テロテロ・エブリバディ・エブリディ・エニィウェイ

 ベルギーの首都ブリュッセルで2016年3月22日、空港と地下鉄駅で連続して爆発が起きた。2度の爆発が起きた空港では14人、地下鉄駅で20人が死亡、計200人以上が負傷した。過激派組織「イスラム国」(IS)関連のニュースサイト「アーマク通信」がISの関与を報じた。
 アーマク通信は「ISの戦士がブリュッセルの空港と中心部の地下鉄駅を狙って爆弾攻撃を実行した」と報じた。空港襲撃の実行犯は複数の模様で「何人かが爆発物を仕込んだベルトを爆発させる前に銃撃を行った」と説明。地下鉄駅では「別の殉教者が爆発物を仕込んだベルトを爆発させた」と伝えた。
 仏エネルギー大手エンジーは22日、ベルギー当局の要請を受け、同社が運営するベルギー南部にあるティアンジュ原発の大半の作業員を避難させた。原発周辺の警備を強化し、警戒レベルを最高のレベル4に引き上げた。原発は稼働中で、稼働に必要な作業員は残している。
 米CBSニュースによると、ベルギーの原発技術者の誘拐や放射性物質の強奪やダーティーボム製造も計画されていたようだ。

 フランスの連続テロがベルギーに波及したのである。
 ベルギーは空爆参加国である。
シリア空爆参加国は
「フランス、デンマーク、イギリス、ベルギー、カナダ、アメリカ、ロシア、サウジ、UAE、ヨルダン、バーレーンカタール」である。

 EU加入国同士では国境の通過管理が緩い。ベルギーのブリュッセルは言語別に居住地区が分かれており、警察も地区毎に細分化されている。身を隠したり、武器を取引するには都合が良いと言われている。

 騒乱の元を辿れば、イギリス三枚舌外交のバルフォア宣言に基づくユダヤ民族のイスラエルパレスチナ地区への入植や居住地建設に端を発する。ヨルダン川西岸地区のナクバ(大破局)で難民が発生し、シリアや隣国ヨルダンへ逃れた人達は多い。
 2003年のイラク戦争で、イラクで難民化した人達の中には、親戚を頼ってシリアへ移住した。そのシリアにアメリカとフランスが介入し、泥沼の内戦を戦っている。
 フランスは旧宗主国だが、当初アメリカと共にシリア内部で暴力デモを仕掛け、自由のシリア軍を支援した。サルコジ政権は異様にアメリカ寄りであった事を反映した外交戦略なのだとは思われる。

 自由シリア軍は徐々に力を失い、サウジアラビアやフランスとの結びつきが強いカタールが支援するISISの台頭により、シリアもリビアの二の舞いになるかと思われた。
 米軍が発電所を爆撃するなどしたこともあって、都市インフラが機能せず、難民の大量発生を招いた。欧州になだれ込んだ難民によって、フランスは態度を換え、ロシアよりも数日先んじてISISへの空爆に踏み切った。

 シリアにはロシア系住民が多く、ロシアとしてはアサド政権を見捨てるわけにはいかない。シリアで1割に満たないアラウィー派が事実上政権を掌握しているが、政権を手放せばかつてのように迫害の対象になりかねず、アサド政権を支えるアラウィー派としては闘い続けるしか道がない。

 911攻撃のリーダーだったムハンマド・アタ氏はハンブルグ工科大学の卒論研究において、都市計画論の調査研究のためにシリアの古都アレッポに赴いた。都市インフラの脆弱さは欧米による経済的封じ込めによるものと論じたそうだが、恐らくその時にパレスチナ難民の置かれた境遇に接したと推測される。アフガニスタンでナンバー2のザワヒリなどと接触して、資金や技術提供を受け、911攻撃に至った。パレスチナ大義に基づく航空機自爆攻撃は神風特攻隊から学んだとも言われている。
 ちなみに、私はアレッポで製造されたオリーブ石鹸を使っている。

 今回のシリア国内におけるISISへの攻撃は、米国の意図に反するものである。和平会議にISISは出席していないが、ISISの実質的後見人である米国のケリー国務長官が出席している。
 ISIS空爆はロシアに先んじてフランスが行っている。ベルギーも行っている。ISISの矛先が欧州に向いているのは、元々米国が敵視しているロシア側についたNATOに対する牽制なのか判然としない。私は米国に誘導された結果なのではないかと感じている。
 先日、墜落したロシア機はアメリカ製肩乗せ型の地対空ミサイルが使用された模様だ。ウクライナやトルコの関係が取りざたされているが、ウクライナのポロシェンコ政権は米国の傀儡であるし、トルコのエルドアン政権も米以よりであり、トルコはISISと原油取引を行っていた。

 米欧による中東への介入は資源権益や宗教上の争いという要素が強く存在する。日本が武力をもって中東へ介入することの利益は存在しない。なぜなら、イラク戦争において日本は米国に外為特会を通じて巨額の資金を供出し、陸海空軍を出兵させたが、石油権益は一つも得られていない。日本の商社や企業がイラクから撤退してしまった。一方ではイラクの民生部門は中国や韓国資本が進出している。イラクにおける日本の港湾権益確保などに走り回っていた日本の外交官は、米軍の車列から銃撃を受けて死んだ。故意の射撃なのか事故なのか判然としないが、直前までの動きを鑑みると米軍による物理的脅迫の可能性が高い。

 米国の駒として、自衛隊が中東やアフリカのスーダンソマリアへ出撃すれば、いずれ、日本でもテロが起きる。既にアルジェリア人質事件では日揮の社員が日本人という理由で殺害されている。テロが起きそうになったり、テロが起きれば、その時点だけでなく、長期間に渡って、テロを名目に様々に人民の権利が抑圧される。もっとも、それが狙いで、アベは戦争参加を急いでいるのかもしれない。自民党改憲案に含まれている緊急事態権の本当の恐ろしさは、緊急事態宣言を名目に「預金封鎖」「新円切替」「財産税」が施行できる事である。
 ある程度資産があって、経済的動乱に耐えられる蓄積があっても、政権の意向によっては、自身の富も吹き飛んでしまう。戦争でひどい目にあうのは、若者や労働者階級だけではない。日本の中で指導的立場にある人達でも、酷い境遇に叩き落とされる可能性があることを肝に命じておくべきだ。


ロシア当局:ロシアの空港に墜落したフライドバイ機はアメリカ製ミサイルによって撃墜された。
http://beforeitsnews.com/terrorism/2016/03/russia-claim-flydubai-plane-was-shot-down-by-us-missiles-2457884.html