兵器産業利権と集団的自衛権

 政府は2015年9月15日の閣議で、防衛省の外局である「防衛装備庁」を10月1日に発足させることを正式決定した。
合理化ということのようだが、「庁」を立ち上げるからには、それなりの権益拡大が背景にあると思われる。
「耳を疑った…」10月1日に“防衛装備庁”が発足するという決定に驚きの声
http://irorio.jp/nagasawamaki/20150916/261296/


山本議員の質疑に「利権」との言葉があり、それに安倍総理が激しく反応した。
『山本「本法案だけじゃなく、原発再稼働、TPP、特定秘密保護法、防衛装備移転(武器輸出解禁)などなど、全部第三次アーミテージ=ナイレポートに書いてある『日本への提言』、全力で実現してるのに、辺野古に関してだけは言うこと聞かなくて大丈夫?利権がまたちがうのかな?」』
「利権」という言葉を発したことに安倍首相が敏感に反応、撤回を求める一幕も
http://sun.ap.teacup.com/souun/18347.html


 安倍政権というのは三菱グループ政権であり、財閥系企業への利益分配を行い、官僚機構の漸増を行うという事を遂行する内閣である。
オリンピックも原発も利権化している一部の人たちが、利益を享受しているから止まることがない。
原資は、税金や公債である。原発の場合は主に世界一高い電気代によって負担している。
その結果、多くの人民は租税負担が増加する。支配的地位にいる上級国民は利益を享受することができる。
人材派遣法の改正を通じて、雇用の不安定化にも関与している。
より分かりやすく言えば、本来貰えるはずの給与が減らされているということだ。
同じ給与水準を維持しようとすれば、もっと長時間働くか、副業をしなければならない状態に追い込まれている。
アベノミクスで好景気?はておかしいな、自分は給与も減ったし、全体的に景気悪いんだけど。」
という実感は当たり前のことである。
安倍政権は大企業や上級国民に対して配慮はするが、一般国民には増税や物価高や雇用不安定化政策を行っている。
正規雇用者は増えているし、それによりパソナなどの人材派遣業者は潤う。
兵站は正規軍の3倍の人員を要すると言われている。
イラク戦争においても、民間の人材派遣会社が兵站要員を募り、イラクに送り込まれた。
堤未果さんの著書「貧困大国アメリカ」によると、
トラック運転手に対しては、防具もなく、ミネラルウォーターも支給されず、劣化ウラン弾による放射能障害に陥った話が伝えられている。
正規軍を攻撃すれば必ず反撃されるが、兵站輸送部隊は正規軍よりは襲い易い。
自衛隊の教練でも兵站部隊は最も攻撃されやすいと教えられるそうだ。

戦争法案が成立すれば、正規の自衛隊だけでなく、民間からも兵站輸送人員が戦地へ送り込まれるだろう。
経済徴兵制の議論があるが、経済的苦境により落命の危険を承知の上で、戦地へ行かざるを得ない人たちも出てくるだろう。
実際に、日本では経済的な格差が前提として、原発のメンテナンスや収束作業の人員が徴収されてきた。


大いなる陰謀(2007年)原題: Lions for Lambs
ロバート・レッドフォード監督・製作・主演
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E3%81%84%E3%81%AA%E3%82%8B%E9%99%B0%E8%AC%80

という映画があり、苦学生2人が志願兵としてアフガニスタンに赴く。
作戦は政治家の野心から組まれた無謀ななものだった。
戦争が経済的な動機や政治的な策謀で編み出される事がうまく描かれている。


2015/01/25 「米軍がシーア派を使いスンニ派を虐殺。そのスンニ派から生まれたのがイスラム国」 〜岩上安身による志葉玲氏インタビュー/イラク戦争の傷あとから立ち上がった怪物・イスラム国の正体
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/227656
ジャーナリスト・志葉玲氏へのインタビューでは仰天するような事が語られている。
一つには同盟国であるはずの日本人に対しても逮捕して収容所へ勾留し、銃を頭に脅す。
その間、ずっと両腕を縛らている状態である。
現地のイラク人通訳は縛られてまま、砂漠に放置されたそうだ。
もう一つは、タイトルにある通り、米軍がシーア派を使いスンニ派を虐殺している。

佐々木俊尚が「米国を中心とした国際秩序との協調」とかたわごとを述べているが、
実情は「米国の暴虐による国際秩序の崩壊」でしかない。

このような悪魔的な帝国主義国家に追従して、上級国民は利権を構築し「うまい汁を吸っている」わけだ。
一方の一般国民は徴税やマインナンバー制度などの統制により、生きるのが大変な状況へ追い込まれている。
だが、本当に悲惨なのは中東や北アフリカで戦乱や虐殺を誘導されてりる国々の人々である。
日本が米国に資金面で融通してきたからこそ、世界規模での悲劇が起きている。
人民は人民のために労働しているのであって、一部の支配層のために生きているのではない。
武器商社を立ち上げて、元自衛官を雇い入れていた岡崎久彦が昨年亡くなった。
岡崎久彦安倍晋三の師匠と公言していた。
岡崎久彦が言うには「総理が間違ったら 総理を選んだ国民が悪い」 とのことである。

「総理を選んだ国民が悪い」という話で難しい点は100兆円規模の財政出動で潤っている人々は盲目的に自民党へ投票する。
また、格差政策で不利益を被っている人民の中には、ダマスコミ詐術により自民党へ投票する人が一定数いる。
公明党自民党の選挙マシーンとして機能している。
これらの理由により、自民党は第一党として存在している。

自民党政治を終わらせ、不要な産業を整理し、財政規模を歳入と一致させなくてはならない。
しかし、官僚機構が構築した官製経済利権へメスを入れるのは至難の業である。
財政の破綻は必至であるのだが、その時に官僚機構が理性的に振る舞うとは考え難い。
策謀を巡らし、ダマスコミと共労し、人民を悪しき方向へ誘導するだろうし、その企みは一定程度成功すると思われる。
在特ズはその一貫であり、扇動に乗っかる頭の弱い人々が一定数いることが、すでに実証されていることからも明らかだ。


転載開始--
三菱重工を分析する」のブログから
日本の軍需産業 2015 (7)日米軍事利権とは
http://hiroseisibu.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/2015-7-82a0.html
日米軍需産業双方に儲けが転がり込むしくみ
 前出の「防衛生産・技術基盤(平成22年3月 防衛省)」のp.21には、取得方式として(1)ライセンス国産、(2)FMS調達、(3)一般輸入調達 の3種類がある。
 「ライセンス国産」は、アメリカの軍事企業にライセンス料が入り、アメリカの設計・製造技術を使って日本で生産する企業には適切な利益が保証される。
 「FMS調達」(Foreign Military Sales)とは対外有償軍事援助。米国政府が窓口となって外国政府に有償で提供する制度。政府間協議によって決定されるから、アメリカの国益に沿うことが大前提であろう。
 「一般輸入調達」には日本の商社が介在し、商社にも儲けが転がり込む。
米国政府・軍需産業の“言い値”で買わされる
 なかでも、「ブラック・ボックス」といわれる非開示技術(軍事機密)の部分は、中の構造もわからず、開発費がどれだけ上乗せされているか見当がつかない。
 前出の「防衛生産・技術基盤(平成22年3月 防衛省)」のp.17に、ブラックボックスとして購入している例が6項目出ている。
・戦闘機のソフトウェア・通信電子器材等で、レーダーや兵装管理などを処理するためのソース コードや通信モジュール・敵味方識別装置及び飛 行制御コンピューターなどがブラック・ボックス。
早期警戒管制機のソフトウェアで、AWACS用の捜索レーダー関連運用プログラムがブラック・ボックス。
 ほか4項目。
高額な兵器購入となる「ライセンス国産」
 言うまでもなく、アメリカの軍需産業にも日本の軍需産業にも大きな儲けが転がり込む。その結果、「日本がライセンス国産で取得した兵器は、アメリカ国内での値段よりも格段に割高になって」いる。
 防衛省のホームページの中にある「装備品の取得方法別の長所・短所」というページにも「ライセンス生産」の欄に「輸入に比べ調達価格割高傾向」と記載されている。
商社の儲けも保証
 「ライセンス国産にしても、一般輸入にしても、代理店(人)として商社が介在」していて、「商社のマージン(儲け)も含まれる」。防衛省は「アメリカから代理店を指定してくるので排除できない」と説明している。
 前回のブログで見た防衛省汚職事件にも軍需専門商社・山田洋行が介在していたが、「アメリカから代理店を指定してくる」ということはアメリカ側にも儲けが転がり込むのであろう。どのような「結託」があるのか、闇の中はわからない。
利権構造を支える軍備増強計画
 世界の軍事費合計が減少している中で日本は急膨張していることを前回のブログで見た。さらにその前のブログでは中期防衛力整備計画では、ティルト・ローター機(オスプレイ)17機(推定総計約3600億円)、戦闘機(F-35A)28機(1機100億円以上) などの超高額兵器が含まれている。
『日米軍事利権の闇の中には巨額の税金が消えて行っていることがわかる。もし戦争法案が成立して集団的自衛権が行使されたら、軍事費は今以上に膨らみ、日米軍事利権はさらに大きなものになるであろう。
 根本的な解決策は日米安保条約を破棄することである。アメリカいいなりをやめ、日本が自主的に日本の針路を決定できるようにするためには日米安保条約を破棄するしかない。それは、破棄通告するだけで可能である。

 日米安保条約第十条:
  (前略)この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。』
転載終わり--