経済が縮小均衡過程に入れば、巨額の公債残高は信用不安を招く。
ゆるやかなインフレによって、公債の支払い負担を減らすという政策を採っているのだろうが、賃金は増えていない。
前年比で3月勤労者世帯消費支出は−11.0%、3月一世帯当たり消費支出−10.6%となっており、共に12ヶ月連続減少である。
結局、消費税率引き上げ後、ずっと消費支出が落ちたままなのだ。


公務員や大企業の正社員は賃金は増えたのかもしれないが、原資は税金であったり、
正規雇用者の労働力の上前をはねていたり、下請け企業に値上げを押し付けるだけであったりする。
あろうことか、官庁でも非正規雇用が増えているそうだ。


2割ぐらいの人たちは賃金が増えても、残りの8割は賃金が減少しているのでは、格差が拡大するだけである。
また、低所得者層は収入のかなりの割合を消費に回すが、高額所得者は収入が増えても貯蓄や投資に回す。


本当に内需の底上げをしたいのなら、低所得者層への手当が必要なのだが、真逆の増税政策を行っている。


日本の国民一人当たりの名目GDPは27位へ転落している。


自動車販売台数は2015年4月も前年比率で軽自動車22.5%減、乗用車26.9%減の減少となった。
消費税率引上げによる落ち込みがあった昨年の4月よりも、大幅に落ち込んだ。


もっとも、輸出で輸入分を稼げないのだから消費を減らして輸入を減らす方向に行くのは正しいのかもしれない。
しかし、日銀も政府も放漫経営を続けている。
庶民が努力して生産性を上げたり、消費を切り詰めても、通貨安やいずれ到来する金利の暴騰による金融大波乱に飲み込まれることになる。

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転載開始
平成27(2015)年4月の軽自動車新車販売台数(新車新規検査台数、トレーラー等を除くナンバーベース)は、
全体 で 121,111台、前年同月比22.5%減となり、4ヵ月連続のマイナスとなりました。
車種別では、乗用車は 93,136台で前年同月比26.9%減(4ヵ月連続減)、貨物車は 27,975台で同 3.6%減(4ヵ月連続減)。
貨物車の内訳は、ボンネットバン1,857台で前年同月比 6.8%増(4ヵ月ぶり増)、
キャブオーバーバン13,144台で同 3.8%増(2ヵ月 連続増)、
トラック12,974台で同11.3%減(4ヵ月連続減)となっています。
http://www.zenkeijikyo.or.jp/topics/index_topics.html
転載終わり


国民一人当たりの名目GDPです。
1位 ルクセンブルク $111,716 
2位 ノルウェー  $97,013
4位 スイス  $87,475
5位 オーストラリア $61,219ドル
10位 アメリカ $54,597ドル  
27位  日本 $36,332ドル 


日本政策金融公庫(日本公庫)が発表しました4月の【中小企業景況調査】では、売上DIが≪マイナス0.2≫となり、
3月に比べ3.6ポイントも悪化した。
業種別
建設関連     −8.5(12.7ポイント悪化)
設備投資関連  −4.8( 3.2ポイント悪化)
食生活関連    −4.9(13.7ポイント悪化)
家電関連     +24.3(14.6ポイント改善)
乗用車関連    + 0.8( 9.9ポイント改善)


(参考)アベノミクスによる人災=震災上回る過去最大の消費支出マイナス10.6%、実質賃金23カ月連続マイナス
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150502-00045351/
アベノミクスで経済が破壊されても真相は報じられない理由
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159524?utm_content=buffer89d18&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer
7月には「出国税」導入──富裕層を狙った改正案の仕組み
http://www.nikkeibp.co.jp/article/miraigaku/20150209/434764/