10cm径限定フルレンジユニットFostex FE103En-Sが発売決定


○なぜフルレンジにこだわるのでしょうか。
 バックや宝飾品の限定品発売だ〜ぁ、というのとスピーカーユニットの限定販売は少し意味が違います。スピーカーの音色や品位というのは、オーディオリスニング環境を決定的に左右します。極論すれば、いつでも生演奏が聴ければオーディオなんか不要です。現実はさにあらず、お金と時間を費やして生演奏を聞きに行ける機会は庶民にとってごくわずです。生演奏でも生楽器を至近距離で聞けるのがベストですが、実際は演奏家とリスナーの距離は離れています。信じてはもらえないかもしれませんが、大型ホールでの演奏会は反響・残響音成分が多く、録音方法と再生装置のクオリティいかんによっては”部分的”にはオーディオ再生に分があります。
 ライブハウスに行きますと、生ドラムですでに大音響なのに、さらにマイクを立ててPAで増幅再生しています。そうしますとバスドラの音がブーミーに聞えます。生のバスドラだと「ドッ・ドッ」と速い低音ですが、PA通すと「ドゥン・ドゥン」となります。その方が量感が稼げますので、低音による高揚感を得るには良いのかもしれませんが、生ドラムの本当の音を知っている人には、ウソっぽくて聞けたものではありません。
 以前、近くのシネコン映画館に行って「千と千尋の神隠し」をみましたら、主人公千尋を当時14歳の柊瑠美さんが演じておりました。しかし、再生音はやたらと大きいのですが質が伴わず「ダミ声ボイスチェンジャー」と化しておりました。製作者が実年齢に近い声優を起用した意図には、若々しい声質の魅力を引き出したいという点もあったのではないかと思います。製作者の意図をぶち壊すほどに、映画館は画も音も大きいが質は悪いのです。特に声質にこだわるのならホームシアターで自分好みの音質を追求する意味があるのです。
 市販のスピーカーの多くはウーファー・ユニットとツィーターを組み合わせて出来ております。ウーファー・ユニットは、高域を出ないように機械的にダンプしたスピーカーです。ウーファーはフルレンジユニットよりも振動板質量が大きく、エッジやダンパーが硬いものが使われます。当然、ウーファーが繰り出す中高音は曇ったような音色になります。それだけに留まらず低音の質も重たく詰まった感じの音になります。
 フルレンジユニットを使ったスピーカーとしては、バスレフ型(バスレフレックス・位相反転型)やバックロードホーン型があります。Qoの低いオーバーダンピングのフルレンジユニットを使ったバックロードホーンは、抜けが良く速い低音と、緊張感のある中高音が魅力です。軽量振動板に高い磁束密度を持つ磁性体を組み合わせ、ハイコンプライアンス型(振動板がふらふらで前後に動きやすい)設計でQoを低くしています。オーバーダンピングで低音の音圧が低いので、背面から出た音をホーンに導いて増幅して低音不足を補います。箱の構造は複雑になり、設計・裁断・組み立て工程共に難易度が上がります。
 10cmユニットは音源が小さい為、音像の定位に優れ、点音源の良さを狙って設計されたスーパースワン等のバックロードホーンスピーカーの自作が注目されて来ました。

○FE88ES-Rの音色で、FE108ESⅡの駆動力を持つ?
 突然、10cm径限定ユニットFostex FE103En-Sが発売決定となりました。3月末限定800台と4月(台数不明)の2回に分けての販売のようです。
 値段は14,490円/1台。過去に発売された10cm限定ユニットFE108ES?が17,000円程度、マグネシウムフルレンジユニットの MG100HR-Sが29,925円です。FE108ESⅡよりも低価格となっておりますので、コストパフォーマンスは良いと思われます。FE108ES ?は駆動力が高くスーパースワンを1.05倍したスワン消費税というモデルが設計されたりもしました。音色は後発の8.5cm系限定ユニット FE88ES-Rの評価が高く、FE88ES-Rはスーパースワンにそのまま装着しても聴覚上問題ありません。小口径ならではの抜群の定位とテンションの高い中域、高域のキラキラした感じなど音色についてはFE108ES?よりもFE88ES-Rの方が優れています。FE103En-Sの外形は FE88ES-Rに似ており、メカニカル2Wayセンターキャップを採用して高域再生周波数上限特性を伸ばしています。推察いたしますと、 FE103En-SはFE88ES-Rの音色で、FE108ES?の駆動力を持つものと思われます。

○純マグネシウム振動板MG100HR-Sとの兼ね合い
 紙系ユニットは低域の特性は良好ですが、中高音の歪み感があり、かすれた感じがつきまといます。ツィーターを使うことで、ある程度高域の音色とトランジェント特性を改善することはできます。純マグネシウム振動板MG100HR-Sは金属振動板らしい低歪みの落ち着いたサウンドを奏でます。ツィーターは有ったほうが良いですが、無しでも大丈夫です。MG100HR-Sは本当の意味でのフルレンジユニットなのですが、紙系よりもMoが重く音はおとなしめです。軽量紙系ユニットの音が張り出す感じがないのです。一聴してMG100HR-Sの高品位な音に惹かれますが、スペック上よりも低能率で控え目サウンドです。純マグネシウム振動板はどちらかというとバスレフタイプの方が向いているかもしれません。

○FE103En-Sの8穴を歓迎します。
 FE88ES-RやMG100HR-Sのネジ穴は4穴でしたが、FE103En-Sは8穴となっています。FE108ESⅡと同じサイズと穴数のようです。固定するネジ穴は多い方が良いです。一つには振動でネジが段々と緩んでくるので、ネジ数が多い方が振動衝撃を受け止める箇所が多く緩みが発生しずらいのでは無いかと推察します。8.5cm級のFE88ES-Rが4穴なのはともかく、10cm級のMG100HR-Sも4穴なのは解せません。ちなみに13cm級のFE138ES-Rが6穴です。なんとも中途半端な感じです。限定ユニットぐらいは8穴を標準として欲しいものです。

○10cmで充分です。
 映画ブレードランナーに出てくるうどん屋の主人が「二杯で充分ですよ」と言うシーンがありますが、まさにあんな感じで私は「10cmで充分ですよ」と言いたいです。バックロードホンなら10cmでも爆音が出ます。20cm級バックロードホーンだとキャビネット重量が60kg〜80kgにもなります。マンガやアニメにスポーツ根性ものというジャンルがありますが、20cm級だと制作過程は確実にスピーカー根性ものになります。12cm級より上のユニットは総じてハイ上がりで高域が中低域よりも強く、家で使うには0.2mHぐらいのコイルを直列に入れないと、アンバランスで厳しいです。仮に20cm 級でバックロードホーンキャビネットを造るなり手に入れたとします。20cm級のエネルギーは膨大で、振動と音圧に負けない部屋が必要です。
 だから10cmで充分です。いきなり、20cmに行くと挫折します。首尾よく制作設置が旨くいっても鉄筋コンクリートか重量鉄骨に重量壁でない限り部屋が負けます。もし、自作スピーカーに興味がおありなら、最初は8.5cmか10cm級から行くべきです。何卒、宜しくお願い申し上げます。

○余談
 mixiニュースに「FE-103En-S」が出てて、長岡自作派としては嬉しいです。
ダイキャストフレームがアルミより比重の高い亜鉛合金ではなくて「高剛性アルミ」、FE108ES?よりもマグネット及び総重量が少ないのは残念です。

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(以下参考情報)
フォステクス、10cm径フルレンジスピーカーユニット
−「FE103En-S」。14,490円/800台限定販売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100226_349541.html
3月末発売 標準価格:14,490円(1台)
 フォスター電機フォステクスカンパニーは、スピーカーユニットの新製品として、10cm径のフルレンジユニット「FE103En-S」を 3月末より発売する。価格は14,490円(1台)。800台の限定販売で、予定頒布数に達し次第終了となる。
 従来モデル「FE103En」をベースに、これまで培ってきた同社の技術を投入して開発された、10cm径のフルレンジ型オーバーダンピングスピーカーユニット。FEシリーズの特徴である中高域再生はそのままに、「あらゆる音楽信号に対し正確に追従するため、更なるハイ・コンプライアンス化とリニアリティの向上を図った」としている。
 振動板に軽量/布素材で、波形形状のエッジを採用するESコーンを搭載。これにより、微小入力から高入力時までの応答性を向上。またエッジの逆共振も抑えており、平坦な周波数特性を保有する。ダンパーも波形形状を採用し、コンプライアンスを高めており、「さらなるオーバーダンピング化が可能」としている。
 ドライバにはフェライトマグネットを採用。磁気回路金属部分の表面処理に、ニッケルメッキ(銅下付)を施し、マグネット内部には銅リングを配置することで、電流歪を低減し、駆動系の低歪み化を実現する。センターキャップはボイスコイルボビン直結とし、20kHz以上の帯域拡張が可能。伸びのある高域再生を実現している。
 エンクロージャへの不要振動を抑えるため、高剛性アルミダイキャストフレームを採用。再生周波数帯域はfo〜30kHz、出力音圧レベルは 91.5dB/w(1m)、インピーダンスは8Ω。総重量は1.17kg。
フォステクスのホームページ
http://www.fostex.jp/
(2010年 2月 26日)

http://www.stereosound.co.jp/hivi/detail/newsheadline_4205.html
限定800台。新軽量布エッジを採用した次世代のSuper
 フォステクスは、ユニットのエッジにコルゲーション(波形)形状軽量布を採用した 10cmフルレンジスピーカーユニットFE103En-Sを限定発売する。従来のFE103Enをベースに、FEシリーズの持ち味である中高域の明るく張りのある個性を活かしながら、ハイ・コンプライアンス化とリニアリティの向上を図っている。価格は、FE103Enのペア8,400円に対し、 FE103En-Sはペア28,960円。クォリティに関しては別物だと考えた方がよいかもしれない。
 コルゲーションエッジの採用により、微小入力から高入力までの応答性を高めるとともに、エッジの逆共振も抑えて、フラットな周波数特性を獲得しているという。ダンパーにも、柔らかくリニアリティに優れたハイ・コンプライアンス・コルゲーション・ダンパーを採用。磁気回路には、100mm径のフェライトマグネットを実装する。磁気回路の金属部品にはニッケルメッキを施し、マグネット内周部には銅リングを取付けることで、電流歪みの軽減、駆動系の歪みを抑制している。
 センターキャップは、ボイスコイルボビンと直結し、20kHz以上の帯域拡張を実現。ボビンの素材には、ガラス繊維とフェノール樹脂で構成された高ヤング率のシートを用い、ボイスコイルの振動をセンターキャップへと伝えている。フレームには、アルミダイキャストを使用。インピーダンスは8Ω、再生周波数帯域は 72Hz〜30kHz、出力音圧レベルは91.5dB/w。
【10cm フルレンジユニット】
主な特長
●コルゲーション軽量布エッジESコーン
ES コーンを確実に保持しながらもハイ・コンプライアンス化とリニアリティ向上のため、コルゲーション(波形)形状のエッジを採用。これにより微小入力から高入力時までの応答性が向上、またエッジの逆共振も抑えており平坦な周波数特性を保有しています。
●ハイ・コンプライアンス・コルゲーション・ダンパー
ハイ・コンプライアンス化の為に柔らかくリニアリティの優れたコルゲーション・ダンパーを採用。これによりf0 とQ0 が下がり、更なるオーバーダンピング化を実現しています。
●低歪み大型フェライト磁気回路
磁気回路にはφ100 mmフェライトマグネットを採用し十分な磁束密度を確保しています。また磁気回路金属部品の表面処理はニッケルメッキ(銅下付)を施しマグネット内周部には銅リングを配置することで電流歪を低減、駆動系の低歪み化を実現しています。
●メカニカル2Wayセンターキャップ
センターキャップは伸びのある高域再生を実現する為にボイスコイルボビン直結とし20kHz 以上の帯域拡張を実現しています。またボイスコイルボビン材にはガラス繊維とフェノール樹脂で構成された高ヤング率のシートを採用し、確実に振動をセンターキャップに伝達します。
●高剛性アルミダイキャストフレーム
低歪み大型フェライト磁気回路をしっかり支え、不要振動をエンクロージャに伝えない為に高剛性アルミダイキャストフレームを採用しました。

フォステクス カンパニーは、10cmフルレンジユニット「FE103En-S」を限定800台で3月末より発売する。
「FE103En-S」は、「FE103En」をベースに、これまでに培った技術力を全面的に投入し開発されたFE103直系のオーバーダンピングスピーカーユニット。FE シリーズの持ち味である中高域の明るく張りのあるキャラクターはそのままに、あらゆる音楽信号に対し正確に追従するため、さらなるハイ・コンプライアンス化とリニアリティの向上を図っている。軽量で動きやすい振動系を強力磁気回路によりドライブすることで、微小入力から高入力時までリニアに追従する応答性と空間を創造する優れた音場定位、繊細でありながら力強く高品位な再生音を実現する。
その最大の特徴は、コルゲーション軽量布エッジESコーンにある。ESコーンを確実に保持しながらもハイ・コンプライアンス化とリニアリティ向上のため、コルゲーション(波形)形状のエッジを採用。これにより微小入力から高入力時までの応答性が向上、またエッジの逆共振も抑え、平坦な周波数特性を保有している。また、ダンパーには、ハイ・コンプライアンス化のために柔らかくリニアリティの優れたコルゲーション・ダンパーを採用。これによりf0 とQ0 が下がり、さらなるオーバーダンピング化を実現している。
磁気回路にはφ100mmフェライトマグネット採用で、十分な磁束密度を確保。また、磁気回路金属部品の表面処理はニッケルメッキ(銅下付)を施しマグネット内周部には銅リングを配置することで電流歪を低減、駆動系の低歪み化を実現している。センターキャップは伸びのある高域再生を実現するためにボイスコイルボビン直結とし、20kHz以上の帯域拡張を実現。ボイスコイルボビン材にはガラス繊維とフェノール樹脂で構成された高ヤング率のシートを採用し、確実に振動をセンターキャップに伝達する。低歪み大型フェライト磁気回路をしっかり支え、不要振動をエンクロージャに伝えないために高剛性アルミダイキャストフレームを採用しているのもポイントだ。

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製品名 :FE103En-S 10cm フルレンジユニット
予定頒布数 : 限定800 台
発売予定 :平成22 年3 月末
標準価格 :\13,800( 税込\14,490)/ 1 台
形式 :10cmコーン形フルレンジ
インピーダンス :8Ω
最低共振周波数 :72Hz
再生周波数帯域 :f0〜 30kHz
出力音圧レベル :91.5dB /w(1m)
入力(Mus.) :15W
m0 :2.5g
Q0 :0.2
実効振動半径 : 4.0cm
マグネット質量 :443g
総質量 :1.17kg
バッフル開口寸法 :φ102mm(バッフル取付寸法図参照)

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Fostex FE108ESⅡ スペック
インピーダンス :8Ω
最低共振周波数 :75Hz
再生周波数帯域 :f0〜 20kHz
出力音圧レベル :91dB /w(1m)
入力(Mus.) :15W
m0 :2.7g
Q0 :0.23
実効振動半径 : 4.0cm
マグネット質量 :585g
総質量 :1.45kg
バッフル開口寸法 :φ102mm(バッフル取付寸法図参照)
1. HPテクノロジー&ESコーン紙
2. UDRタンジェンタルダンパー/エッジ
3. ランタンコバルトマグネット
4. 限定販売ユニット

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FE88ES-R スペック
インピーダンス :8Ω
最低共振周波数 :105Hz
再生周波数帯域 :f0〜 40kHz
出力音圧レベル :88dB /w(1m)
入力(Mus.) :18W
m0 :1.9g
Q0 :0.46
実効振動半径 : 3.425cm
マグネット質量 :584g
総質量 :1.13kg
バッフル開口寸法 :φ90mm
1. ラジアル抄紙ESコーン
2. 銅・銀合金ボイスコイル
3. 最高音域40khz
4. 新フレーム口径最大級φ85mmフェライトマグネット
5. 限定販売ユニット

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MG100HR-S Spec
10cm純マグネシウムフルレンジユニット
インピーダンス :8Ω
最低共振周波数 :70Hz
再生周波数帯域 :f0〜 55kHz
出力音圧レベル :86.5dB /w(1m)
入力(Mus.) :20W
m0 :5.4g
Q0 :0.27
実効振動半径 : 3.99cm
マグネット質量 :443g
総質量 :1.49kg
バッフル開口寸法 :φ102mm

台数限定、新軽量布エッジ採用のスピーカーユニット「FE-103En-S」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1125211&media_id=51