広島大と長崎大チームが広島原爆の「黒い雨」の内部被曝研究発表

1.「黒い雨」による内部被曝研究発表
井伏鱒二原作、今村昌平監督の映画「黒い雨」という作品がある。
黒い雨 (映画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E3%81%84%E9%9B%A8_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

1989年の作品だがモノクロ撮影である。
映画中に「黒い雨」が出てくる。
偶然だが、同年発表の松田優作氏の遺作となった映画「ブラック・レイン」も同じく原爆によって発生した「黒い雨」を意味するのだそうだ。

原爆投下直後、強烈な爆風ですすやほこりが上空に巻き上げられ、それらが放射性物質を含んだ黒い雨となって降った。
終戦直後に調査した気象台技師らは、広島爆心地北西の楕円状の地域(長径約19キロ、幅約11キロ)で大雨が降ったと報告した。
問題は指定された楕円状の援護対象区域の外で黒い雨を浴びた人たちは、被爆者としての認定されず救済されていない。

引用開始--
広島大と長崎大の研究グループは6月7日、広島原爆の「黒い雨」を体験した女性の肺組織にウランが残存し、現在も放射線を放出していることを示す痕跡を初めて撮影したと明らかにした。
女性は原爆投下時、爆心地から西約4.1キロで黒い雨が激しく降った広島市高須地区にいた。出産直後で動けず、約2週間、近くの畑で取れた野菜を食べたり、井戸の水を飲んだりして過ごした。82歳で肺がんと胃がんを、84歳で大腸がんを発症。爆心地から比較的離れた場所にいながら、原爆被害の特徴とされる多重がんに罹患(りかん)したことから、内部被ばくの影響が疑われた。
(引用元)広島原爆:「黒い雨」体験者の肺にウラン残存
http://mainichi.jp/select/news/20150608k0000m040111000c.html
引用終わり--

内部被曝研究として貴重な事例だろう。

放射能は3つの経路から体内に取り込まれる。
引用開始--
(a)経口摂取:放射性物質が含まれる水や食物などを飲み込むことによりその放射性物質が体内に取り込まれる場合。
(b)吸入摂取:放射性物質が含まれる空気を吸い込むことによりその放射性物質が体内に取り込まれる場合。
(c)経皮吸収:皮膚を通して放射性物質が体内に取り込まれる場合。ただし、皮膚はほとんどの放射性物質トリチウムを除く)に対してその侵入を防ぐことができるので、傷口がある場合を除いてこの経路による放射性物質の体内への取り込みは問題とならない。ただし、水または水蒸気状のトリチウムは皮膚を通して体内に吸収される。
(引用元)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-05-02
引用終わり--

2.原発ぶらぶら病
映画「黒い雨」では原爆ぶらぶら病の人が出てくる。
溜池で日長一日釣りをしているのを、近所の人になじられる。
「好きでこうして釣りをしているのではない」と反論するのだが、理解されずに地団駄を踏む。

最近、慢性疲労症候群(CFS)の増加が指摘されている。
原爆ぶらぶら病ならぬ、原発ぶらぶら病である。

転載開始--
原因不明の激しい疲労などが長期間続く「慢性疲労症候群」で、日中の大半を寝たきりで過ごす重症患者が3割に上ることが、厚生労働省の実態調査で初めて分かった。
 同症候群の患者数は推計で24万〜38万人。調査は、聖マリアンナ医科大の遊道和雄教授に委託し、患者251人を対象に行った。
 その結果、身の回りのことができず一日中寝たきりか、ある程度はできるが日中の半分以上は寝たきり、という重症患者が30%いた。掃除や買い物などの家事をした後、症状が悪化する人は94%、寝込んでしまうケースも70%に達した。
(引用元)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150607-00050082-yom-sci
引用終わり--

慢性疲労症候群を直接治療するクスリはない。
対策としては、運動したり、温泉に入って発汗させ、重金属や放射能の体外排出を促す。
ビタミンとミネラルの摂取をする事である。


3.「福島県は世界最大の実験場」「1ミリで支援」山下俊一氏
 福島県放射線リスクアドバイザーに就任していた長崎大学の山下俊一教授が事故直後の5月、「福島県は世界最大の実験場」などと発言していた。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F1917
年間1ミリどころか、日本政府の避難基準は年間20ミリである。
しかも、ガンマ線しか測っていない。
チェルノブイリ4号機は黒鉛炉であり、ウラン235濃縮はされておらず、稼働後4ヶ月で事故に至っている。
一方、福一は軽水炉でウラン235濃縮されているだけではなく、核燃料の使用年数が長く、短期核種やPuの比率が高い。
しかも、Puを9%まで使用するMOX燃料が3号機で使われていた。

「実験場」と言うが、結果的に居住者の疾病の多発や死亡リスクが増大し、健康被害の規模はチェルノブイリを超えると思われる。

チェルノブイリ法」では、年間被ばく線量が0.5ミリシーベルト(土壌汚染が37kベクレル/m2)以上の地域で、医療政策を含む防護対策が行われる。1ミリシーベルト以上であれば、避難の権利があり、5ミリシーベルト以上の地域は、移住の義務がある。
(引用元)
http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-13030

 被曝に関しては、3つの方策が必要である。
まず、先に挙げたとおり、放射能の排出を促すことと同時に、なるべく放射能を摂取しないこと。
汚染状況次第では移住を視野に考えて行動する。
日本政府に「チェルノブイリ法」と同等の避難基準および補償を実施するように求めること。
そして、国内全ての原発及び核燃料再処理施設及び高速増殖炉は閉鎖するように求めることが必要だ。

原子力損害賠償法原賠法では原子力事業者が無限責任を負うとされているが、東京電力がすべての費用負担を行うのでは不十分である。
公的資金を入れて東京電力に支払わせる方式から、国が直接損害賠償を負う形にしなければならない。
廃炉作業も国による直轄で進めなければ、収束作業が遅れ、放射能の漏えい量が大きくなるばかりではなく、次の大地震到来時に再び甚大事故が起きかねない。