サブウーハー不要論

 私が自作スピーカーにハマる前にはPioneerのバーチカルツインスピーカーとヤマハのサブウーハーを使っていた。しかし、音が重い。オーディオの場合、音の重さを量感と勘違いしている人が多い。私もそうだった。ところが何が鳴っても同じような音に聞こえるし、なにしろ音の躍動感や繊細さが無い。聞いてて面白くない。
 ウーハーも25cm口径ぐらいまでで弩級のマグネットを積んだものを大出力パワーアンプで駆動すれば、ガチっとした音は出る。その場合はバスレフになる訳だが、ポート共振周波数付近が強調され、独特の音色になる。
 密閉型であると、「ンー」といった音色になる。何がなっても「ンーンー」なのだ。背圧が関係する。密閉>バスレフ>バックロード>共鳴管>後面開放の順で背圧がかかる。背圧がかかる場合、ユニットの振動板が弱いとブルブルと別の振動が出てくる。密閉型のスーパーウーハー・サブーウーハーの場合、極めて重い振動板のユニットが搭載されている。故に音も重い。
 スーパーウーハーの定義は50Hz以下ぐらいを駆動する、サブウーハーの場合は200Hz以下を駆動するといった感じの住み分けだろうか。

 ストーンテクノ氏はスーパーウーハーは後面開放型に限るとしている。密閉型を自作すると空気漏れが避けられない為だと主張する。私は音色にあるのではないかと思う。後面開放型は背圧をほぼ受けないので、振動板が原音信号再生に対して、比較的忠実に制動する。
http://homepage3.nifty.com/stonetechno/mokuji.html

 Air氏はベロダインを使っていたが、やがて20cmフルレンジ6連装のサブウーハーへ移行した。ベロダインは市販スーパーウーハーでも最上級の製品であったが、それでも退役した。メインのスピーカーがバスレフ型だと、音の遅さは気にならないのかもしれないのだろうが、共鳴管メインのシステムだとやはり音の相性が合わないのだろう。
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/airair/?Y=2006&M=8

 オーディオというとサブウーハー必須みたいな雰囲気があるが、私は不要だと思う。買ってみて後悔するだけだ。ヤフオクでも売り物が多い。自作するなら、デジタルチャンデバで超低域だけ取り出して共鳴管自作スピーカーで鳴らすのがベストだろう。ただ、システムが冗長になる。一時期は考えて機材も揃えたが、途中で気が変わって売却した。但しサブウーハー的な共鳴管システムは作ってみようかと考えている。その場合アンプ内部のトーンコントロールで250Hz以下の低域を少しブーストしてリスニングポイントの背後に置こうと考えている。アナログアンプ時代はトーンコンを使うと音がブーミーになったが、デジアンの現在はほぼ弊害はないようだ。

 余談だが、バックロードホーンは開口部から中音域が漏れる。音響特性上、逆相の音が漏れてくるのは好ましくないのだが、中音の漏れによって比較的近くに寄って聞いても、ユニットの音とホーンからの低音域・中音域が程々に混ざり会って一体感がある。
 バスレフだと、ユニットの音と、バスレフポートの音が分離している感じがする。ポート開口部をユニットに極力近づけるか、側面か背面に設置した方が良いかもしれない。ポートを全面と後面の両方に付けたものもある(Fostex GX103)。聴覚上低音の量感が稼げて好結果である。

 ハース効果というのがある。
http://cast.151-a.com/archives/200512/28id000158.html
『ハース効果とは、複数の音源から同じ音が送りだされた時、耳に最初に到達した音の方向に音像が定位する現象のことを、ハース効果といいます。耳に到達する音の時間差は1〜30ミリセカンドです。またこの効果は遅れてくる音が最初の音より10dB位大きくても成立する。』
 この効果によって、複数ユニットから同じ音域の音が発せられても「音が滲む」という感じにはならない。実体験においては、低域の場合、遅れて到着した音が量感を増強させているようには聞こえる。(要検証)
ハース効果によれば、各ユニットの再生周波数帯域を厳密に分けるようなネットワークもしくはチャンネルデバイダー操作はさほど必要ではないと言える。むしろ、急峻に音域を分けると、音源(楽器等)の差によって発せられる位置が飛ぶので不自然になる。
 マルチユニットへ移行しようとしている人には参考になると思う。