北朝鮮とは大日本帝国の幻影

1.北朝鮮のお手本は大日本帝国
 北朝鮮が水爆実験に成功したと報じられている。北朝鮮の国是は「打倒米帝」であり、優しく言えば「米国の植民地にはならない」ということだ。北朝鮮が特に神経を尖らせているのが、青森県三沢基地にある核弾頭である。嘉手納基地から三沢など本土の米軍基地に核兵器を運んでいる。米軍の原潜や空母に搭載している核弾頭は日米密約により黙認ということは公然の話だが、対外的には日本の在日米軍基地には核弾頭はないことになっている。しかし、嘉手納や三沢に米軍の核メンテ部隊(N platoon)がいる。そして、三沢と嘉手納が核戦略の前線基地となっている。
 三沢以外の出撃基地は入間、小牧、板付など。コアは米軍政下にあった嘉手納基地に置かれ、開戦が迫ると同時に日本国内の各空軍基地に運び込まれる手はずになっている。

 かつて北朝鮮テポドン三沢基地の上空を飛び越えて発射した。かなり高い高度だったため、領空侵犯にはあたらないのだが、北朝鮮は「三沢の核」を威嚇したのである。

 米国は世界各地で政権転覆や軍事侵略を行っている。北朝鮮イラク・イランと並んで名指しで「悪の枢軸」とまでブッシュJrに非難された。
 しかし、イラクはともかく、イランも北朝鮮も軍事侵略行為は行っていない。むしろ世界にとっての悪の枢軸なのは、今や米国・日本・イスラエルである。

 戦争末期、関東軍ソ連軍南下を察知し、守備範囲を朝鮮半島38度線まで下げて、将来の東西対立の遠因を埋め込んだ。ソ連金日成を抗日運動の英雄として送り込んだ。本物の金日成とは別人だとの指摘もある。
 日本による朝鮮支配は苛烈だった。特に従軍慰安婦は悲劇を生んだ。日本帝国は村々の村長ごとに生娘の供出人数を割り当てた。儒教精神が強い社会ゆえに、従軍慰安婦は戦後帰村することは難しかったと言われる。生娘の供出を行った村長達のうちには、終戦直後報復で殺され人もいる。
 つまり、中曽根康弘自身も関わった従軍慰安婦制度は慰安婦の体のみならず、朝鮮の村社会をも引き裂いたのである。
 日本の支配が苛烈であったが故に、北朝鮮人民は民族独立のために犠牲を厭わないのである。北朝鮮の強権社会は日本の圧政が直接的原因である。日本帝国打倒を果たした金王朝の正当性は、大日本帝国の残虐性が担保している。
 また、金王朝は日本の天皇制を手本にしていると言われる。横田めぐみさんの母親・早紀江さんの実母が最期の李朝妃である李方子さんであるといわれている。日本の天皇家と李王朝の二つの高貴な血を引く方であり、金王朝の権威付けにはうってつけだったと言われている。


2.北朝鮮化する日本
 北朝鮮の日本に対する眼差しは、愛憎半ばするものがあるだろう。経済発展を遂げた日本に対するあこがれと、対米従属体制下に安住する侮蔑である。
 自民党経世会は米国の圧力をかわしながら日本の国民を幸せにし、国際社会で尊敬される国を目指していた。しかし、自民党清和会と今の日本政府は殆ど真逆のことをしている。目指す先には天皇を頂点とする「日本会議思想の国家観」と「自民党政権の永続化」ならなのである。基本的に金王朝集権体制の北朝鮮と根本は同じ思想であり、国家のカルト化である。

 ところが、北朝鮮には主権がある。経済的には中国に依存しなければ国家存立はおぼつかないが、軍事的には自立している。
 日本は米国なくして経済的に運営していけるが、軍事的支配はもちろんのこと、「日米合同委員会」を通じて、日本統治機構は米国によって徹底的に管理されている。

 北朝鮮核武装化は、実際の所は分からないが、基本的に自衛のためと言える。積極的に周辺諸国へ攻撃に撃って出る動機はない。日本は主権がないがゆえに、「米国の噛ませ犬」として、戦争行為をやらされる可能性は高いし、現在、リチャード・アーミティッジら米国戦争屋の脚本通りに物事が進んでいる。

 一定程度経済的に繁栄しているのなら、対米隷属もやむかたなしという考えも以前は成立しえただろう。しかし、今現在日本は経済的に凋落の一途を辿っている。生活保護受給世帯は過去最高を記録し続けている。

 今後、戦争動員体制となれば、民需は激減するだろう。年率80兆円の量的緩和により数年後に円価値は暴落し、円が国際通用力を失うことにより貿易は激減し、現在の状況からは想像もできない物資窮乏社会となる。今すぐにでも安倍政権を打倒して、対米隷属構造を是正しなければ、日本は北朝鮮のような思想統制・強権社会になり、物資窮乏社会でありながら、他国に隷属させらているが故に戦争動員させられるという最悪の国家と成り果てる可能性は極めて高い。