最後の桃源郷「共鳴管方式スピーカー」を考える。

注意:長岡派しか意味が分からない文章です。

1.バスレフ型の利点と欠点
 バスレフ型は筐体を小型にできるが、低音増幅をポート共振に頼るので、独特の音色になる。密閉型ほどではないが、BHなどよりは背圧も高いので、音の伸びやかさに欠ける。それでも、殆どの市販SPはバスレフ型である。
ポートの形状を工夫する。「Y型のポート」「楕円のポート」「ポート開口部をエクスポネンシャルに広げる」「ポートに仕切りを入れる(仕切りをひねる)」などの方法を用いて、ポート共振の癖を減らす方法が取られている。

 ダブルバスレフ型や、鈴木氏のM-CAPと呼ばれる3つ以上の空気室を持つバスレフ型、井方氏のトリプルバスレフ型などもある。
きちんと追い込んだダブルバスレフ型が低域の周波数特性が良い。
トリプルバスレフ型はポートが直列していないと効果が薄い。

原音再生という観点からいうと、BHが無難であり、共鳴管タイプは低音の伸びやかさに利点がある。


2.共鳴管は煮ても焼いても食えないのか?
 長岡BHのDシリーズは音道の扁平が気になる。スワン系やD-57の低音の良さは、比較的扁平度が低いからではなかろうか?(要検証)Dシリーズを極める?のなら、D-57をより背丈を高くして、扁平度を下げる方が良いだろう。

 
長岡BHはD-50からコニカル式になっており、多段のポート共振による低音なのではないか?との指摘もある。確かにポンポンした感じの低音のようが気がしないでもない。

それというのも、1回折り返し型のTQWTをミューズのイベントで聞いたが、低音の量感が無いが、低音の伸びは随一だった。「”本当の音のような”低音がする」のである。
何を持って本当というのかと言えば、原音に近いということである。
本物の低音は速くて「素っ気ない」。これが重要である。
メーカー製のSPはブーミーな低音がする。
そのブーミーさをもってして、「音の厚みが〜」と悦に入るのがオーディオだということになっている。
実際には量より質の方が重要なのである。
という私も、BHでどれだけ低音の量感を出すか、ということを主眼に置いてきたのだが、やはり「質」を重視すべきだという考えに変わった。

料理で言えば、肉とか砂糖とか調味料をドロドロに使いまくったこってり料理よりも、素材そのままの質素な日本料理の方が良いということことである。


BHは構造が複雑で作るのも骨が折れる。もっと簡単に作れないものかと考えると共鳴管タイプが俎上に上がる。

共鳴管スピーカーについて(1)
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza33.html
「長さが2.4mの管をU字型に折り曲げたような形の共鳴管の測定結果になります。
計算上の共鳴周波数は35Hzなのですが、むしろその三倍振動の105Hzや、それ以上の高次振動の影響が大きいことが分かります。」
「バスレフ型とは異なり、管の長さを短くした所で低音量感は向上しません。変わるのは低音の質感なのです。」

BOSEが販売しているサブウーファーの「キャノン」は、共鳴管方式を採用している。長さの異なる2本の共鳴管を、それぞれスピーカーユニットの前後に取り付けている。
バズーカ砲にそっくりな、ボーズの「キャノン砲」。
http://iwted.miyachan.cc/e215264.html

川越市に「ホームラン劇場」という映画館があって、そこにボーズの「キャノン」共鳴管直管形スーパーウーハーがあった。
紅の豚」を観たのだが、低音の伸びが凄かった。
繰り返しになるが音にも『質』がある。
大口径のウーハーが打ち出す低音は量感はあるのだが、質が悪い。
どれだけ量があっても質が悪いと現実味が薄れてしまう。
原音から遠ざかり、SPユニットによる『味付け』は単に音を劣化させているだけである。メーカー製のサブウーハーも同じであって、密閉型の方が音色は素直だが、背圧が高いせいか「詰まった」感じがする。

それに比べてボーズ「キャノン」の低音は良かった。
あれを再現できないか?という欲求は常にある。
それにBHに付加するにはBHか共鳴管の低音再生SPでないと、速度が追いつかない。
むしろ、メインのBHよりも早い低音となると共鳴管しか無いと思う。
方舟はネッシーにサブウーハーの低音が付いてこれてなかった。音色にも差があった。
超緊迫感のあるネッシーの中音にサブウーハーの鈍重な低音がミスマッチだった。
だから、BHのサブウーハーにバスレフ型が合わないのは良く分かっている。
直管は無理でもU字型なら自作できる。
退蔵しているFE138ES-R2発使用を想定したサブウーハーを作ってみたい。


3.フルレンジの利点、2ウェイ型の欠点
 2ウェイの方が音が良いと思われるが、メーカー製だと10万円クラス、数年前の円高時代で7万円ぐらいの物でないと、自作フルレンジよりも良い音がしない。
理由は、「ユニットが2つになる」「ネットワーク回路が入る」「音質が劣化しないグレードのネットワークパーツを選定する」という観点があり、少なくともフルレンジの3倍以上の費用がかかる。3ウェイだともっと費用がかかるだろう。ユニットもある程度の性能の物を調達しないとならないのだが、今どきSPユニットを自社生産しているメーカーは数少ない。結局、メーカー製もSPユニットに磁性体などを特別にチューンできるFostexが優位にある。
 個人ではネットワーク無しのフルレンジにツィーターを足すというスタイルになるのは、費用の問題もあるが、主に音質を稼ぐためである。
フルレンジの欠点は再生周波数特性が狭いという点にある。実際には高音域が出るのだが、これもまた「質」の問題で、過渡特性が悪い。これをツィーターで補うことになる。
高音域の過渡特性問題もネオジム磁石SPユニットの登場でかなり改善した。ツィーターも不要となったと言える。
となると、2ウェイに固執する必要はない。
自作SPの世界はネオジム磁石ユニットが救済する、とすら言える。
長岡先生は「フルレンジに始まり、フルレンジに終わる」と述べたが、その通りになった。


4.「TQWT」式の発展形チューバ方式

http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza34.html
↑こちらに「TQWT」式の考察が上がっている。
開口部をバスレフポートとして使う方式が一般化されているそうが、そうすると音はやぱりバスレフ型のような音になる。
ポート共振に頼った詰まった感じの低音ということだ。
共鳴管型のようなバスレフ型である。


岡田氏のFE138ES-R搭載チューバ方式スピーカーを聞いたら超低域が出まくる。
アルニコ磁石の制動力は凄まじい。
だが、40Hz以下は人には聞こえず、家を揺らすだけなので、40Hz以下をうまく切れないものかと感じた。

前田氏のTQWT系チュバー型2回折り返しとなっている。
どうしてこの形になっているのかよくわからない部分がある。
通例、開口部に従って音道の断面積が増えていくのだが、最後の方で絞っている。
だからチューバ方式というのかもしれない。
トランペットなどの楽器の形状を参考にした、とも聞いたがよくわからない。
恐らく、ローカット機能だと思われる。
共鳴管に有りがちな超低域がぶりぶり出るとオーディオ的には邪魔になるからだ。
SPユニット背面のスロートは絞っているように見える。
BHのようにハイカット機能を狙っての事なのだろうか?
(参考)自作スピーカー革命「チューバ・ベーシック」
http://wanwanlapper.seesaa.net/article/90124469.html

兎にも角にも作るとすれば、チューバ方式が良さそうだ。
私の場合机上の空論に終わる事が多いのだが、なんとか作ってみたいと思う。
(思うだけかも?)

Wikiから) TQWTは、Tapered Quarter Wave Tubeの頭文字を並べた物であり、和訳すると「テーパー付1/4波長管」となる。片方が開いた共鳴管であり、管の長さの4倍の波長で共鳴する(言葉を変えると、管は共鳴音の波長の1/4の長さ)。奇数次高調波をテーパー構造(管が開口側に向けて広がっていく構造)によって抑えている。このテーパーの広がりについては設計式が確立しているため、昔からマニアの自作例が多い。