共鳴管スピーカー、ハイブリッド・レゾナンスチューブを考察する。

 先日、開催されたのミューズの方舟イベント出品作で、鈴木氏が「ハイブリッド・レゾナンスチューブ」と命名した1回折り返し型共鳴管を出品され「音質賞」を受賞した。
 共鳴管は低音が薄い(あまり聞こえない)という通説を覆し、FE87Enで音楽再生に必要で十分な低音を、キャビネット構造を工夫することによって稼ぎだした。
かつて、ケンウッドで1回折り返し型共鳴管が製品化されたが、低音があまり出なかったと言われている。


基本概念は「管の途中で、大きく断面積を変え、分割振動を誘起する」とのこと。
1:3以上で機能するそうだ。
50パターンにも及ぶ計測を行い導きだしたとか。

内部構造は直方体のキャビネット内部がY字型に仕切られており、三角部分がSPユニット後方になる。
これに対して、折り返し後はY字の下の2箇所に分かれて管がある。
断面積比で行くと、1:(1.5+1.5)程度のようだ。


加えて鈴木氏の実証研究結果をまとめると
http://upholstering3.rssing.com/chan-2639964/all_p14.html
○共鳴管の「太さ」は振動板面積の200%〜400%。
○振動板面積が400%(振動板面積比)以上となると、低音部の音圧が最大値を迎える
<U字管の特徴>
1. 一倍振動が強い。(制動が弱く、共鳴が強い)
2. 共鳴周波数が下がる。
3. 中低域に特性の暴れが出る。
○振動板面積比400%の時は折り返し箇所面積150%程度が低域ゲインが稼げる。
○振動板面積比200%の時は折り返し箇所面積200%程度が低域ゲインが稼げる。

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実際、作るとなると振動板面積比200%+折り返し箇所面積200%+(2本の共鳴管合計断面積が振動板面積比600%)という事になるか。

推測だが、折り返し後の2本の共鳴管は断面積を1.5*2ではなくて、1.3+1.7とかにした方が良いかもしれない。

構造を極力単純化し、定位を良くするにはキャビネットの幅は抑えたほうが良いだろう。また、キャビネット全面の角を丸くするか、鈴木氏の作例通り斜め45度にする方が良い。

共鳴管折り返しには斜めに板を設置するか、三角材を使った方が良い。
内装用化粧角材では大きめの三角材が流通している。
私はヤフオクで購入してストックしてある。
天野氏はコルクシートでR処理して、音質改善効果を行っていた。

実は「ハイブリッド・レゾナンスチューブ」は自作スピーカーの世界においては革命的な出来事である。
これを、言って回ったのだが、当の鈴木氏以外は反応がない。
ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』によると、イノベーターの周囲に「良い物を良いと評価する」人々が存在しないと文明や文化は進歩しない。
ガンダムに出てきたマ・クベ大佐を見習うべきである。


(参考)
「ハイブリッド・レゾナンスチューブ」
http://community.phileweb.com/mypage/entry/136/20151031/49199/
『一般的な共鳴管型スピーカーからは、音響管による増幅として、最低音の基音のほか、その3倍の周波数の3倍音、その5倍の5倍音などが付随して出てくることが知られています。これにより共鳴管は幅広い帯域の低音を増幅できますが、特に基音と3倍音の間には3オクターブもの開きがあり、それが「低音の癖」として認識される欠点がありました。』
[S-054] ミューズの方舟 出品作「83Diamond」の紹介(2)
http://community.phileweb.com/mypage/entry/136/20151121/49435/
10/03/15--16:32: [S-048] 共鳴管の折り曲げ(音響距離)(結果・考察編)
http://upholstering3.rssing.com/chan-2639964/latest.php
09/04/15--17:03: [S-048] 共鳴管の太さ(結果考察編)
http://upholstering3.rssing.com/chan-2639964/all_p14.html