サラウンドスピーカー設置考


1.あまり重要視してこなかったサラウンド
 私自身はあまりサラウンドを重要視してこなかった。あった方が良いだろうということで、真横に1組サラウンドスピーカーを置いて4.1chで使っている。センタースピーカーは使わず、MixモードにしてメインSPに割り振っている。
 サラウンドの利点は「音に広がりが出る」「低音増強」になるという2点である。
 金井氏(かないまる氏)のHPを見ると、サラウンドSPを2組にする場合前方横に置くと、奥行き感が出るとしている。
 その事自体は否定しないが、6chへ展開していくのなら、後方に置いたほうが包まれる感じがして良いとの報告があるし、私のそのようにするつもりだ。


2.サラウンドSPはハイ落ち設定
 金井氏はサラウンドSPを真横に置かないほうが良いとしているが、私の場合は設置場所の関係でほぼ真横(少し後ろ)である。
 長岡鉄男先生はリアカノンというサラウンド用SP作例で、視聴者にSPユニットが向かない設計にした。周波数特性はハイ落ちの方が良いと指摘している。
 私はAVアンプのグライコ機能を使って、2.2kHz以上を-10db落ちにしている。かなり不自然になるとか思われる向きもあるが、BHは強力な磁束ユニットを使うのでハイ上がりの周波数特性なのもあり、更に真横に置いてあるせいもあるのかもしれないが、-10dbにしても、あまり不自然さを感じない。音像の移動感は多少落ちるが、包囲感は残っており、全体的には聴きやすくなる。結局、ハイ落ち設定で丁度良いと考えるので、サラウンドSPにツィーターは不要だと感じている。
 サラウンドSPの音圧を+3dbから+6dbにした。その方が音に包囲されている感じが出る。また、250Hz以下を+3dbにしている。サラウンドには台詞やボーカルが殆ど入力されないので、バックロードホーンで低音域をブーストしても不自然さがない。
 昔のアンプやサウンドプロセッサーはアナログ・デジタル共に周波数特性をいじると顕著に音が劣化したが、最近のAVアンプは周波数特性を変更しても音の劣化が感じられない。


3.サラウンド・バックSPについて
 現在、サラウンドバックSPはない。どうせ置くのなら、メインSPと同格程度のものにしようと考えている。置き場所はプロジェクターの下であり、それ以外に置く場所がない。
 Sony TA-DA9100ESはサラウンドSPは2ペア、リアSPは1ペアアンプが内蔵されている。ところが、リアはメイン2に割り振っているので、内蔵アンプは使えない。
サラウンドAをサイド・サラウンドBリア(バック)するつもりだ。
 金井氏ならサラウンドを2ペア使うのなら前方+側面を推奨するだろう。アンプの取説にもそのような図が書かれている。
 AVアンプで言う所サラウンドバックは5.1ch以上の収録音源でしか生成されない。2chソースでは5.1ch(4ch)までしか生成されない。常に動作するわけでないサラウンドバックは捨てて、サラウンドBをリアの位置に置くという試みである。
 音の移動感よりも、「低域の音圧」と「包囲感」上げたいというのが狙いである。メイン(フロント)SPは台詞やボーカルが入るので、低域のグライコブーストが使えない。BHの宿命で、低域のホーン鳴りが聞こえる音量が、実質的音量の上限となる。ホーン鳴りリミッターを避ける意味でメインSPを2組並列動作させている。
 7.1chソースの場合、5.1ch+フロントハイ2chとなっている。メインSPが大型の場合、どの程度利点があるのか不明瞭である。
ホームシアター7.1ch化!“フロントハイ”?それとも“サラウンドバック”か?その2
http://blog.goo.ne.jp/mazin-box/e/15248042635a265a66559573785a02f4
『驚いたことにフロントから後ろ方面の音が6.1chと比べて弱いのではなく、
リアスピーカーが増えたことにより、聞こえていた音の位置が曖昧になり素晴らしい包囲感に包まれているのです。』
 上記のサイトでは、フロントハイを足すよりも、サラウンドバックを足したほうが包囲感が出て良いとしている。
 余力があったら、フロントの横にサラウンドAのSPを足すつもりだ。つまり、サラウンドAは2組になる。


4.サブウーハーは不要との結論
 サブウーハーを使う必要性が生じるのはフロントメインSPが小型SPだった場合である。20cm級バックロードホーンなら、低い周波数に向けてだら下がりにはなるが40Hz程度まで再生できる。
 5.1chの0.1ch成分であるLFE(Low Frequency Enhancemen・低音強調)はAVアンプでMixモードにして、メインSPに割り振っている。
 仮にメインSPが小型の場合は各メインチャンネルをsmallに設定して(カットオフ周波数上げる)、LFEの音ともどもサブウーファから出す事になる。
 サブウーハーを設置する場所と費用があるのなら、メインSPを強化した方が良い。私は低域増強のためにメインSPを2組置いている。
 AVアンプのグライコ機能でメインSPを250Hz以下を3db程ブーストしてみたが、台詞が不自然になる。そこで元に戻して+0dbで使っている。特に男性は低い周波数まで使う。60Hz程度まで出ているようだ。また女性が少年の声をあてている場合、収録段階で低音をブーストしている場合があり、これもバックロードホーンでは幾分不自然に出る。


5.ホームシアターでこそ真価を発揮するバックロードホーン
 長岡鉄男先生は「音を聞く」ことにこだわった。フルレンジ1発のバックロードホーンはネットワーク回路がなく、バスレフよりも背圧がかからいので、リミッターとなる要素が少ない。磁束密度の高いユニットを使うので、中音の密度が高く、音の再現性が高い。
 しかし、欠点としてホーン独特の鳴りが出る。これはFE208ES-Rなどのアルニコ磁石ユニットやデジタルアンプの登場でかなり抑えられた。
 のびのびと鳴る低音、再現性の高い中音域。高音の過渡特性はツィーターを足して改善させる。これによりホームシアターでは俄然威力を発揮している。
 高い品位の音源や音楽ソースでこそ、成果を発揮する。24bit音源が増えてきた今こそBHの利点を享受できている。
 市販バスレフSPはスピーカー自体がリミッターとなっているし、低音がブーミーである。市販SPは小型化されている事が最重要であり、一般的に接地面積の小ささがホームユースでは大きな選択要素となっている。よって、殆どのスピーカーはバスレフ型2ウェイか3ウェイである。ユニットが多いほうが音が良いという勘違いもあって、バックロードホーンは市場から駆逐されてしまった。
 しかし、BHの良さは原音の再現性においては断トツに良いのであって、その絶対的価値は「音を聞く」ホームシアター時代になって、ますます意義あるものとなっている。


(参考)
かないまる氏Q&A
http://kanaimaru.com/av/avqa.htm
LFE(.1)チャンネルとは何ですか?
http://www.otaritec.co.jp/products/genelec/faq/multichannel/lfe-channel/index.html
ステレオ(2Ch)を進化させてからでも遅くない
https://www.ippinkan.co.jp/multi_setting/page_1.htm