医療被曝問題

 医療被曝と寿命の短縮の関係はおおよそ胸部X線撮影で1.5日、胃透視で1.5年、CTスキャンで150日とされる。
 日本の人口あたりのCT台数は、他の国の3.7倍である。全世界のCT設置台数の3分の1以上が日本にあり、総保有台数は飛び抜けて世界一となっている。日本の医療被曝の量は、世界平均の5倍に達している。X線CTスキャン被曝量は頭部CTで3mSv、腹部CTで8〜10mSv、腹部・骨盤CTでは1回20mSvと被曝量が多くなる。バリウムを飲んで行われる胃透視の被曝量は15〜20mSvである。胸部X線撮影の被曝量はCTの150分の1の0.06mSv程度の被曝線量である。移動式の検診車両で行われる胸部X線撮影は病院などに設置されている直接撮影措置に比べて、被爆線量が3〜10倍多くなるが、CTスキャンの被曝量に比べれば遥かに少ない。
 更に造影剤を血管内に注射してCTスキャンを取る事も行われており、造影剤なしと造影剤ありの2回スキャンが行われるので被曝量は2倍となる。
 癌検査においてはPET-CT検診という方法が使われている。PET-CTはポジトロン核種、フッ素18という放射性物質で標識した薬剤を静脈に注射して全身に行き渡らせ、その物質が出す放射線を体の外からCT撮影する方法である。PET-CTを行うとPET検査薬の被曝量4.4mSvにCTスキャンの被曝量が加算される。しかし、内部被曝を強要するPET検査の有効性は確認できていない。
 日本の検査漬け、薬漬け医療体制は1980年代に中曽根政権が貿易赤字で苦しむ米国と、医療検査機器や医薬品の輸入を合意してしまった事に起因する。
 私が得ている情報や近親者や知人の医療に対する関わり方とその弊害を勘案すると、定期的な検査そのものが不必要である事は明白であり、諸外国では定期的な医療検査を減らす方向にある。仮に何らかの症状が出て、体内に異状が有ることが確定的になった時に限り、対人影響の少ない手法で検査を行うべきである。胃腸の検査であれば、内視鏡カメラがあり、人体内の断層映像であれば、超音波検診が存在する。内視鏡も超音波検診も性能が良くなっているので、放射線を利用する検診を行う必要性は存在しない。仮に診察の上で人体断面画像が必要なら、高磁場や高周波を利用する磁気共鳴画像法(MRI)を利用した方が人体への打撃は少ない。
 原発事故による被曝量と医療被曝線量を比較して、原発事故被曝被害を矮小化する話が流布された。原発事故の場合は外部被曝内部被曝となる上、主たる被曝要因は内部被曝である。PETを除けば外部被曝だけを勘案すれば良い医療被曝でさえも対人影響を考慮せざるを得ないのであるのだから、環境中に核分裂物質が飛び散ってしまった福島原発事故とは最悪の事態なのである。
 国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告よると、公衆に対する線量限度は、1年あたり1mSvである。放射線作業従事者の線量限度は5年間の平均で年あたり20mSv、すなわち100mSv/5年である。
 であるから、CTスキャンの被曝線量は低線量とは言えない。ICRPの年率1mSv以下の低線量放射線被曝でも安全ではなく、これまでの研究成果により低線量被曝による悪影響閾値は存在しない事が判明している。1年1mSvを1時間単位にすると、空間線量は0.117μSv/hとなるが、これには半分は内部被曝を想定しているので、空間線量許容値は半分の0.0585μSv/hである。悲しいことに福島原発事故後は首都圏で空間線量が0.05μSv/h以下の所は大深度地下鉄など特殊な環境に限られる状態となった。被曝は累積するのである。我々は医療被曝に加えて原発事故による被曝が加算される状態有る。これにより様々な疾病発生要因となりうることを考慮すべきであり、医療被曝によって癌を製造している事を認識するべきである。

(参考)
15ヵ国のなかで、突出して医療被ばくが多い日本。
https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/140805/

残留放射能内部被曝対人影響隠蔽の歴史

 広島型・長崎型原爆を研究開発及び製造を行ったマンハッタン計画の中心的科学者ロバート・オッペンハイマーと、エンリコ・フェルミは研究段階から内部被曝の影響を認識していた。
フェルミヒットラーに原爆製造を思い留まらせるには放射性物質をドイツの小麦畑に蒔くのが効果的だ」
オッペンハイマー「それには骨に沈着して離れにくいストロンチウム90が一番よい。ただし、50万人を殺せる確信ができるまではやめた方がいい」
オッペンハイマーは原爆開発段階でストロンチウム90の対人毒性が高い事を見抜いていた。

 原爆投下を命じたトルーマン大統領は「戦争の長引く苦病を短縮し何百万もの若いアメリカ兵の命を救うために原爆を使用した」と述べており、米国の教育現場でも同様の事が教えられている。
 2014年6月にフランスで行われたノルマンディー上陸作戦記念式典で、西側諸国の首脳陣とロシアのプーチン大統領が列席した。「戦争」をモチーフにしたパフォーマンスで、巨大スクリーンに広島に原爆が投下される映像が流されるやいなや、会場に詰めかけた多くの米軍関係者や観客からは大きな拍手が巻き起こり、オバマ大統領はガムを食べながら一緒に拍手を送っていた。その一方でプーチン大統領は深刻そうな表情をしながら、哀悼の意を表するため胸元で十字を切った。西側諸国は原爆投下対して、戦争を早期集結に結びつけた原爆投下に肯定的である。原爆投下後に起きた直接的・間接的悲劇を黙殺してきたからである。
 原爆投下の最大の理由は人体実験である。広島の投下されたウラン型はプルトニウム型よりも先行して開発は完了していた。ガンバレル型という簡易な構造ゆえに起爆実験も必要としなかった。米国はポツダム宣言における天皇制維持に関する態度を明確にせず、プルトニウム型原爆の製造完了まで終戦を引き伸ばした。1945年8月9日未明のソ連による対日参戦により、日本の敗北は確定的だったにも関わらず、米国は長崎に原爆を投下した。2種類の原爆を投して対人影響を調査するのが目的だったと言われている。2発目の原爆投下は軍部や軍関係者の間では予測されており、小倉の八幡製鉄所では「コールタールを燃やして煙幕を張った」との証言が出ている。八幡製鉄や三菱化成は、煙幕による遮蔽装置を持ち、発令で点火することになっていたのである。また、小倉では射程が1万mあり精度も高い12インチ高射砲が放たれた。ゼロ戦10機もB29迎撃に向かった。一方、長崎の大村飛行場にはB29撃墜能力を有する局地戦闘機紫電改」が駐機していたが、出撃命令は下らなかった。

 広島・長崎に原爆投下後、GHQは原爆の惨状についての報道を統制した。ちなみに、国際赤十字が立ち入りを禁止されたのは広島・長崎の被爆地と、1989年12月の米軍によるパナマ侵攻だけと言われている。パナマ侵攻ではレーザー兵器が使用された。
 原爆投下後の翌9月には被曝の影響を調査するため日米合同調査団が編成された。1947年3月には原爆傷害調査委員会(ABCC)が設立された。放射線による遺伝的影響を探るため、ABCC発足前年の1946年から広島市呉市助産師らと新生児調査の打ち合わせを重ねていた経緯を示す文書が、米国で見つかっている。放射線が遺伝的影響をもたらすことは戦前の動物実験では知られていたが、米国が早い段階から被爆地調査を周到に準備していたことは、原爆投下前後に既に人体影響を予見していた証左の一つと言える。実際にABCCによって奇形児が処分されたとの証言が出ている。
 ABCCは被爆者の追跡調査のみに徹し、全く治療せずデータだけ取った。米国医師は医師免許の都合上、日本での治療行為を行う事が出来ない為という理由が挙げられたが、実際には放射線の医学的生物学的な影響を調査する事が目的の機関であるので、治療行為そのものを想定していない。
 原爆の対日使用の目的は被曝影響の「人体実験」に他ならない。1946年に海軍省トルーマン大統領にABCC設立の必要を訴える文章を送っている。
アメリカにとって極めて重要な、放射線の医学的生物学的な影響を調査するにはまたとない機会です。調査は軍の範囲を超え、戦時だけでなく平時の産業農業など人類全体に関わるものです。」
この文章にトルーマン自身がサインをしている。
 1953年にはABCC生物統計部長ローウェル・ウッドベリーが内部被曝の原因となった「黒い雨」を調査する必要を訴えた報告書を提出している。予備調査が1年続けられたが、衛生状態の悪化が原因とされて、調査は打ち切りとなった。
 ABCCの米国側の主体は、原爆を投下した米国で核開発を担当するエネルギー省である。残留放射能内部被曝対人被害を認めれば、核戦略の前提が崩れてしまう。「人道的兵器」として核兵器保有と行使力を保持したい米国の国家戦略上、内部被曝を認める事が出来ない。
 ABCCは1975年に放射線影響研究所と名前を変え日米共同運営となった。放影研初代理事長は731部隊出身者の重松逸造である。731部隊関係者は研究資料をGHQに提出する代わりに戦犯を免責されたと言われている。重松は国際原子力機関IAEA)のチェルノブイリ報告をまとめた人物でもある。現地には1泊しかしていないにも関わらずチェルノブイリ調査で安全宣言を行い、後の被曝被害の拡大に繋がった。現地では怨嗟の声が上がっている。
 重松はチッソ有機水銀水俣病の因果関係を否定し、救済を十年は遅らせた。水俣病は現地の熊本大学の研究や弁護士達による告発が最終的に有機水銀説を国に認めさせることとなった。水俣病から日本政府は多くの事を学んだ。現地の大学病院が疫学調査で重要な役割を果たす事を認識しており、損害賠償請求訴訟が起きた場合には疫学差によって因果関係が認定される事も認識している。福島医科大学には重松逸造や二代目放影研理事長長瀧重信の弟子筋にあたる山下俊一が副学長として赴任している。 山下俊一は日本におけるチェルノブイリ事故による甲状腺障害研究の第一人者ではあるが、自身の講演では笑顔で放射線障害を抑制できるなどと発言している。山下も本質的には人心から放射能に対する不安を払拭し、国や核産業の思惑を反映させるだけの御用学者の一人と言って良い。
 2013年12月には「がん登録推進法」が成立して、既に施行済である。「がん登録推進法」は、癌登録の業務従事者が当該業務に関して知り得た秘密を漏らしたときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することとする、と規定している。これにより癌の統計数値が公表されることは無くなったと解釈できる。仮に原発事故の被曝被害者が癌発生の疫学差を法廷で証拠を明示しようにも、原本となる指標が得られない可能性が高い。福島原発事故水俣病の相似形として、膨大な人々が悲劇的な結末を迎える事が想定される。
 現在も、放影研被爆者に対する健康調査は続けている。2012年3月14日に、放影研は低線量の内部被曝影響を研究すると、方針転換を余儀なくされた。

電通と原発

 電通の広告シェアは5割であり、原子力関連では8割の広告を支配している。原発事故が起きると電通社員がメディア側に報道を自粛するよう要請する。電通経由の広告で成り立っているメディア側は電通の意向に逆らえない。東京電力一社だけで年間260億円、電気事業連合会加盟10社で合わせて1000億円が、広告宣伝費として使われてきた。
 福島第一原発事故が起きて以後、原子力関連広告は減少したが、代わりに福島の農産物を広報する仕事を電通は受注した。農林水産省は2008年に「食料自給率向上に向けた国民運動FOOD ACTION NIPPON」という事業を立ち上げた。2011年の同事業の予算は23億円「フード・アクション・ニッポン推進本部事務局運営」として、電通一般競争入札で受注している。電通は、米粉の消費拡大の広告なども受注しており、2011年の単年度で総額71億2千万円もの事業を農水省から受注している。 「食べて応援しよう!」運動は農水省の委託事業として、電通が受注した広告事業であり、食糧自給率促進広告の一部なのだ。「FOOD ACTION NIPPON 推進本部事務局」は電通本社内にある。
 「食べて応援」の問題は食品の安全が担保されていない事にある。検査は福島県農産物で1276点であり、その他の県はそれ以下である。全量検査ではない上に、検査結果は100Bq/kg以下ということしか情報開示されず何ベクレルだったのかという発表すら行われない。ドイツの安全基準は大人8Bq/kg以下、子供4Bq/kg以下である。
 台湾は2011年3月の東京電力福島第1原発事故の直後に福島など5県からの食品輸入を禁止した。日本は禁止解除を求めていたが、産地を偽装した5県の食品が台湾で流通していたことが2015年3月に発覚し、逆に規制が強化されることになった。産地の表示があっても偽装の疑いがあり、消費者は安全の指標を失った状態と言える。

創作を通じた反核・反原発表現と統制

 表現への統制は常に存在し、学芸員は芸術活動を通じた反戦的な作品を取り締まる傾向がある。反戦反核は芸術の世界において格好のモチーフのはずである。確かに『原爆詩集』の挿絵で知られる画家の四国五郎や、埼玉東松山市にある「原爆の図」丸木美術館は著名であるが、芸術分野全体の創作量に比して、反戦反核の作品はあまりに少ない。昨今では、米国に従い戦争への道を進む日本の現況を「かまくら模型」に表現した中垣克久氏のアートが東京都美術館から撤去された。戦争や原発事故を扱った立体模型を展示した「ろくでなし子」は2度も警察に逮捕され起訴されている。
 片やフィクション作品では世界観設定において核に関するものが幾つも存在する。古今東西、正面切って言論表現や芸術表現を意思表明すると厳しい制限を受ける。フィクションの世界では強い作家性が発揮できる。反核意識のある作家はサイエンス・フィクションやファンタジーを用いて主張を盛り込んで表現を行ってきた。
 怪獣ゴジラはビキニ水爆実験が行われた1954年「水爆怪獣」として登場した。今となっては忘れ去られてまったが、ゴジラは水爆実験により変異した怪獣として銀幕に登場した。
 1970年に山上たつひこが「週刊少年マガジン」誌上で『光る風』の連載を開始した。軍国主義の台頭とその恐怖を描いた内容は強い衝撃を与え、漫画という表現媒体で政治サスペンスを先駆けて手がけたことで高い評価を受けた。軍国主義体制の恐怖描写は、ベトナム戦時下において同時代性があったが、現代日本への警句にも読み取れ、ネットで話題となり2015年に再販された。「光る風」とは放射能雲の隠喩であり、作中には被曝による差別や、被曝奇形児として生まれた人物が社会への復讐を果たそうとする物語展開も含まれている。連載終了への圧力があったのではないかと推察されるほどに、終盤の展開は異様に早くなっている。『光る風』は松本清張第二次世界大戦後のGHQ占領下に起きた事件を記したノンフィクション『日本の黒い霧』の影響を受けており、作中に『日本の黒い霧』の引用文が用いられている。後に山上は小説家へ転向するが、『光る風』連載時、編集者に無断で台詞を書き換えられた事が原因だとされており、強く表現規制を受けていた事が伺われる。
 手塚治虫きりひと讃歌』(1970年)は風土病と戦う医師の物語だが、小学館ビッグコミック掲載誌上においては、病原と覚しき水の分析過程で「放射能障害」「核物質」という言葉が使われていたが、単行本になり、版を重ねるうちに、これらの表現が一切消えた。病因の記述も、「一種の放射能障害による風土病」が「微量の結晶体の蓄積によってもたらされる骨変形をともなった一種の内分泌障害」に変更され、放射能関連の言葉が計14カ所削除された。
 内部被曝症状に関する描写は井伏鱒二原作(1965年)今村昌平監督映画『黒い雨』(1989年)と中沢啓治氏漫画『はだしのゲン』(1974年)で行われている。直接原爆の被害を受けなくても、原爆投下後に広島市に入った人々が喀血や下血、脱毛、倦怠感などの症状を訴えながら死んでいく様が様々に描写されている。『はだしのゲン』は今の少年ジャンプからは想像もつかないが、1972年月刊少年ジャンプに連載が開始された。被曝体験は原作者である中沢啓治の実体験に即しているので、恐ろしく現実味がある。中沢は上京後に被爆者に対する差別を身をもって実感していたので、自らが被爆者であることを隠していた。しかし、郷里の母親が亡くなり、葬儀に立ち会った際に、火葬後に骨が残らなかった事に「原爆によって2度殺された」と憤怒し、『はだしのゲン』執筆へと向かった。中沢は原爆投下直後の被曝者に関する描写については抑制的に描いたにも関わらず編集部へ苦情が殺到し、作家として苦闘した様を晩年に述べている。『はだしのゲン』は単に被曝者としての体験談だけでなく、日本の権力構造や戦争動員に関する庶民の有り様や米国に対する批判までをも含んでいる。
 2012年8月島根県松江市で市民から『はだしのゲン』撤去を求める陳情書が提出され、12月校長会が『はだしのゲン』を閉架処置決定を行い、『はだしのゲン』全巻を保有していた39校全ての学校図書館において閉架された。その後、NHK報道により多数の自治体でも『はだしのゲン』撤去陳情が行われている事が発覚したが、閉架に至った事が確認されたのは、大阪府泉佐野市だけである。図書館側に「閲覧記録を確認するなどして読んだ子を特定し、個別に指導できないかと打診」があったとされ、「図書館は利用者の秘密を守る」という条項に抵触するので物議を醸した。
 井上智徳原作マンガ『COPPELION』(コッペリオン)は2036年東京お台場にある原発で過酷事故が発生し、東京都の広範な地域が放射能汚染で立ち入り禁止区域になったという舞台設定であった。2010年9月にアニメ化決定の発表がなされたが、東日本大震災を受けて延期となり、2013年10月に放送された。「東京都」は「旧首都」、「放射能汚染」が「汚染」、「原子力発電所で発生したメルトダウン」が「事故」へ変更となり、原作マンガでは克明に描かれていたお台場にある原発には雲をかけて原子炉建屋自体のアニメ描写すらも避けた。福島第一原発事故を受けて、放射能に関する表現が厳しく抑制された。
 雁屋哲原作漫画『美味しんぼ』の鼻血描写と被曝の関係を記述した事が問題視される大騒動が起きた。急性の鼻血はα線核種、慢性の鼻血はβ線核種が鼻腔内部に存在する疑いがある。急性被曝症状として鼻血は衝撃的で分かりやすいので、原発推進側としては最も隠蔽したい事象である。『美味しんぼ』の作中に登場する元福島県双葉町長井戸川克隆はフェイスブック上で毎日鼻血が出ている状態を写真入りで投稿した。『美味しんぼ』は雁屋哲が福島各地の実地取材を敢行し各方面から証言をとって作品に盛り込んで説得力を持たせている。福島第一原発収束作業については「一番の印象は、破壊の程度が想像を遥かに超えていて、それに対する処置がすべて応急処置でしかない」と切り込み、原発事故責任は東京電力だけに留まらず行政や政治の責任にも言及している。
 『On your mark』という、宮崎駿CHAGE and ASKAが共労した原発事故後の世界を描いた短編映像作品(1995年)がある。『On your mark』は2014年6月18日に予定されていた「宮崎駿監督作品集」に同梱される予定だったが、直前の5月17日に「CHAGE and ASKA」のASKA覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。これにより、当初予定は7月2日に延期され、『On your mark』はバンドルから外された。後に購入者には別送される対応となった。2013年の報道ではASKAは以前から覚醒剤は止めており、逮捕はないとの見方が強かった。ASKAは2016年現在閉鎖病棟を備えた精神科病院に入院、隔離されている。ASKAは病院内で「深海魚はセシウムをたくさん含んでいる。絶対に食べちゃダメだ」「国は大量の放射能漏れを隠蔽している」などと述べていると報じられた。原発問題認識としては的確であるが、現代では閉鎖病棟入を肯定するかのような言説として取られてしまう。閉鎖病棟を思想犯隔離施設として使う手法は普遍的に行われてきたが、現代日本が例外であるとは言い難い。
 報道界では、被曝による甲状腺癌問題や除染作業の杜撰さを報じ、原発問題を厳しく追求していたテレビ朝日の岩路真樹ディレクターが、ホテル部屋ドアの「外側」四隅をテープで貼り、部屋の中でロープで縛られ椅子に座った状態で練炭自殺体として発見された。生前に岩路は「もし私が死んだら殺されたと思ってください」と述べていた。

【スマッシュ・ヒット】日本会議の研究 菅野完著

1.民主主義の敗北が近い
 自民党改憲案は「商家の家訓の如し」と言われ、憲法の体をなしていない。つまり、統治機構を規定するよりも、人民を統制する「モノ」に成り下がっている。
 古色蒼然とした明治憲法未満に戻して誰が得するのか。支配層の権力強化にはなるかもしれないが、経済競争力低下は確実に発生する。様々な統制を受けて人民はますます疲弊する。やがては革命騒ぎも起きるだろう。
 すでに日本では衰退の予兆が見える。退潮する社会趨勢では活躍の場所は限られる。一億総活躍できない社会になりつつあるので、アベ政権はわざわざ一億総活躍大臣を設置したのとしか思えない。心ある人は次々と海外へ移住している。
 経済的な困窮下で、人心が社会の立て直しの方向へ向かうのなら、未来を見通せるかもしれないが、一部を除けば、後ろ暗い方向へ進みつつ有る。
 改憲に一定程度賛成する勢力がいること自体が異様である。これこそが思考停止であり、民主主義の自殺に他ならない。


2.宗教勢力と改憲運動
 生長の家創始者である谷口雅春の直弟子的存在である安藤巌が、指導者として「生長の家政治運動」の中心を担ってきた。生長の家の政治運動部分を引き継いだ【日本会議】が、草の根市民運動として地道な活動を経て、政権党をコントロールするまでになり、今や改憲へ王手をかけようとしている。麻生副首相の言うところの「ナチスに習う」を実践しつつあり、まず改憲では「緊急事態権」の必要を最優先で説いている。彼らが三権を掌握した後に何が起きるのか。世界大戦に導かれた歴史が繰り返されようとしている。


3.腐った人格主「安藤巌」
 労作「日本会議の研究」には1人のジャーナリストが放つとしては、最大級の衝撃波が込められている。裏方として隠れていた「安藤巌」の人となりをここぞとばかりに暴きだしている。謀略を駆使して対立する人物を陥れ、話術で人心をコントロールする様が描かれている。出版差止請求が出されたのも頷ける充実した内容である。
 この本を1人でも多くの人に読んで貰う必要がある。このような腐った人物に我々の権利や未来が奪われようとしていることを真摯に考えて、対抗する手段を行使しなくてはならない。


(参考)
日本会議、右傾化運動のラスボス、安東巌のことをついに書いた」〜菅野完氏ツィート http://togetter.com/li/938170
「安東はね、そんな生易しいもんじゃないんだよ」
「君ね、安東だけはやめなよ。触っちゃいけないよ」
「安東はね、怖いんだよ。オレは話さないよ」

リアル・スプラトゥーン・サムタイム

1.油絵は挫折した。
 昔は油絵を書いていた時期があったのが、大きな絵を一枚仕上げるだけの根性もなく、さして絵がうまいわけでもなく、時間も画材代ももったいないので、姉に画材を譲り油絵は止めてしまった。
 よくよく考えた。油絵を描いてる時間があるのなら、あちこちペンキ塗りをした方が支出を減らせるのではないかと。油絵を描いても1円にもならないどころか画材の出費が地道に懐を痛める。趣味とはそういうものかもしれないが、実利がないのは侘びしい。ペンキを塗っても同じく1円にもならないが、ペンキ屋さんに支払う金額分は削減できる。
 Ally my love(Ally McBeal)というアメリカの弁護士ドラマでは、自宅の壁を自分たちで塗るシーンがある。高い所得階層でさえもDIYで凌ぐ文化がある。それには米国の職人のC/Pが悪いというのが背景にあるが、自活するという開拓精神風土も作用しているだろう。主婦がレンガ・ブロックを積んで壁を作ってしまう事もあるそうだ。

2.好きな時にペンキ塗りはできる。
 作業場はトタン屋根やら鉄骨部やらコンクリート床やら塗る所がたくさんある。空いている時間にペンキ塗りをすれば良い。水性塗料の場合は、少しずつコツコツ塗っていけば良い。油性塗料でも刷毛を灯油に浸しておけば、また使える。問題はコンクリート用の床塗料だが、刷毛の使い回しは全く不可能である。一度使ったら捨てるしか無い。
 刷毛はダイソーの100円品を使っている。昔は10cm幅まで100円だったが、年月と共に10cmが消え、7.5cmが店頭から消え、今では6cm幅の刷毛しか売ってない。
 昔はコスト意識が低かったので、10cm刷毛でも一度使ったら捨てていた。洗う手間や時間の方が高いという考えだが、今考えるともったいないことをした。手持ちの10cm幅刷毛は使いきった。7.5cmはまだかなりストックしてあるが、極力持たせるつもりである。 ホームセンターで日本製の刷毛を300-400円程度で購入したが、抜け毛の多さに閉口した。ダイソー中国製刷毛は抜け毛なぞは全く無い。この時に中華パワーを思い知った。

3.コンクリート床塗り
 コンクリートの床を塗るのは功罪半ばする。塵が付着しずらくなるが、滑りやすくなる。靴裏がすり減っていて、雨が降っていると、滑って転倒するし、実際に私は転倒した。雨があたる所はコンクリート面を「粗目」に仕上げて貰ったほうが良い。
 床を掃除してなるべくゴミを取る。あまり念入りにやらなくても良い。なぜかというと、塗料が全てを飲み込んでしまうので、細かいゴミがあっても大丈夫だ。但し土は念入りに除去したほうが良い。後々、塗料が剥がれやすくなる。
 まず、シーラーを塗る。これは定着を良くする意味もあるが、コンクリート用の塗料が床に染みこんで、消費が増えるのを防ぐ狙いもある。
 シーラーは半日で乾く。その間に刷毛が乾かないように灯油に浸しておく。コンクリート用の塗料は換装が早いので、手早く塗る。粘性が高いので、手首に負担がかかる。完全乾燥には意外に時間がかかる。2日程度は上に乗らないほうが良い。

4.トタン屋根塗り
 グーグルアースで見ると、作業場のトタン屋根の痛みがうかがえた。2011年7月に突然トタン屋根を塗ろうと考えた。放射能の除染を考慮したのだが、後から考えると短期核種の半減期を考えれば数年は放置しておくべきだった。
 汚れを落とすために水を流しながら雑巾でぬぐうのだが、なかなか落ちないし、土があちこちに溜まっていて、なかなか捗らない。仕方ないので、東芝の高圧洗浄機を使って汚れを洗い流した。東芝製の原子炉が爆発して放出された放射能を、東芝製の高圧洗浄機で除染するなんて実に合理的だと自虐的に自画自賛した。作業場は増築を繰り返したおかしな建物なので、3箇所で築年数が違う。一番古い箇所は数回塗っているが、塗り方がおかしいのか、塗料がおかしいのか、定着がいまいちであちこちで禿げてサビも浮いていた。サビがきつい所はサンドペーパーでこすって落とした。以前は早く仕上げる事を優先したので、ローラーを使い厚塗りになってしまった。
 トタン部だけは油性ペンキを使っている。雨が直接あたらない箇所は水性塗料で十分である。水性塗料の性能が上がっているのだ。
 2015年の秋に屋根に乗っていたエアコンを一台処分したので、春頃新規にエアコンを買い直すまでの間に、再度トタン屋根の塗装に挑戦した。
一般的に1割ぐらい「ペイント薄め液」を加えて塗料を薄めるのだが、「油性トタンペイント専用の合成ボイル油」を使った。乾燥は遅くなるが塗料の定着が良くなる。塗料もアサヒペイントの物をヤフオクで安く買った。
 ペンキ屋は調合して独自の色を作って塗るが、そんな特殊な色で塗ってしまうと、同じ色が作れない。だが、上から塗ってしまえば、何色でも良いのであって、1斗缶で買えばおおよその範囲はカバーできる。

5.鉄骨部塗り
 鉄部に浮いているサビは電動ドライバーの先に鉄ワイヤーたわし?のようなものをダイソーで買ってきて装着し、ざっと落とす。雑巾で汚れを拭って、塗料を塗る。塗料缶を塗る箇所の至近まで近づけて、刷毛からペンキを落とさないようにして塗る。基本的に養生が必要だが、箇所によっては下に暫時ダンボールを置くなど工夫次第で切り抜けられる。
6.自作スピーカー・キャビネット
 凝った人はウレタン塗装などをしているようだが、繰り返しになるが今の水性塗料は優秀である。マット系水性塗料で重ね塗りした方がスピーカーがあまり自己主張しなくて部屋に馴染む。

7.スプレー塗装
 パンク対策で4t油圧ジャッキをヤフオクで購入したが、サビなどが浮いているので、ダイソーの200円スプレー缶で塗装してみた。一度に大量に吹きかけないで、薄く何度も繰り返すのがコツである。
 ダイソーの水性塗料は性能が悪かったが、スプレー式のものは問題ないようだ。但し容量が少ないのですぐに無くなる。大きな物を塗装する場合は、ペンキを小さな刷毛で丁寧に塗ったほうが費用を抑えられると思われる。


番外編
石膏ボード貼り
 石膏ボードは3×6尺サイズなので、ホームセンターで2mの定規を買う。2mの定規は邪魔なので、使わない時の置く場所に困る。
必要な寸法を測り、鉛筆で印をつけてカッターで表面を切る。刃は入りは半分ぐらいでも石膏ボードは容易に折れる。刃の入りが浅すぎると、直線で折れなかったりするので、カッターの当て方は程々の力加減が要求される。
 ビスは一定の深さで止まる特殊な工具があるが、電動インパクトドライバーで最弱設定にすれば似たような機能が持たせられる。
 凹凸はパテで埋める。


壁紙貼り
 壁紙はホームセンターで専用の機械でノリを「どっぷり」付けてもらったのを買ってくる。そうしないと綺麗にはれない。市販の糊付き壁紙はシワがよる。
 ホームセンターでノリを「どっぷり」付けてもらう。これが重要。

近年のオーディオ雑感

1.音を聞く
 長岡鉄男氏は「音を聞く」事を重視し、音の過渡特性(トランジェント)を重視した。フルレンジユニットを使用し、キャビネットはバックロードホーンもしくは共鳴管を使用した。
 レコードやFM放送がソースの主体であった時代は、オーディオとは音楽を聞く事とほぼ同意義であった。しかし、テレビ放送のデジタル化やLD・DVD・ブルーレイと映像パケージソフトの品位が向上し、オーディオもしくはホームシアターで台詞や効果音などの「音を聞く」事が増えた。「音楽性豊かな表現」という曖昧さよりも、より正確に録音された状態を再現することが重要となったのである。もっとも、音楽といえども、声音や楽器の集合体であり、音を聞くことに変わりない。
 実際のドラムのハイハットはエネルギッシュに「ギャン」と鳴り、バスドラは「ドン」ではなく素早く「ドッ」と鳴る。多くの人は生音に接する機会があまりないので、オーディオ装置で再現された音が原因からかけ離れていても違和感を持つ人が少ない。ところが、雷鳴を再生させれば、さすがに誰もが差異に気がつく。長岡バックロードの真骨頂は雷鳴や爆音の再生であり、映像ソフトの効果音を聞いて、その真価にハッっとさせられる。しかし、長岡BHが不利なのはキャビネットはホーン長の関係で一般的なスピーカーよりも、必ずある程度大きくなる事である。構造も複雑で、木工精度が求められ、工作過程が多いので大量生産に向かない上に、大型スピーカーは物流費用を増大させる。
 メーカーはスピーカーの小型化を狙い、バスレフ型に重い振動板を用いたウーハーユニットとツィーターの構成品を主体とした。これが過渡特性の悪化を招いた。パソコン時代になり、小型フルレンジ+サブウーハー構成の物が発売され、低音はともかく、中高音の再生音は品位の高いものがある。


2.長岡バックロードホーン
 自作派として、優位点があるのは、荒っぽく言えば「キャビネットが大きくて良いのなら」バックロードホーンと共鳴管型であり、小型化するのであればダブルバスレフ型である。
 長岡バックロードホーンは低Qoの磁束密度の高いユニットが要求される。20cm級なら最低でもFE208Sは必要である。低Qoのユニットを使わないと、締りのない低音となり、付帯音が発生しやすくなる。その場合、低音の量感が増すので、一般的には好評価となるのかもしれないが、原音再生の視点から見ると望ましくない。ウーハー寄りのユニットを使うと低音の量感は出るが、ドロドロした感じの緩い低音となってしまうのだ。
 長岡BHの特徴はスロート断面積をユニット振動板面積と同等程度と広めにとり、開口率を1.1と低くする。ホーン長はユニット口径によって変わるが2.6m-4mと長い。かつてあったメーカーの古い設計のものとは開口率もホーン長にも違いがある。
 D-50以降はコンスタントワイド型だが、D-7の頃はコニカルワイド型であった。コニカルワイド型の方が素直な低音と言われている。コンスタントワイド型BHは多段のバスレフポートとみなせるとの説もある。


3.ダブルバスレフ(位相反転型)
 トリプルバスレフ型やM-CAPと呼ばれる複数の第二空気室を持つタイプも存在するが、個人的に聞いた経験においては、ダブルバスレフの設計を最適化すれば、ほぼ同等の低音量感を得ることが出来ると思われる。ちなみに、トリプルバスレフ型はポートが直接でないと、的確に動作しない。


4.共鳴管
 共鳴管型は鈴木氏により「ハイブリッド・レゾナンス」が提唱されており、ユニット背後の共鳴管から断面積を3倍以上にして一度折り返しした共鳴管での低音の音圧特性が良いという事である。長岡BHよりもキャビネット構造を大幅に簡略化する事が可能であり、長岡BH並の低音量感が得られるのなら置き換えも可能であるかもしれない。共鳴管としての最低共鳴周波数によってキャビネット高が決定する。実用的には60Hz程度で十分なので、仮に共鳴管の最低共振周波数を20Hzで4mとすれば、高さ66cm(60Hz/133cm長)のキャビネットで十分となる。


5.40Hz以下は聞こえない
 体格などの個体差によるが、人は40Hz以下は聞こえない。ただし、音波振動により体感することは出来る。基本的に40Hz以下の再生にこだわる必要はない。超低周波建物を揺すり騒音公害の元となる。これにより、40Hz再生を考えれば共鳴管の長さは2m程度で十分となる。
 20cmユニットでfoは40Hz付近である。基本的に20cmより大きなユニットは不要だと思われる。
 近年のJ-Popでは低音の量感を稼ぐために不自然に40Hz付近をブーストした録音がある。一方で40Hz以下は切ってしまっている。ある意味合理的とも言えるが、40Hzを高いレベルで再生出来る長岡BH(モア)で聞くと、低音がドカドカ出てきてボーカルとバランスしない。商業的理由から小型スピーカーでも低音がでるように極点に人造的なミキシングを行う行為は避けるべきである。


6.絶縁トランスの効果(アイソレーショントランス)
 高周波ノイズ対策として、絶縁トランスを壁コンセントと電源コードの間に入れると効果が得られる。但しオーディオ品質のトランス電源を積んだ機器では効果が殆どなく、スイッチング電源を用いた機器類であるプロジェクターやテレビ、パソコンやゲーム機では効果がある。具体的には映像のノイズ感が減る。
 1980年代などのCDプレイヤー内部のノイズが多いものでは効果がでる。商用電源に含まれる外来のノイズをカットする効用もある。
 プレイヤー・アンプ・映像機器同士を音声・映像伝送ケーブルで接続しているが、更に電源ラインによりループ状となり、高周波ノイズが乗ってくる。絶縁トランスはこのループを回る高周波ノイズをカットして低減させる。
 絶縁トランスにあまり大きな容量を用いると電気結合が大きくなって効果が落ちる。また、絶縁トランスの容量一杯に機器を接続して使用すると、唸るトランスがある。
 低音が量感減るので、基本的にアンプには絶縁トランスは使わない。仮に使うとすれば5kVA以上の大きな絶縁トランスを用いる。
 裸の絶縁トランスを購入し、配線などを自作する記事が雑誌やウェブで散見されるが、電磁漏洩などや電気事故を考えると推奨できない。メーカー製を購入した方が安全である。
 ちなみに、Stereo誌が「マイトランス」などと称して、電力会社に自宅直近箇所に変電トランスを設置させて音質改善したなどと記事を書いていたが、付近一帯のトランスがコンデンサーとして並列動作しているので、ほぼ無意味である。


7.電源コードのグレードアップ
 電源コードを幾つか買って交換してみたが、結論から言えば、最初に使っていた電源コードが細い場合、太いコードに変更すれば効果が得られる。しかし、既に太いコードを使っている場合から変更しても、「音は変化する」が良くなったとは限らない程に微々たる変化である。室内配線は良くて2mmΦのVVFケーブルだが、近年は銅価格の上昇により1.6mmΦのVVFを用いる事が増えている。
 壁コンセントからオーディオ機器までのコードを換えたところで、元のコードが明確に劣悪でない限り変化が少ないのは当然である。仮に自作するならVVFケーブルで十分であり、ソニーの金井氏もVVFの自作電源コードを上回る高額の電源コードは無かったと記述している。
 メーカー製のホスピタルグレードコネクターを使用した電源コードはコンセントから抜けづらいという利点はある。
 超高額な電源ケーブルが売られているが、詐欺商法である。電源コードはヤフオク相場で3000-5000円程度のもので必要にして十分だ。


8.デジタル伝送ケーブル
 HDMIケーブル及びi.Linkケーブルはオーディオ品質でシールドがしっかりしたものを選んだほうが良い。アナログケーブルよりも明瞭に差がでる。推測だが、アナログケーブルよりもデジタルケーブルでは伝送する周波数帯域が高いので外来ノイズ対策が必須なのだと思われる。とはいえ、3000円程度のモンスターケーブル(米国製)でおおよその品質は保たれている。


9.ツィーターのパッシブネットワーク回路
 ツィーターは高音域の過渡特性を向上させる。シンプルがモットーの長岡氏はコンデンサーを直列に1つ繋ぐ-6dbカットオフ型を推奨していた。敢えて下の周波数までツィーターから出力させて、過渡特性を改善する音域を広げる意味合いもあったのかもしれない。できうるのなら、ネットワーク回路は-18db型の方が下の周波数を急峻にカットできるので、ツィータへの負荷が減り、高音域の過渡特性が向上すると思われる。コイルはユニットに対して並列接続なので、音質劣化は少ない。


10.スキャンスピークのネオジム磁石ユニット
5F/8422-T03(Stereo誌2012年8月号付録)
5F/8422T01 5cm市販品

ネオジム磁石により磁束密度が高く、過渡特性が良い。
ボイスコイル口径が26mmと大きい。
振動板直径が小さいことにより4khzぐらいまでピストン・モーション(振動)する。生録音した尺八の「かすれた」感じを表現した。

Scansperk 10F/8424G00
高音域まで過渡特性が良いので、ツィーターは不要であり、本当の意味でのフルレンジユニットと言える。