原発が大企業を滅ぼし、原発事故が起きれば文明を滅ぼす。

1.東芝によるウェスチングハウス買収の失敗
 東芝がWHを買収した時に、日経新聞に西田社長の写真がでかでかと掲載され、買収により原発市場での収益増加などを謳いあげる内容が紙面を飾っていた。
 ちょっと待てよと、スリーマイル島原発事故以後、米国では新規に稼働した原発は存在しない。建設途中のものもあったが、他の発電方法よりも費用高なので、電力会社は株主の反対や米国における反原発運動の高まりもあり、原発を新設出来なかった。
 東芝の動向を観察していたが、その後半導体の一部門を売却したりして、まさに時代と逆行する動きを見せていた。
 WHののれん代が推定3-4000億円分資産として計上されているそうだ。原発が新設されなければのれん代は無価値なので償却するしかない。また、東芝の経営状況悪化により、巨額の繰延税金資産が否定される可能性がある。

 世界の潮流は天然ガス(気体の石油)によるコンバインドサイクル発電にある。ガス会社が設立した電力会社が市場の占有率を上げている。
ますます、原発が存在する理由がない。
なぜ、東芝がWHを買収したのか、一つには日立に対する対抗意識があったと言われているが、私はそんな単純なものではないと思う。
 日米間における駆け引きがあって、WH買収をテコにして社内での権力逓増を狙う西田側の思惑と、退潮する原子力産業を日本に売りつけたい米勢力が結託したのであろう。
 西田側に原子力事故に関する危険知識があっても、原子力への傾倒は止まらなかったと推測する。大組織内部で権力を維持する方便として、時として損得抜きの無茶苦茶な判断をする。日本人の特性とも言えるし、広い観点から物事判断できない視野狭窄さ加減が悲劇を生む。

巨額損失処理の恐れ 東芝を襲う“米ウエスチングハウス爆弾”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162167
2015年7月29日 日刊ゲンダイ
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/294.html
東芝、巨額減損のリスクが急浮上、これってどういうこと?
http://blogos.com/article/125183/
新電力エネットが電力大手からシェアを奪いまくってる
http://matome.naver.jp/odai/2137033407570458801
エネットは株式会社NTTファシリティーズ東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社により設立された新電力(特定規模電気事業者)です。
http://www.ennet.co.jp/about/index.html
【古賀茂明】東芝の粉飾問題 〜「報道の粉飾」〜
http://blog.goo.ne.jp/humon007/e/80f28befbcae0212bc115d5d52804c03


2.9300億円請求されている三菱重工
 三菱重工がサンオノフレ原発に収めた蒸気発生器が原因で放射能漏れが発生し、2号機3号機が廃炉になった。
三菱重工は機器の契約額の168億円が賠償上限としたが、米電力側は操業を続ける予定だった約20年分の逸失利益などを含めて9300億円の請求がされている。

 とっとと、蒸気発生器を入れ替えれば良いだけなのだが、廃炉にされた。契約に不備があったのだろう。米国側の商売の流儀を知らない三菱重工が甘い。そもそも、米企業と取引する事自体が間違いだ。
 彼らは「利益はすべて俺のもの、損失はすべて請求する」という考えである。日本人のメンタリティと違う。長く付き合って利益を分け合うという考えとは違う。
 
 非常に気になるのは、この蒸気発生器は再稼働が迫っている【川内原発】にも使われている事だ。

 加圧水型原子炉では、原子炉圧力容器内で発生した一次冷却系蒸気を使って、二次冷却系の発電タービンを回すための蒸気を作る。「蒸気発生器」を使って、一次から二次に熱を受け渡す。三菱は熱交換率を上げるため、蒸気循環器の配管の厚みを薄くして、伝熱管を長くし、伝熱面積を広げた。

 1991年2月関西電力美浜原発2号機が運転中に三菱重工が納品した蒸気発生器の伝熱管がギロチン破断事故を起こしている。
 新型の70F-1型蒸気発生器が納入された、サン・オノフレ原発3号機は2012年1月末に一次冷却水漏出事故を起こし、結果的に廃炉となった。
 逸失利益すべてを三菱重工に負わせるのは米国の商売上の気風もあるが、多分に「政治的思惑」が強い。

 つまり、日本は米国に対して政治的に弱く、実質的植民地なので、「言いがかり」をつけられやすい。平たく言えば、米国と商売する事は避けるべきなのである。
 三菱自動車は米国のSUV製造工場を売却し、米国生産から撤退する。単に売れないというのもあるのかもしれないが、サン・オノフレ原発の件もあり、米国での商売は危険度が高いという判断もあったのだろう。

 だから、WHを押し付けられた東芝や、GEの原子力部門と統合した日立も、原発事故そのものの危険と共に米国商取引リスクを負っている。
東芝は一足先に顕在化したが、日立もなんらかの問題発生が起きると思う。

 ちなみに、日立は浜岡原子力発電所5号機低圧タービン動翼の損傷に伴う損害賠償請求訴訟の和解解決で418億円を支払っている。

三菱重工に9300億円請求=原発事故めぐり−米電力
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015072800822
<参考記事>サン・オノフレ原発廃炉決定の背景
3000本以上の伝熱管1万5000か所に早期摩耗
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/us/San_Onofre1.html
http://www.mhi.co.jp/products/detail/steam_generator.html


3.噴火に伴う原発事故の危険性
 川内原発の半径160Km圏内に5つも過去に大噴火があった火山が存在する。その内3つで、火砕流川内原発がある場所に達した可能性がある。川内原発から約40キロに位置する姶良カルデラの約3万年前の噴火は、火砕流が1000m級の山を越えて県本土のほぼ全域に到達した。
 現在の火山噴火予知のレベルでは、噴火を予知できるのは、せいぜい数時間から数日というのが現状であり、御嶽山噴火は予知出来なかった。
燃料棒を運び出すのは数ヶ月も必要とされる作業であり、噴火が分かってからでは遅い。また、稼働中の原子炉に装荷されている燃料は10万Sv/hに達する。運び出したくてもすぐには運び出せない。


山大国日本 超巨大噴火でのみ込まれる「4原発」とは?
http://dot.asahi.com/wa/2013021200006.html
泊原発(北海道)、伊方原発(愛媛)、玄海原発(佐賀)、川内原発(鹿児島)の4つとも、過去に超巨大噴火の影響を受けたと考えられる場所にあります。火砕流が過去に到達したと思われる場所に建っているのです」
霧島連山の火山活動が活発化している。
http://www.jma.go.jp/jp/volcano/map_6.html
御嶽山噴火は想定外」で原発界隈が再び揺れてる
http://matome.naver.jp/odai/2141221575760700101


4.ベトナム原発輸出に三菱・アレバ製が選定される
 日本勢が建設することで政府間合意しているベトナム原子力発電所の建設計画で、日本政府がベトナム政府に三菱重工業―仏アレバ連合の新型炉を推奨していることが明らかになった。2基の原発輸出による総事業費は計1兆円規模となる。
 安倍内閣は三菱内閣とも揶揄される。安倍総理三菱グループの政商として動いている。そもそも、ベトナムへの原発輸出は反対だが、三菱の原発が選定されたのは政治的な動きだと思われる。
 その安倍総理地震は、2006年に原発の全電源喪失を問われ、「日本の原発でそういう事態は考えられない」として、対策を拒否した人物であり、福島第一原発事故責任を真っ先の問われてしかるべき人物でもある。

 三菱の加圧水型は先に述べた通り「蒸気発生器がアキレス腱」であり、事故の実績がある。安全性を犠牲にして性能を上げた設計思想は原発に限っては許されない。事故が起きた場合、メルトアウトに達した福島第一原発事故を見て分かる通り、収束不能となり、地球を汚染し続ける。
 誰にも地球上の全有機生命体に害をなす放射性物質をまき散らす権利はない。それは安倍晋三にも、三菱重工業にもない。世界に仇なす行為を行う主体は、地球上から排除されてしかるべきである。

東電元幹部より先に、真っ先に起訴されるべき人物こそ安倍晋三
http://sun.ap.teacup.com/souun/17997.html#readmore

(参考)三菱重工に9300億円請求=原発事故めぐり−米電力
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015072800822
 三菱重工業は28日、米カリフォルニア州のサンオノフレ原発で起きた放射性物質漏えい事故をめぐり、電力事業者の米サザン・カリフォルニア・エジソン社(SCE)など4社が、事故原因となった蒸気発生器を製造した三菱重工に75億7000万ドル(約9300億円)の損害賠償を求める見通しになったと発表した。
 三菱側は、賠償額は機器の契約額である1億3700万ドル(約168億円)が上限だと主張しており、両社が対立している。
 SCE側は、国際商業会議所の国際仲裁裁判所に2013年10月、仲裁を申し立てた際、請求額を40億ドル(約4900億円)以上としていた。しかし今回、SCEなどが7月27日付(米国時間)で同会議所に提出した証拠書類で、請求額を2倍近くまで引き上げたことが判明した。
 SCEなどの請求内容には、事故を起こした原発廃炉となるまでの費用や、三菱重工が納めた機器の交換後、操業を続ける予定だった約20年分の逸失利益などが含まれるとみられる。三菱側は、事故原因となった蒸気発生器を納めたが、責任範囲は機器の契約額にとどまるとの立場だ。(2015/07/28-18:45)